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企業にもメリット満載! 大きな改正を遂げた所得拡大促進税制とは?

18.08.24
ビジネス【税務・会計】
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安倍内閣が掲げた経済政策として発足した所得拡大促進税制。これは、事業で得た利益を賃上げにより従業員に還元した法人又は個人事業主に対し、税金を一定額控除する制度のことです。
今回、平成30年度税制改正により、所得拡大促進税制適用要件の見直しが行われました。
ここでは、所得拡大促進税制の内容をおさらいすると共に、改正されたポイントにも触れていきます。
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所得拡大促進税制とはどんな制度?

所得拡大促進税制とは、従業員の給与を上げる代わりに、増加した雇用者給与支給額の一定割合を法人税・所得税から控除できる制度です。
この制度の狙いは、その名の通り、従業員の賃上げを図ることで、個人の所得を拡大させて消費を促進させることにあります。
今回の改正では、さらなる景気の向上を図るため、賃上げや設備投資に積極的に取り組んできた法人又は個人事業主(特に中小企業者等)への支援措置が強化されました。


平成30年度の主な改正内容とは?

まず、適用期間が2018年4月から2021年3月までと新しくなりました。
また、これまでは賃上げ基準年度が定められていた2012年度および前年度と比較して、当年度の所得が増加している場合に適用されていたのに対し、改正後は、前年度と当年度との比較のみとなり、適用対象が拡がりました。
また、設立第1期目は適用できなくなりましたので、注意してください。

主だった適用要件は、下記に規模別に示しています。

〈大企業(資本金1億円以上)〉
・平均給与等支給額が比較平均給与等支給額から3%以上増加している
・国内設備投資額が減価償却費の総額90%以上である

〈中小企業者等(資本金1億円未満の法人及び個人事業主)〉
・平均給与等支給額が比較平均給与等支給額から1.5%以上増加している
・設備投資額の要件はなし


どのくらいの減税が受けられる?

これまでは、2012年度比で、法人税・所得税共に給与の増加額の10%まで控除できましたが、改正後は、前年度比で増加額の15%まで控除できるようになりました。
主だった控除税額は、下記に規模別に示しています。

〈大企業(資本金1億円以上)〉
  • 控除税額の原則計算は、給与等支給増加額×15%。上積み措置は、給与等支給増加額×20%(控除上限額は、当期の法人税額の20%)
  • 上積み措置を受けるための要件として、教育訓練費(※1)が比較教育訓練費に対して20%以上増加している
〈中小企業者等(資本金1億円未満の法人及び個人事業主)〉
  • 控除税額の原則計算は、給与等支給増加額×15%。上積み措置は、給与等支給増加額×25%(控除上限額は、当期の法人税額の20%)
  • 上積み措置を受けるための要件として、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額から2.5%以上増加している。また、教育訓練費(※1)が前期の教育訓練費から10%以上増加、もしくは、経営力向上計画(※2)の認定+経営力向上が確実に行われたものとして証明された、のいずれかを満たすこと
今回の所得拡大促進税制の改正は、大企業にとって、増加率が3%になったことや設備投資要件も加わったことでハードルはやや高くなったものの、引き上げられた控除率や控除上限により企業への効果は大きくなるでしょう。また、中小企業者等の控除率も大幅にアップしているので、これまでよりも多くのメリットがあるといえそうです。

※1従業員への教育などを目的として、研修費や通信教育費、セミナー参加費などを会社が負担する費用 
※2中小企業が人材育成や財務・コスト管理などの取り組みをまとめたもの。事業所管大臣に申請し、認定を受けることで、さまざまな支援を受けることが可能になる