ウィルサイドコンサルティング合同会社

プレゼン・広告等で著作権侵害をしないための注意点

20.06.23
ビジネス【企業法務】
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社内外でのプレゼン資料やランディングページの広告等において、第三者の手による写真、イラスト、文章等を使用する際は、著作権を侵害しないかが気になるところです。
他人の著作権を侵害してしまうと、場合によっては、著作権者に対する損害賠償責任や刑事責任を負う可能性もあります。
さらに会社としての評判を大きく損なうことにもなりかねません。 
そこで今回は、著作権侵害をしないための注意点について、押さえておきたいポイントを説明します。
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『著作権』『著作物』とは何か 

著作権は著作物に認められる権利で、大きく二つの権利から構成されています。

一つが、財産権としての著作権(著作財産権)です。
著作権法上、複製権等、利用形態ごとに具体的な権利内容が規定されています。
もう一つが、著作者人格権です。
具体的には、公表権、氏名表示権、同一性保持権の三つです。
著作者人格権は、著作者が他人に譲渡したり相続したりすることができません。
よって、著作者から著作(財産)権を譲り受けた場合でも、著作者の許諾なく著作物の内容を改変することはできませんので注意しておきましょう。
そのため、たとえばランディングページ等の作成委託契約では、委託者としては、受託者が作成したランディングページを自ら改変したい場合、『受託者は著作者人格権を行使しない』といった規定を盛り込む必要があります。

そして、このような著作権の対象となる『著作物』とは、以下のものをいいます。
(1)思想又は感情を
(2)創作的に
(3)表現したものであって
(4)文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
(著作権法2条1項1号)

この定義から、
(1)客観的な事実やデータ
(2)挨拶の定型句、機械的な複製物、題名等
(3)アイデア
(4)実用品のデザイン等
は、一般的には著作権の対象になりません。
ただし、たとえばデータの選択や配列、体系的な構成に創作性があれば編集著作物やデータベースの著作物になりうるなど、例外はあります。


著作権侵害にならない場合とは?

著作権侵害とならない場合は著作権法上いくつかありますが、企業活動においては以下の場合を検討することが多いです。
なお、社内プレゼンであっても、『個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲』を超える使用となるため、私的使用のための複製(著作権法30条)にはなりません。

(1)『著作物』に当たらない場合
前述のとおり、客観的な事実やアイデアを模倣してもこれらは著作物ではないため著作権侵害にはなりません。

(2)権利の目的とならない著作物
以下のものには著作権が認められていないため、許可なく利用が可能です(著作権法13条)。
1. 憲法そのほかの法令(地方公共団体の条例、規則も含む)
2. 国や地方公共団体又は独立行政法人の告示、訓令、通達など
3. 裁判所の判決、決定、命令など
4. 1~3の翻訳物や編集物で国や地方公共団体又は独立行政法人の作成するもの

(3)権利保護期間が終了した著作物
原則として著作権の存続期間は、著作物の創作時から著作者の死後70年経過時までです(著作権法51条)。

(4)著作権者が権利を放棄している、または利用を許可している場合
インターネット上には著作権フリーを謳った素材のまとめサイト等があります。しかし、商用利用の可否等の利用条件が付されている場合があるため、利用する際は利用規約等をよく確認する必要があります。

(5)引用の要件を満たす場合
以下の要件をすべて満たし、『引用』に該当する場合は、改変しない限り利用可能です。
1. すでに公表された著作物であること
2. 公正な慣行に合致すること
3. 報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること(以上、著作権法32条)
4. 引用部分とそれ以外の部分の『主従関係』が明確であること
5. かぎ括弧などにより『引用部分』が明確になっていること
6. 引用を行う『必然性』があること
7. 出典を明記すること(著作権法48条)
このように、引用の要件を満たすハードルは意外に高く、単に出典を明記するだけでは法律違反になる場合もあるため、注意が必要です。

(6)検討の過程における利用
著作権者の許諾を得て利用する予定の場合、当該著作物の利用をするかどうかを検討する際には、その必要な範囲で著作物を利用することができます(著作権法30条の3)。
たとえば、他人が著作権を有するキャラクターを利用したキャンペーンの企画に関し、社内プレゼン資料にそのキャラクターのイラストを掲載することは、『著作権者の許諾を得て著作物を利用すること』を検討しており、必要な限度で、かつ、著作権者の利益を不当に害さない限りにおいて認められます。

著作権をめぐるトラブルはたびたびニュースでも話題にあがっています。
業務上で他人の著作物を利用しようとする際は、トラブルを未然に防ぐためにも、『著作権侵害とならない場合』に該当するかをよく確認するようにしましょう。
また、著作権について基本的なことをよく理解し、従業員に周知しておくことも大切です。


※本記事の記載内容は、2020年6月現在の法令・情報等に基づいています。