税理士法人笠松・植松&パートナーズ

オマケであっても規制あり! 景品表示法上の景品規制

21.09.07
ビジネス【企業法務】
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『セール期間中に購入されたお客様にもれなく、○○をプレゼント』といった景品付きの広告を目にすることがあるでしょう。
同じ価格帯の競合商品で、どちらにしようかと迷っていたら、折角ならと景品付きのほうを手に取る消費者は多いのではないでしょうか。
そのため、商品を売る会社側も、豪華な景品を付けて多くの消費者に購入してもらいたいと考えるかもしれません。
しかし、オマケである景品についても法の規制があります。
今回は、景品表示法の景品規制について説明します。
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規制の対象となる『景品類』とは

景品表示法は、正式には『不当景品類及び不当表示防止法』といいます。
商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額等を制限することなどにより、消費者の利益を保護しています。

景品表示法において規制の対象となる『景品類』とは、顧客を誘引するための手段として(顧客誘引性)、事業者が自己の供給する商品または役務の取引に付随して(取引付随性)、取引の相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益(経済上の利益)のことをいいます。

必ずしも物やサービスを購入した場合にだけ取引付随性が認められるわけではなく、たとえば、物を買わなくとも店舗に来店したお客に対して物品を提供するような場合であっても、取引付随性は認められます。
また、経済上の利益とは、必ずしも物品など形あるものの提供だけを指すわけではありません。
スポーツなどの催し物への招待や、人によって行われるサービスも含まれます。

逆に、景品類に含まれないものとして、値引きやアフターサービスなどがあります。
値引きの典型的なものには、たとえば『3個以上お買い上げの方には100円引き』や『コーヒーを5回飲んだ方に、次回使えるコーヒー1杯無料券をプレゼント』などがあります。
商品・サービスの購入者に対し、同じ対価で、実質的に同一の商品・サービスを付加して提供する場合は値引きにあたり、景品類には該当しません。
 
アフターサービスは、たとえば家電を購入した際に1年間の無料保証が付いてくるといったものが典型的です。
こちらも景品類には該当しないことになります。


全員プレゼントの景品額は商品価格の20%まで

では、提供するものが景品類にあたる場合、どのような規制があるのでしょうか。

これについては、景品を提供する相手が誰なのかによって、規制の種類が異なります。
主な規制対象は、一定の条件に該当する人全員に物品を提供する『総付景品』、くじやコンテストによって当選者や価額を定める『一般懸賞』、複数の事業者が共同して行う『共同懸賞』の大きく3つに分かれます。
それぞれ提供できる景品類の最高額等が定められており、最高額を超える景品類の提供を行った場合などは、消費者庁長官や都道府県知事が、提供を行った事業者に対し、景品類の提供に関する事項の制限や景品類の提供を禁止することができます。

それではここで、特に問題となりやすい総付景品についてもう少し詳しくみていきましょう。

『ベタ付け景品』とも呼ばれる総付景品は、商品やサービスにオリジナル景品を付けることで、消費者の購買意欲を高めるものです。
商品・サービスの購入の申し込み順または来店の先着順により提供される金品等も総付景品に該当します。
総付景品の場合、商品の取引価額が1,000円未満であれば景品類の最高額は200円まで、1,000円以上であれば景品類の最高額は取引価額の20%までとなっています。

取引価額とは、商品やサービスの実勢販売価格(希望小売価格などに対して、市場で実際に取引されている価格)で消費税を含んだ金額をいいます。
対象となる商品・サービスが複数ある場合には、最も安い商品・サービスの実勢販売価格を基準とします。

定期購入などの継続的な取引で、たとえば購入回数に縛りがある場合には、その縛り期間の合算など、取引の実情に基づいて一定期間の料金を合算した金額を取引価額とします。
小売業者が自店舗の来客向けに実施する場合には、原則として取引価格は100円とみなされますが、その店舗において通常行われる取引価額のうち最低のものが100円を超える場合は、その最低の取引価額が実勢販売価格となります。

事業者側が単なるオマケのつもりで配布している景品が、過大な提供にならないよう、法の規制がなされているのです。

お客の利益になるのであれば、どんなものでも景品として提供してよいというわけではありません。
景品を用意する際には、景品表示法の規定を確認しましょう。


※本記事の記載内容は、2021年9月現在の法令・情報等に基づいています。