佐々木税理士事務所

企業と従業員の成長には欠かせない『人材開発チーム』の役割とは

21.01.26
ビジネス【トピックス】
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ここ数年の間に人事部は、社員を評価したり異動を決定したりするほかに、“社員の能力を活かしてパフォーマンスを発揮させる”という役割も担うようになりました。
そして、社員の成長のための取り組みをメインに行う『人材開発チーム』を組織している企業も、わずかながらですが増えてきています。
今後は“採用”よりも重要度が高まっていくと考えられている“人材開発”。
今回は、人材開発チームの重要性とともに、採用や教育と人材開発の違いなどについて解説します。
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“従業員の定着”は採用よりも重要な課題

アメリカでは、多くの企業が『オンボーディング』と『エンゲージメント』の重要性を理解しています。
もちろん日本でも、先進的な企業はすでにこの考え方を取り入れています。

『オンボーディング』とは新入社員をチームの一員としてスムーズに定着させ、育成していくプロセスのことをいい、『エンゲージメント』とは組織のビジョンに向かって従業員が積極的に企業活動に参加する状態のことをいいます。

そして、オンボーディングを取り入れ、エンゲージメントを高める施策を講じるうえで中心的な役割を担うのが、社内の人事部であり、『人材開発チーム』です。
人材開発チームは、従業員の成長を促すための施策を手掛けるチームで、人事部内で組織するほか、別部署という形をとっている企業もあります。

人材開発チームの使命は、新卒社員を含めた全従業員の成長と活躍を目指し、従業員を会社に定着させることといえます。

新卒社員は1年に10%以上が退職し、2年では20%以上、3年では30%以上が退職することがわかっています。
能力が十分に発揮できていない従業員を放っておいて採用に力を入れる時代は終わりを迎え、“いかに従業員に能力を発揮してもらい、生産性を上げるか”が人的資源における重要課題へと変化しているのです。
その背景には、1980年代序盤から1990年代中盤までに生まれたミレニアム世代への対応や、採用環境の変化、また採用コストの高騰などがあります。

もちろん、人事部の仕事において、今でも採用活動に高い比重を置く企業は少なくありません。
しかし、昨今のように新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで採用活動が思うように行えないなかでは、自然と従業員の定着が重要課題となっていくのは火を見るよりも明らかです。


人材の定着率を上げる、人材開発チームの仕事

人事部の仕事は、以下の3つに大別されます。

●コンプライアンス:給与計算や福利厚生、採用等の人事管理を司る
●採用・教育・配属・評価:採用から教育カリキュラムの作成、そして評価までを行う
●人材開発:オンボーディングやエンゲージメント、パフォーマンス管理を行う

就職希望者が溢れていた数十年前のような、企業に有利な買い手市場であれば、人を採用して教育し、退職すればまた補充するということが可能でした。
しかし、少子高齢化や慢性的な人材不足が叫ばれる現在の売り手市場においては、今いる人材のパフォーマンスを上げる人材開発の重要性も無視できません。

最近は、『MotifyHR』や『15Five』、『QUANTUM WORKPLACE』など、人材開発チームのサポートとなるようなソフトも次々とリリースされてきています。
人材開発の場においては、従業員の意識を変えるために外部から講師を呼んで研修を行うこともありますが、このような人材開発に関するソフトの力を借りれば、より素早く問題の可視化や解決につながることでしょう。

多くの新卒社員は、だいたい入社から6~8週間ほどで、このまま会社に残るかどうかを決めるといわれています。

そのようななか、人材開発チームは、“まず社員のことを知り、興味を持ち、仲間として迎え入れる”という重要な仕事を担います。
もちろん最初から負荷のかかる仕事を与えてはいけませんし、逆にまったく仕事を与えないのもよくありません。
コミュニケーションを密にとり、いかに大切な存在であるかを実感してもらうことが何よりも大切です。
これらはまさにオンボーディングのプロセスでもあり、エンゲージメントを高める一つの方法でもあります。

具体的な会社のルールを覚えてもらったり、仕事を教えたりするのが人材教育だとしたら、人材開発とは、従業員に会社の文化を知ってもらい、理念を共有することにほかなりません。
個人と会社のビジョンをつなげていくことが、社員の離職を防止するための有効な方法であり、人材開発チームの仕事でもあります。
人材の定着率に悩んでいる企業は、人材開発についての知見を深めることで、現状を打破するきっかけを得ることができるのではないでしょうか。


※本記事は、ダイヤモンド社から出版された『エンゲージメントカンパニー』(広瀬元義 著)から引用して作成しております。また、抽選で本書をプレゼントしております。数に限りがございますので、ご希望の方はお早めにお問い合わせください。