ペルソナデザインにおける『サイコグラフィック』の重要性
マーケティング施策を行うには、見込客の分類や分析が欠かせません。
ターゲットとなる顧客のパーソナリティをより深く知ることで、さらにより効果的なアプローチを行なうことができるからです。
この見込客の分類や分析に役立つのが、『サイコグラフィック』という考え方です。
サイコグラフィックとは見込客を分類する指標の一つで、収集したデータによって、顧客の興味があるものや考え方、行動様式などについて仮説を立てられます。
マーケティング担当者であれば知っておきたい、サイコグラフィックデータの収集方法や活用方法などについて説明します。
デモグラフィックとサイコグラフィックの違い
マーケティング施策を行うには、まず自社の商品やサービスのターゲットになる顧客の具体的な人物像を想定する必要があります。
なぜなら、想定した人物の好みに合わせてキャンペーンを打ったり、キャッチコピーを考えたりするほうが効果的だからです。
マーケティングにおいては、このような想定した人物像のことを「ペルソナ(persona)」と呼び、ペルソナを設定することを「ペルソナデザイン」と呼びます。
そして、ペルソナデザインを行う際に使われるのが、『デモグラフィック』と『サイコグラフィック』という2つの指標です。
デモグラフィックとは、人口統計学に基づいた情報を差し、具体的には年齢や性別、職業や所得、所在地や家族構成などの事実関係を示す指標が該当します。
デモグラフィックデータは、簡単なアンケート調査や、公共機関が公開しているデータなどから入手できます。
しかし、このデモグラフィックデータだけでは、ペルソナデザインを行うには十分ではありません。
想定されるペルソナをより掘り下げていくためには、心理的特性に基づくサイコグラフィックデータも必要です。
サイコグラフィックとは、性格やライフスタイル、興味・関心・趣味、価値観や考え方、行動様式などを示す、顧客の内面に関する指標のことです。
たとえばデモグラフィックデータに基づいて、「25~35歳」「男性」「年収500万円」「会社員」「一人暮らし」「東京在住」とペルソナを設定したら、次はサイコグラフィックによって、「スポーツと健康に関心がある」「自炊はせず外食が中心」「友だちは多いが恋人はいない」「真面目で社交的な性格」と、より深度のあるペルソナデザインを行なっていきます。
事実関係を示すデモグラフィックに対し、サイコグラフィックは心理的な要素を示すことができるということです。
サイコグラフィックデータを収集するには
収集が容易なデモグラフィックに比べると、サイコグラフィックのデータ収集には一定の労力が求められます。
収集方法のメインとなるのは、個人へのアンケートやインタビューです。
店頭やショッピングモールなどで顧客に直接、アンケートやインタビューを行うことで、正確性の高い貴重なデータを集めることができるでしょう。
また、メールやSNS、Webサイトのアンケート機能などを使った調査も効率的にサイコグラフィックデータを収集することができます。
また、グループインタビューや座談会なども収集方法の一つです。
グループインタビューや座談会では、ターゲットから複数のモニターを募り、グループで話し合いながらヒアリングを行い、サイコグラフィックデータを集めていきます。
オンラインで行うことも可能なので、店舗などで行う調査に比べると、それほど手間はかかりませんが、モニターの選定や募集、座談会などのセッティングなど、ある程度の工数がかかります。
こうして収集したサイコグラフィックデータにデモグラフィックデータを組み合わせて、ペルソナデザインを行い、具体的なところまで落とし込まれたペルソナをマーケティング戦略や営業戦略に役立てていきます。
自社の商品やサービスを求めるペルソナが明確になっていれば、適切なアプローチ手法が自然と絞られていきます。
ただし、ペルソナデザインを行なった後でも、サイコグラフィックの収集は続けていかなければいけません。
マーケティング施策を行ううえでは、ペルソナの精度が成否を左右します。
勝手な希望や妄想でペルソナを作り上げてしまうと、本当にメッセージを届けたかった顧客へ商品やサービスを訴求できません。
定期的なアンケート調査などによってサイコグラフィックデータの収集を行うと同時に、ペルソナに近しい人の生の意見をヒアリングするなどして、ペルソナの精度を高めていくことが重要です。
※本記事の記載内容は、2024年10月現在の法令・情報等に基づいています。