佐々木税理士事務所

公正競争規約の改正によって建設業が行うべき対応ガイド

22.12.06
業種別【建設業】
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『不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)』および『表示規約施行規則』が改正され、2022年9月1日から施行されました。
今回の改正により、不動産広告における規制が強化されたルールと、これまでよりも緩和されたルールがあります。
今回は、公正競争規約の改正のポイントについて紹介します。
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『特定事項の明示義務』は、より厳しく

表示規約とは、不動産の広告に関する規約で、内閣総理大臣および公正取引委員会の認定を受けている自主規制ルールです。
2022年9月1日に施行された『不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)』および『表示規約施行規則』の改正において、規制が強化されるルールと、緩和されるルールが明示されています。

規制が強化されたルールのなかには、建設業にも関係する『特定事項の明示義務』があります。
これまで、土地が擁壁などに覆われていない崖の上または下にあるときは、その旨を明示する必要がありました。
今後は、建物を建築する場合に制限が加えられている場合、その内容もあわせて明示することが定められました(規則第7条第11号)。
たとえば、何らかの制限によって鉄筋コンクリート造りにする必要がある場合には、「建築する際は建物の主要構造部分を鉄筋コンクリート造にする必要があります」といったただし書きを付加しなければなりません。

明示する内容は物件によって異なるため、広告を掲載する不動産会社からどのように記載すればよいかなどのアドバイスを求められる可能性があります。
そのほか規制が強化された主なルールは以下のとおりです。

●販売戸数が2以上の分譲物件では、最も近い住戸の徒歩所要時間に加え、最も遠い住戸の所要時間も表示する
●通勤時の所要時間が平常時を著しく超える場合は、朝の通勤ラッシュ時の所要時間を明示する
●乗り換えを要するときはその旨を明示し、乗り換えに概ね要する時間を所要時間に含める
●マンションやアパートの起点は建物の出入り口とする
●交通の利便については物件から最寄り駅までの徒歩所要時間を明示する


本改正によって規制が緩和されるルール

一方、本改正で規制が緩和された主なルールは以下のとおりです。

●物件名称の使用基準の緩和
海(海岸)や湖沼、河川の岸もしくは堤防から直線で300m以内に物件がある場合、これらの名称を使用することができます。
また、街道に物件が面していない場合も、直線で50m以内であればその名称を使用できるようになりました。

●未完成の新築住宅の外観写真使用について
建物が未完成であっても、以下の条件に該当すればほかの建物の外観写真を使用することができるようになりました。
1.その建物の施工者が過去に施工した建物である
2.構造、階数、仕様が同一である
3.規模、形状、色等が類似している

ただし、上の条件に該当した場合も、ほかの建物の写真を大きく掲載するなど、取引する建物であると誤認されるような表示をすることはできないので注意しましょう。

●公共施設・商業施設の表示方法の緩和
学校などの公共施設、スーパーなどの商業施設を表示する場合、これまでは「物件からの道路距離を記載すること」としていました。
今後はこれに加え、徒歩所要時間の表示も認められます。
たとえば、「スーパー○○まで300m(徒歩3分)」といった表記が可能です。

●二重価格表示ルールの明確化
二重価格表示とは、値下げ等により販売価格が変わるときに、旧価格と新価格の両方を記載することです。
今回の改正で、二重価格表示の要件として以下が明記されました。

<二重価格表示の要件>
1.過去の販売価格の公表日および値下げした日を明示すること
2.過去の販売価格は値下げ直前の価格であって、値下げ前2カ月以上にわたり公表していた価格であること
3.値下げの日から6カ月以内に表示すること(現行と変更なし)
4.過去の販売価格の公表日から二重価格表示を実施する日まで、物件の価値に同一性があること(新設)
5.土地または建物について行う表示であること(現行と変更なし)

<表示例>
販売価格3,000万円(旧価格公表日:2022年8月1日)
→ 販売価格2,800万円(新価格設定日:2022年10月5日)

今回紹介した内容以外にも、本改正によって強化・緩和されたルールがあります。
より詳しく知りたい場合は、不動産公正取引協議会連合会のWebサイトをご確認ください。


※本記事の記載内容は、2022年12月現在の法令・情報等に基づいています。