佐々木税理士事務所

急性期病棟ショックに備える

14.04.06
業種別【医業】
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厚生労働省は、2015年末までに急性期病棟を
9万床削減する方針を打ち出しました。

1年間程度の緩和措置はとられるにしても、
入院患者が待ったなしで
地域に帰される状況が確実に近づいています。
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選ばれるクリニックへのナビゲーション

術後の回復が遅く、
なかなかドレーンが抜けないとか、
感染症が継続し抗生物質を止めると発熱するなど、
あきらかに「急性期」な状況の患者さんが
退院を迫られることはないかもしれません。

しかし、退院調整が進まないまま
リハビリを続けている患者さんや、
緩和ケア病棟やターミナルケアの施設が近くになく、
やむを得ず急性期病棟に入っている患者さんが
この影響をもろに受けるのではないかと思います。

前者については、今後、回復期病棟への加算を手厚くし、
施設を増やしていく方向だそうですから、
リハビリテーションはそちらに期待したいところです。

一方、後者の緩和ケア、
ターミナルケアのニーズの受け皿としては、
今後ますます在宅医療のニーズが
増えるのではないかと考えますがいかがでしょうか。

厚生労働省のかじ取りの方向からみれば、
診療所の経営を考えると今後在宅医療が
“おいしい”市場になるのは間違いありません。

とはいえ、在宅医療にハードルを感じている
開業医の先生方から見れば
「いつ急変するかもしれない患者さんをひとりで見るのは不安」
「24時間の対応を求められても限界がある」
という反論も大いにありそうです。

確かに、医師ひとり、
いやひとつの診療所では難しいかもしれませんが、
複数の診療所同士の連携があれば実施は可能です。

地域の開業医同士が連携し、当番制などではなく、
手上げ方式でゆるい協力関係を保ちつつ、
緩和ケアを含む在宅医療を可能とした
長崎市の「認定NPO法人長崎在宅Dr.ネット
などはその好例です。

「緩和ケアをしようにもオピオイドの使用経験が少ない」
「だいたい、緩和ケアって緩和医療の専門医がやるものじゃないのか」
という反論もありそうですが、
前述の「長崎在宅Dr.ネット」の場合、
地元の長崎大学病院の麻酔専門医や
緩和ケアチームからアドバイスなどの
サポートを受けながら診療しています。

これもまた連携のなせる技。
近くにいる専門医を使わない手はありません。

ちなみに「がん対策基本法」に基づき
各地で実施されている「緩和ケア研修会」では、
病院勤務医のみならず診療所医師も
緩和ケアの基本技術を学ぶことができます。

地域の医師会単位で研修会を開催することもできるので、
志を同じくする地域の開業医との
ネットワークづくりのきっかけづくりにもなるでしょう。

詳しくは日本緩和医療学会「緩和ケア研修会」
をご覧ください。


次回の「選ばれるクリニックへのナビゲーション」は、
「逆紹介が地域連携の要に」をお届けします。


[プロフィール]
中保 裕子(なかほ・ゆうこ)
医療ライターとして全国のがん医療、地域医療の現場を中心に医療者、患者、家族へのインタビューを行うほか、新聞広告等での疾患啓発広告制作、製薬企業等のマーケティング調査の実績も多い。有限会社ウエル・ビー 代表取締役。 
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