税理士法人笠松・植松&パートナーズ

アイディアは、つくるより選ぶのが難しい? アイディアの選び方、その2

15.04.12
ビジネス【マーケティング】
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アイディアを選ぶための8つのテクニック。今回は、その(1)と(2)をご紹介しましょう。まずは、(1)「そのアイディアの根本は何かを、言葉にしてみる」です。

議論の基本は、言語化すること。言葉は、論理の道具です。このアイディアは、何をしたくて、何を表現して、何を目指しているのか? そういった根本的なことを言葉にしましょう。
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そして、言葉は共有の道具でもあります。“青い空に白い雲”というチラシやWebサイトのビジュアルがあって、それを見ているだけでは、好きとか嫌いとかいい感じとかツマラナイとか、議論を共有して前に進めることはできません。が、“青い空に白い雲”で、「この会社の無限の広がりとさわやかなイメージを表している」とか「その商品の屋外での使用を推奨している」とか、アイディアの根本を言語化できれば、その背後にある考え方や意図が共有できるようになります。

論理的に考え、考え方を共有することで、議論は進みます。「“屋外での使用の推奨”はいいね。でも“青い空に白い雲”は普通過ぎるんじゃないかい?」ということになったら、“屋外での使用の推奨”を表現できる、普通過ぎないアイディアを探索すればいいのです。テニスコートをバックに? それも普通過ぎる。じゃあ、あまり見かけないラクロスをかわいい女の子がプレーしているところだと、どうだろうか? とか、そんなふうに。

表面ではなく、奥を見る。根本を考えて、言葉にする。そのことによって、議論は進むし、表面的には採用できないアイディアでも、その“根本”だけを残して別のアイディアを探していくことも可能になります。

次に(2)の「そのアイディアの良いところは何かを、言葉にしてみる」です。

これは、いわば、応援演説合戦タイムです(一人で選ぶ時は、それぞれの案について、自分自身に向けて応援をしてみましょう)。なんとなく良いなと思うアイディアの良いところを、言葉にしていきます。良いなと思う人が、そうでもない他の人に対して応援演説をする、と考えれば良いでしょう。“好きだ、グッと来る、いいと思う、なんとなくいい”ではなく、どこが良いのかを具体的に言葉にしてみます。できるだけ多くの人に分かるような一般的な言語化を試みましょう。

例えば、新入社員歓迎の社内イベントを企画していて、「部長職以上は自ら、余興の芸をひとつやる」という案があったとしましょう。この案の良いところは、“部下たちが部長たちの人柄に触れることができる”“管理職と部下の隔たりが少なくなる”などが挙げられるでしょう。あるいは、「新入社員が学生時代の写真をスライドにして自ら解説する」という案があったとします。この案の良いところとしては、“新入社員ひとりひとりのやってきたことが垣間見えて、その後の仕事上のつき合いにつながる”“新入社員のプレゼンの練習になる”などが考えられます。

このあと、(3)の「このアイディアのダメなところは何かを、言葉にしてみる」に進みます。次回も、引き続き8つのテクニックについて、ご紹介していきたいと思います。

次回の「佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法」は『アイディアは、つくるより選ぶのが難しい? アイディアの選び方、その3』をお届けします。


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法


[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

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