税理士法人笠松・植松&パートナーズ

優秀な人材を発掘できるチャンス! 短時間正社員制度導入のすすめ

21.07.27
ビジネス【人的資源】
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近年、子育てや介護、心身の健康などを理由に、フルタイムでは働けない人が増加しています。
また、学び直しや自身の能力開発、副業やボランティア活動など、会社で働くだけでなく自己実現の活動に時間を割きたい人も増えています。
企業には、個々の事情を踏まえた多様な働き方を受け入れることが求められていますし、そうした結果として、企業側にも、フルタイムでは働けないが高い意欲や能力をもつ人材を確保できるというメリットが生まれるのです。
今回は、『短時間正社員制度』の導入について解説します。
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短時間正社員制度を導入するメリット

少子高齢化が進む日本において、優秀な人材を確保するための取り組みを行うことが企業の重要な課題となっています。
そんななか、注目を集めているのが、働く意欲や能力はあるもののさまざまな制約からフルタイムでは働けない人材の活用です。

育児や介護などの事情を抱えた人はもちろん、就業意識の多様化によって、フルタイムでの雇用を望まない人が増えています。
そのようなニーズに合わせる形で、これまでのフルタイム正社員ではなく、短時間正社員として雇用を進める動きが高まっています。

短時間正社員とは、期間の定めのない無期労働契約を締結しており、時間当たりの基本給および賞与・退職金等の算定方法等が、同種のフルタイムの正社員と同等である社員のことを指します。
当然、フルタイムの正社員と同じく社会保険などは適用されます。

通常、フルタイムの正社員は1日8時間の週5日勤務とされていますが、短時間正社員はそれよりも所定労働時間が短くなります。

短時間正社員制度が導入されれば、育児・介護中の労働者は退職せずともその時間を確保できることになり、企業にとっても、これまでフルタイムの正社員としては雇用できていなかった意欲や能力の高い優秀な人材に働いてもらえることになります。
多様な働き方を認めることは、従業員の満足度向上や定着率のアップにもつながり、それぞれの働き方やキャリアの幅を広げることにもつながります。

新規採用に関しても、これまで勤務時間や休日などの条件が合わずに採用することができなかった人材が選択肢に入ってきます。

さらに、改正高年齢者雇用安定法により70歳までの就業が努力義務化されました。
高年齢者を短時間正社員として70歳まで雇用するというのも一つの選択肢として考えられます。


導入の際はニーズを把握し、環境を整えること

多くのメリットがある短時間正社員制度ですが、導入するには、まず社内に制度に対するニーズがあるかどうかを確認する必要があります。
育児や介護などの理由以外にも、思わぬ事情からフルタイムの正社員として働くことが難しいという従業員がいるかもしれません。
アンケート調査を行うなどして、潜在的なニーズを把握しておきましょう。

また、制度を導入する際には、フルタイム正社員と同様に、人事評価制度や賃金などについて検討を重ねておく必要があります。
人事評価については、フルタイム正社員との労働時間の違いを考慮したうえで、同じ基準を用いることが大切です。
目標設定に関しても、労働時間に合わせた目標を設定し、目標となる成果の“質”自体は下げないようにしましょう。

賃金に関しても、基本給に関してはフルタイムの正社員と同じ給与体系で、労働時間に比例して減額します
ただし、基本給以外の手当については、それぞれの事情に照らし合わせながら、短時間正社員としての支給額を検討することも可能です。

賃金については、短時間正社員だからといってフルタイム正社員よりも基本給を低く設定してはいけません。
減額してよいのは、減った労働時間の分だけです。
昇給や昇進に関しても、フルタイム正社員と比べて不公平にならないようにしましょう。

ほかにも、労働時間を短くしたにもかかわらず仕事量がフルタイムと変わらない、補助的な仕事しか割り当てることができない、フルタイム正社員からの理解が得られないなどの問題が出てくる可能性があります。

導入した後も社員にヒアリングを行うなど、問題点を洗い出し、随時改善を行いながら制度の運用を行っていきましょう。


※本記事の記載内容は、2021年7月現在の法令・情報等に基づいています。