ウィルサイドコンサルティング合同会社

会社の未来を担う! 次世代リーダーの『選抜型育成』とは?

18.11.13
ビジネス【人的資源】
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次期社長や役員など、次世代リーダーの候補者選びは、多くの企業にとって重要な課題です。
近年は、多くの企業が候補者を選抜し重点的に育成する『選抜型育成』を実施しています。
しかしこの方式は企業によって基準も取り組み方もまちまちで、悩みの声も少なくありません。
今回は、次世代リーダー候補者の最適な選び方を探っていきます。
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上司からの推薦が選抜の基本だが……

会社の発展には、社長や役員などのリーダーが、運営の方向性を決定し、組織を率いていくことが求められます。
そしてその会社が長期にわたって存続していくためには、事業を確実に承継しながら、時代に合わせてさらなる成長をもたらす、次世代リーダーの絶え間ない発掘・確保がカギとなります。

昨今は、次世代リーダーを決める方法として、まずは優秀な社員を候補者として選び出し、彼らに教育を施す『選抜型育成』が多くの企業で採られています。
2012年、民間シンクタンクの産労総合研究所が193社を対象として行った調査でも、約40%の企業が『選抜型育成』を導入していることがわかりました。
また、次世代リーダー候補者の選抜方法は、『人事部の推薦』と『上司の推薦』がそれぞれ46.5%と44.2%、ついで『通常の人事・業績評価結果』が37.2%でした。
人事部の推薦は、社内の人材をよく知る立場からの視点といえますし、上司の推薦も、実際に現場で働いている者という点で説得力があります。
しかし、これらは確実な指標があって初めて有効になるものであり、次世代リーダーを推薦するための、『評価の元となるデータの蓄積』をしている企業は多くありません。


適切な候補を見出すための評価基準とは?

ここでの評価とは、部署ごとに定められた営業成績などのことではなく、たとえば、会社の経営課題を解決していく能力や、社員を牽引していくような統率力やリーダーシップなど、自社の次世代リーダーとしてふさわしい資質を持っているかどうかを指します。

『リーダーの資質』として必要なことは、会社により細部の違いがあるかもしれません。
しかし、多くの組織で普遍的なものもあります。
それはたとえば、プロジェクトの内容を把握して、具体的なゴールのビジョンを描き、伝える能力であったり、いざという時の潔い決断力などです。
さらには、和を重んじるコミュニケーション力、チーム一人一人の長所を引き出す観察力、そして、最終的な責任やフォローを引き受ける覚悟なども含まれるでしょう。
こういった資質を一つでも多く身につけている人ほど、将来、部下からの信頼が厚いリーダーとして活躍を期待できます。

この評価基準が社内でしっかりと定義されておらず、「あいつは仕事ができる」といった上司の個人的な視点だけで推薦された人材は、次世代リーダーとしてふさわしくない場合も多々あります。
次世代リーダーの資質を測る明確な評価基準を設けるとともに、会社内でも部署間の縦横の連携を高めて情報を共有しながら、人事部や上司が判断して初めて、ふさわしい次世代リーダー候補が推薦できるといえるでしょう。


経営のトップが候補者選抜に関わるべき理由

候補者となった社員には、次世代リーダーになるための教育が施されます。
先述した産労総合研究所の調査では、『選抜型育成』を導入している企業のうち、候補者に社内の経営塾やスクール、特別講座などを受講させている企業は、70%以上にものぼりました。
さまざまな研修を受けさせると同時に、社内の重要なポストを経験させ、次世代リーダーに育てていくというのが一般的のようです。

しかし、中小企業の中には、部署のエース社員を今の業務から外せなかったり、研修に時間を割けなかったりするため、上司があえて次世代リーダー候補にそのエース社員を推薦しないという事態も起きています。
目の前の仕事も当然大切ですが、せっかくの人材をそのような理由で候補から外してしまうのは、やはり会社の損失といえます。

こういったことを防ぐためにも、経営トップ自身のチェックも必要になってきます。
定めた評価基準に沿って、経営トップが各社員のポテンシャルを知ることで、次世代リーダー候補から良質な人材が漏れるのを防ぐことができるだけでなく、候補リストが上がってきた際も、その結果に納得できるようになるはずです。
経営トップが積極的に次世代リーダー候補の選抜、育成に関わることで、より理想に近いリーダーを選ぶことも可能になります。

このとき、可能であれば経営トップ自身の口から、なぜ選ばれたのか、どういう働きを求めているかなどを候補者に伝えましょう。
初めから次世代のリーダーとなることを意識している候補者は稀で、通常の候補者は、なぜ自分が選ばれたのか、会社から何を期待されているのか、不安でいっぱいです。
経営トップから直接声をかけられることで不安が払拭され、さらにその後のモチベーションアップにもつながります。

社員はいずれも、その会社を支える重要な人材です。
そこから特に力量ある者を見出して次世代リーダーに育て上げることで、会社は維持・成長していくことができます。
会社それぞれの実情に沿った方法で、ぜひ、次世代リーダーの選抜型育成に取り組まれてみてはいかがでしょうか。