税理士法人笠松・植松&パートナーズ

知っておきたい! 食中毒・異物混入の予防と発生後の対応

22.07.05
業種別【飲食業】
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飲食店にとって、食中毒対策は欠かせないものです。
食中毒は年間を通じて発生しており、夏から初秋にかけては細菌性の食中毒が多くなってきます。
原因によって対策も変わってきますので、正しく実践することが大切です。
そこで今回は、夏の時期に心がけたい食中毒予防と、万が一、食中毒を起こしてしまったときの対応について説明します。
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夏に多く発生するのは細菌性の食中毒

食中毒とは、原因となる細菌やウイルスが食品や容器などに付着して、食べた人の体内に入ることで、腹痛、下痢、吐き気などの症状が出る病気のことです。
食中毒の原因は大きく5つに分けることができ、代表的なものが、細菌、ウイルス、寄生虫、自然毒(フグや毒キノコなど)、化学物質(薬品など)です。
食中毒というと、食品が腐食しやすい夏場に多いと思いがちですが、実は、年間を通じて発生しており、厚生労働省の『食中毒統計資料』によると、過去5年間で最も多く発生した月が10月で、続いて3月、9月となります。

したがって、食中毒の対策は1年を通じて必要です。
ただし、季節によって発生しやすい種類がありますので、原因に応じた対策をしていきましょう。

【季節別の発生しやすい種類】
●梅雨時期と夏:細菌性食中毒
●冬から初春:ノロウイルスなどのウイルス性の食中毒
●春・秋:毒キノコなど自然毒によるもの
●冬:カキやフグなどによるもの

【細菌性食中毒の対策】
高温多湿の時期は、細菌が繁殖しやすい環境が生まれます。
細菌が増殖しやすい環境にしないことがポイントです。
細菌が増える条件は、温度・水分・栄養分の3つです。
これらの条件が揃うと、細菌はどんどん増殖します。
逆にいうと、これらの条件が揃わないように対策することで、細菌性食中毒を予防できるのです。

具体的なポイントは、以下の3つです。
●清潔
細菌は、そもそもつけないようにすることが第一です。
調理前や調理中はこまめに手を洗い、使用する包丁やまな板は、使うたびに洗ってから使用しましょう。
食材を保管する容器や食器類も、アルコール消毒など衛生面を徹底しましょう。
●加熱
一般的に細菌は熱に弱いため、加熱調理時には、中心部まで十分に火を通しましょう。
多くの細菌は、食品の中心部が75℃以上の状態で、1分以上加熱すると死滅します。
ただし、熱に強い細菌やウイルスもあるので注意が必要です。
●迅速・冷却
購入した食材や完成した料理は、冷蔵庫などで迅速に保冷します。
一般的に、10度以下になると細菌の増殖が遅くなるといわれます。
ただし、冷蔵庫に入れて冷却しても完全に細菌が死滅するわけではありません。
また、食材や料理ごとに保存できる期間も異なるため、随時、保存状態を確認することが大切です。

どれだけ万全に対策をしても、食中毒が発生することはあり得ます。
食中毒を出してしまったら、保健所に届け出る必要があります。
次に、その段取りについてお伝えします。


食中毒が出てしまった際の対応は?

食中毒は、飲食店で食事をした人が体調不良を起こし、医療機関を受診するなどして判明することが大半です。
食品衛生法では、医師が食中毒やその疑いがあると診断した場合、24時間以内に最寄りの保健所に届け出ることが定められています。

もし、お客様から飲食店に直接、体調不良などの連絡があった場合は、医療機関の受診を促すと共に、何を食べたかなど状況の聞き取りをして、保健所に連絡を入れるようにします。

保健所は、病院(もしくは飲食店)から連絡があれば、ただちに患者本人に調査を行うことになっています。
同時に、食中毒の発生源と疑われる施設・店舗への立入調査を行います。

立ち入り調査は事前に連絡が来ることもありますが、一刻を争うため連絡がないこともあり得ます。

一般的に、保健所から店舗への聞き取りは、次のようなことを確認されます。

●食中毒が疑われる客の利用日時
●ほかの客からの連絡の有無
●該当する日の利用客数
●原因と疑われる料理の出品数や調理工程
●従業員の健康状態

ほかにも、自店の調理手順がわかる調理手順マニュアルや衛生管理マニュアルの提出をはじめ、必要に応じて調査に必要な情報を求められることがあります。
そして通常は、飲食店への立入調査の結果と、体調不良の患者への聞き取り調査の内容を踏まえて、数日~1カ月以内に行政指導や行政処分といった判断が下されます。

いざ事故が起きたら迅速な対応が求められますので、保健所に伝えるべき内容は、常日頃から準備しておくことが大切です。
食中毒対策は「なんとなく」行うのではなく、きちんとした安全基準に沿って行いましょう。
食品衛生については、新しい対策法や知識が毎年発表されています。
最新情報を常に習得し、従業員に対しても食中毒を起こさないよう、食品衛生についてきちんと教えておくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2022年7月現在の法令・情報等に基づいています。