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通勤定期券をプライベートで使用しても問題ない? 注意点を解説

24.10.08
ビジネス【法律豆知識】
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新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して以降、全国的に出社回帰の動きが見られています。
在宅勤務がメインだった時期は実費支給だった通勤交通費が、通勤定期代の支給に切り替わったという方も多いでしょう。
節約のため、休日の外出時に通勤定期券を利用している方もいるかもしれません。
通常、会社支給のものを私的利用することはNGですが、通勤定期券の場合はどうなのでしょうか?
今回は、通勤定期券の私的利用の是非を解説します。

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交通費は給与の一部として支給

通勤定期券のプライベートでの利用について、結論からいうと、通勤定期代や通勤定期券の現物を会社から支給されている場合であっても、休日などに、それらを私的利用することは問題ありません。
理由としては、通勤交通費は給与の一部として従業員に支払われており、会社は従業員の給与の使い道に関与できないためです。
また、通勤定期券を休日などに私的利用したとしても、そのことで会社に何らかの不利益や損害を与えるとは一般には考えにくいため、問題になる可能性は低いと考えられるからです。
ただし、これらは通勤経路をちゃんと届け出ていた場合の話です。
通勤交通費を申請する際、実情と違う内容を会社に届け出ている場合は話が異なり、不正受給とみなされる可能性が高くなります。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。

(1)徒歩や自転車で通勤しているにもかかわらず、電車やバスを利用した通勤経路を申請している
(2)複数の通勤経路があるなかで、実際には使っていない交通費が最も高い経路を申請している
(3)会社の近くに引っ越しした後も、旧住所からの通勤経路を申請している

いずれの場合も、会社に届け出た経路以外で通勤し、会社から支給されている通勤定期代と実際にかかっている交通費の差額を着服していることになります。
この場合は不正受給に該当すると考えられます。

交通費の不正受給にはどんな処分がある?

交通費を不正受給していることが発覚した場合、多くの会社では就業規則にのっとった処分が下されます。
一般的には、不正受給した分を会社に返還することを求められることが多いでしょう。
場合によっては、戒告や減給、出勤停止、解雇など、より重い処分が下される可能性もあります。
また、故意に虚偽の通勤経路や住所を届け出て、通勤定期代を不正受給している場合は、悪質だと判断され、詐欺罪で訴えられる可能性もあります。
ほんの出来心であっても、重い処分が待っていますので、軽はずみに手を出さないようにしましょう。

上記では通勤定期券を不正受給した場合の処分例について解説しましたが、通勤定期券に限らず、定期券を貸し借りすることは可能なのでしょうか?
家族や友人間で共有できれば便利かつ節約になりそうですが、残念ながら、こちらはほとんどのケースで不正乗車にあたります。
これは現在、鉄道会社やバス会社が発行している定期券の多くが「記名式」となっており、他人名義の定期券を利用することは認められていないためです。
不正乗車が発覚した場合の対応は、鉄道会社やバス会社によって異なりますが、JR東日本やJR東海の旅客営業規則では、定期券を記名人以外が使用した場合、定期券を無効として回収することが明記されています。
同規則では割増運賃についても記載があるため、定期券の利用開始日から不正乗車が発覚した日までの分の割増運賃を請求される可能性もあります。
実際、家族の定期券を借りた人が、不正利用が発覚して88万円を請求されたというケースも存在します。
そのほか、詐欺罪などで告訴されることもあり得るため、定期券の貸し借りは絶対に行わないようにしましょう。

なお、「記名式」ではなく、持参している人であれば使える「持参式定期券」も存在しており、「持参式」であれば貸し借りは認められています。
たとえば、東京メトロの全線定期券の磁気定期券は「持参式」です(IC定期券は記名式のため本人以外の利用不可)。

通勤定期券の私的利用自体は問題ありませんが、実情と異なる内容を会社に届け出ており、その分の通勤定期代が支給されている場合は不正受給にあたり、懲戒処分を受ける可能性があります。
また、定期券の貸し借りも多くの場合で不正乗車にあたるため、注意が必要です。
基本的には、通常利用の範疇内であれば、問題ないとみなされるケースがほとんどですので、良識の範囲内で利用するようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2024年10月現在の法令・情報等に基づいています。