佐々木税理士事務所

夫の死亡退職金は相続財産になるのか?

16.05.06
業種別【不動産業(相続)】
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会社員の夫が、約1ヵ月前に病気で亡くなり、会社から死亡退職金給付の連絡を受けました。

この場合、退職金は相続財産になるのでしょうか?
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まず、夫が死亡した場合、死亡退職金の受給権者を配偶者と定め、民法と異なる順位を定めていますので、受給権は相続財産ではなく、妻固有の権利です。

したがって、妻は、固有財産として、全額を受給することができます。なお、死亡退職金以外に相続財産がない場合には、特別受益が問題になります。 

では、特別受益とは何か?

共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、婚姻、養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けたものがいるときは、これらの贈与を考慮せずに相続分を決めることは不公平です。

したがって、相続分を修正できるようにしています。このような贈与等のことを特別受益といいます。また、このような贈与等を受けた方を特別受益者といいます。 

ちなみに、婚姻、養子縁組のための贈与とは、持参金、支度金、嫁入道具等を出してもらうことをいいます。結納や挙式費用はこれにはあたらないとされています。

また、生計の資本としての贈与とは、事業資金や、住宅取得資金がこれにあたります。 

特別受益があるときには、被相続人が相続開始のときに有していた財産の価額、つまり、亡くなった時点の財産から、特別受益の価額を控除した残額を、特別受益者の相続分とします。 

*相続財産-特別受益の価格=特別受益者の相続分 

特別受益の価額が、相続分の価額に等しく、またこれを超えるときは、特別受益者は相続分を受けることができません。 

特別受益の価額は、相続開始時を基準にします。特別受益があるときの相続分の修正は、公平を図ることが被相続人の通常の意思と推測してなされるものです。

したがって、被相続人がこれと異なった意思表示をした場合には、被相続人の意思が尊重されることになります。 

そこで、特別受益があるときに、被相続人が相続開始の時に有していた財産の価額に特別受益の価額を加えたものを相続財産とみなすことを、持戻と呼んでいますが、被相続人は、この持戻を控除する意思表示をすることができます。

この意思表示は遺言で表すこともできます。 


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