ウィルサイドコンサルティング合同会社

新規獲得の『1:5』、客離れ防止の『5:25』。法則で学ぶ経営戦略

20.04.24
ビジネス【マーケティング】
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マーケティングの世界には、数字にまつわるさまざまな法則があります。 
なかでも、新規顧客を獲得するには既存顧客を維持する5倍のコストがかかることを定数化した『1:5の法則』と、客離れを5%改善すれば利益率は25%改善されることを定数化した『5:25の法則』は、マーケティング担当者ならぜひとも覚えておきたい法則です。 
今回は、これらを踏まえて、既存顧客維持の重要性について考察していきます。
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新規顧客よりも既存顧客を優先

『1:5の法則』と『5:25の法則』は、もともと経営コンサルタント界の第一人者ともいわれるフレデリック・F・ライクヘルド氏が調査の結果見出した法則で、マーケティング業界やさまざまな経営戦略の場面で引用されています。

企業において、いかに顧客を確保するかというのは、いわば永遠の命題のようなもの。
経営者としては、常に考えておかなければならないテーマだといえます。
フレデリック氏は、その答えの一端を『1:5の法則』と『5:25の法則』から見出すことができると指摘しています。

『1:5の法則』とは前述した通り、新規顧客の獲得には既存顧客を維持する際の5倍のコストがかかるという法則です。
通常、新規顧客を集めるには、営業電話によるアポ取りやさまざまな宣伝広告・キャンペーン、大々的なイベントを行ったりと、時間とコストをじっくりとかけることが絶対条件となります。
一方で、既存の顧客を維持するためには、カスタマーサポートの充実や、ダイレクトメール、会員サービスなどの施策が考えられます。
既存顧客を維持するためのコストが1だとすると、新規顧客を得るためのコストは5になる、というわけです。

そして、『5:25の法則』は客離れを5%改善すれば、利益率は25%改善されるという法則です。
つまり、これら二つの法則は、『新規顧客の獲得よりも、既存顧客の維持にコストをかけるべき』ということを意味しているのです。
もちろん新規顧客の獲得は大事ですが、大企業ならいざしらず、人も時間もコストも限られている中小企業では、リソースのなかのどのくらいを新規顧客獲得にかけて、どのくらいを既存顧客維持にかけるのか、というのが大きな問題になってきます。
そこでこの二つの法則を踏まえると、コストパフォーマンスを考慮したうえでも、『新規顧客よりも既存顧客にコストをかけるべきだ』という答えが出てくるのです。


まずは『既存顧客』の掘り起こしを

新規顧客の獲得は結果が目に見えやすいため、多くの企業が目標にしています。
結果が売り上げに直結するぶん従業員のモチベーションも上がりやすいですし、企業も成長の実感を得ることができます。

しかし、既存顧客の維持は、結果がわかりやすく出るものばかりではありません。
業種によっては、リピート率を数値化するのも難しい場合がありますし、統計の取り方によっても失客率は変わってきます。

企業が既存顧客の維持よりも、新規顧客の獲得に動いてしまうのも無理はありません。
サッカーでいえば、『新規顧客の獲得』はガンガン攻めて点を取りに行くイメージで、『既存顧客の維持』は失点しないように、手堅くゴールを守るイメージです。
どうしても、わかりやすく盛り上がる『攻め』を選んでしまいがちです。

しかし、シュートを決めて1点を得るのと、ゴールで1点を入れられないように守るのは、結局は同じこと。
しかも、サッカーとは異なり、前述したようにマーケティングの世界では明確に『攻める』よりも『守る』方が低コスト。
また、『5:25の法則』によって、客離れを改善すれば、利益率が上がることも明言されています。

『既存顧客の維持』にはさまざまな方法があり、自社の商品やサービスに合った施策を打っていく必要があります。
そのやり方が間違っていては、100%の効果を得ることはできません。

たとえば小売業であれば、眠っている『既存顧客』の掘り起こしが大切になってきます。
自社の商品の購入歴はあるが、何年もリピートしていない顧客に対しては、ハガキやメールによるお知らせや、会員限定のセールやキャンペーンなどの取り組みが必要です。
定期的なメルマガや、ダイレクトメールなどを送るのも効果があります。
いかに顧客に忘れられないようにするかが、『既存顧客の維持』の第一歩といえるでしょう。

さらに、カスタマーサポートの充実や、わかりやすい広告展開、企業のイメージ作りのためのブランディングも、自社のファンを増やすための施策として行っていく必要があります。

『既存顧客の維持』は『新規顧客の獲得』よりも基本的には地味な作業ばかりですが、コストや利益率のことを考えれば、選ばない手はありません。
新規顧客をないがしろにするわけではありませんが、会社全体で既存顧客のことを考え、満足してもらう施策を打ち出していくのが、ひいては企業の成長につながるのです。


※本記事の記載内容は、2020年4月現在の法令・情報等に基づいています。