佐々木税理士事務所

レクリエーションの負担軽減で、スタッフの離職減少へ

19.08.01
業種別【介護業】
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介護施設におけるレクリエーションの準備や実施には、担当スタッフの少なからぬ労力が費やされています。
なかには負担が大きくなりすぎて、本来の業務である介護との両立に疲れ、離職の原因となってしまうケースも。
そこで、スムーズにレクリエーションを実施しつつも、できるだけ準備の負担を減らす工夫が運営側に求められています。
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生活の質を向上させるレクリエーション

多くの介護施設では、レクリエーションが毎日のように実施されています。
その内容は、身体を使う体操やダンス、歌、指先を使う折り紙や工作、手芸、頭脳を使うクイズやゲームなど、多種多様です。
介護施設におけるレクリエーションの主な目的には、以下のようなものがあります。

(1)身体機能の低下防止、維持、向上
身体を動かしたり、指先を使ったりすることが、そのまま機能訓練となります。

(2)認知症の予防、脳の活性化
クイズやゲームなどに取り組むことで、認知症の予防や進行緩和につながります。

(3)ほかの利用者とのコミュニケーション
皆で参加することで利用者同士の交流が生まれます。

(4)利用者の生きがいの創出
レクリエーションで達成感や充実感を提供し、生きる力につなげることができます。

このようにレクリエーションとは、楽しみながら利用者の生活の質を向上し、心身ともに健康的な毎日を過ごしてもらうために、非常に有効的な取り組みといえます。


充実を図るほどスタッフの負担に

レクリエーションを開催するためには、スタッフ内で担当を決め、さまざまなアイデアを元に実施することになりますが、同じような趣向のものが続けば利用者の満足度も下がってしまうため、企画検討だけで一定の時間と労力がかかります。
そして実施が決定されてからも、手芸や工作などの場合は材料の用意が、また新しいゲームなどの場合は、説明の段取りや、スタッフ間でのルールの共有などの準備作業も必要となります。
無事に開催された後には、もちろん後片づけも避けては通れません。

このように、レクリエーションの運営は、その作業量の多さから、充実を図ろうとすればするほど、スタッフにとっては負担が大きくなってしまうものです。
スタッフが少人数の施設では、1人のスタッフが企画から実施まで行わざるを得ません。
そのため、業務時間中に準備が終わらず、持ち帰っての残業になるケースも起こり得るでしょう。
また、介護やリハビリの対応は得意でも、人前で話したり、コミュニケーションを取ったりすることが苦手なスタッフにとっては、毎日のレクリエーションが苦痛で大きなストレスとなることも考えられます。
こうなってしまうと、本来の業務である介護やリハビリの業務を圧迫しかねないばかりか、負担が大きくなったスタッフの離職にも結びついてしまいます。


運営は維持しつつ負担からの解放を図る

先述のように、介護施設にとってレクリエーションは、利用者の生活の質の向上や、機能訓練などを目指すものとして、運営上欠かせないものです。
しかし、現在の介護職員初任者研修の制度では、レクリエーション活動の教育が実施されることはなく、介護レクリエーションを体系的に学ぶ機会はないのが実情です。
そのため、多くのスタッフが“どのようにレクリエーション活動を行えばいいのか”という教育を受けていないことも、レクリエーションに苦労する一因となっています。
レクリエーションもスムーズに実施していきながら、スタッフのストレスや業務負担を少しでも減らしていくためには、どのような対策が考えられるのでしょうか。

まずは、定期的に外部の研修に参加させたり、講師を招いてレクリエーション活動についての教育を受けさせたりすることが考えられます。
また、2014年に誕生した『レクリエーション介護士』は、従来の介護の知識に加え、自身の趣味や特技を生かしながら高齢者に喜ばれるレクリエーションを提供する技能を持つ資格ですが、スタッフにこの資格を取得させたり、有資格者を雇用したりすることなども、有効な手段といえます。

ほかにも、施設近隣のボランティアや趣味のサークルなど、外部に協力をあおいでみるのもいいでしょう。
内部のメンバーだけでは提供できないレクリエーションは、利用者だけでなく、スタッフにとっても大きな刺激となります。
また、書籍のほかに、Web上でも介護レクリエーションのアイデアや素材を無料ダウンロードできるサイトなどもあります。
こういったところから情報を取り入れていくのも、スタッフが企画に時間を費やすあまり、業務時間はもちろん、私的な時間までも圧迫するような事態を回避することができます。

今後の介護事業所の労務管理を行ううえで、レクリエーションの負担からスタッフを解放する手段を講じることは、ますます重要となっていくのではないでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年8月現在の法令・情報等に基づいています。