税理士法人笠松・植松&パートナーズ

少しの気のゆるみが大事故に! 建設現場の安全対策を徹底するには

22.01.05
業種別【建設業】
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建設業では、さまざまな建築資材を取り扱います。
また、工事を進めるにあたり、取り扱いに注意が必要な機械や道具類を用います。
そのため、ほんの少しの気のゆるみが事故につながることも多いといえます。
そこで今回は、建設業における安全対策について紹介します。
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建設業で事故が起こりやすい要因

厚生労働省が作成した『建設業における労働安全衛生対策』では、公共工事における死亡災害は2月に多く発生しているとしています。
これは、年度末の3月を工期末とする案件が多く、2月は追い込み時期にあたるためだと考えられます。
現場で行ったヒアリングの結果、工期を守るため急いで作業をするようになり、現場があわただしくなることや、多数の建設業者が出入りして現場が錯綜していることが分かっています。
そのような状況下では、一歩間違えれば事故に繋がるような、見逃しや気のゆるみなどが起こりやすいといえるでしょう。

また、建設業には、そもそも安全対策が難しい一面があります。
たとえば工場であれば、同じ場所で同じ工程を繰り返すことが多いため、作業工程の改善にも取り組みやすいでしょう。
しかし建設業の場合、構造物が毎回異なるため、その都度、作業計画を立てたり、具体的な工程に落とし込んだりする必要があります。
もちろん先を予測しながら作業計画を立てていきますが、実際に工事が始まってからわかることも多くあることが、安全対策が難しい理由としてあげられます。
また、さまざまな会社から集まった下請工事業者が同じ現場で働いており、工事が終われば現場は解散となるため、継続的な対策を講じにくいことも大きな要因のひとつといえるでしょう。

さらに建設業界における現状として、従事者の高齢化に伴う機能低下も懸念されています。
加齢による注意力が低下したり、疲れやすくなるといった身体的な問題も、事故やミスと無縁とはいえません。
つねにミスが起きることを想定し、ミスを最低限に抑える対策を講じる必要があります。


建設現場における安全対策

次に、建設業界で取り組まれている安全対策の事例を紹介します。
たとえば、安全衛生に関する規格を独自に策定し、現場全体への周知を徹底したり、男性ではなく女性の筋力を前提として誰にでも適応する安全対策を図ったり、代表取締役が現場を自ら訪れて監査することなどは、よく取り組まれている事例のひとつです。

また、『ヒヤリハット』と呼ばれる事故の事例や対策を周知する取組みも効果的です。
その名前の通り、重大な事故や災害につながるかもしれない、ヒヤッとしたりハッとしたりするような小さな出来事を報告しあい、認識することで事故を未然に防ぎます。
労働災害における経験則として知られる『ハインリッヒの法則』によれば、重大な事故1件が発生する背後には29件の小さな事故があるそうです。
そして、その背景には300件のヒヤリハットがあるとしています。

重大な事故を防ぐには、前兆ともいえる小さなミスを見逃さないことが大切です。
ミスやエラーがあった場合にはその都度、原因をしっかり調査して改善することで、重大な事故を防ぐことが可能なのです。

また、厚生労働省では平成23年から『「見える」安全活動コンクール』を実施しています。
「見える」安全活動とは、現場における危険性、有害性を可視化(見える化)することで、意識を向け、安全を維持する活動のことをいいます。

たとえばこれまでにも、『蛍光シールによる安全帯使用状況の見える化』や『“携帯式熱中症計”による作業環境の見える化』など、さまざまな取組みが紹介されてきました。
厚生労働省のホームページでは、ほかにも過去の事例を閲覧できます。
見える化に焦点を定め、自社における安全への取組みを検討してみるのもよいかもしれません。

建設業においてもっとも重要視されるのは、安全対策です。
今後も点検項目は増えていくことが予想されますので、ときには他社の取組みを参考にしながら対策を講じていきましょう。


※本記事の記載内容は、2022年1月現在の法令・情報等に基づいています。