税理士法人笠松・植松&パートナーズ

キャッシュレス決済、それぞれの手数料やメリットを比較

21.04.06
業種別【飲食業】
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最近は、現金を使わない『キャッシュレス決済』を利用する人が増えました。
交通系の電子マネーをはじめ、プリペイドカードやクレジットカード、QR・バーコード決済など、実にさまざまな種類の決済方法が登場し、飲食店を含むあらゆる場所で使われています。
こうした多種多様なキャッシュレス決済には、それぞれメリットやデメリットがあり、導入する際には、よく理解することが大切です。
今回は飲食店がキャッシュレス決済を導入するにあたって、知っておくべきポイントについて解説します。
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飲食店のキャッシュレス対応は必須に

スーパーやコンビニ、自動販売機、ガソリンスタンドの支払いから、公共料金など、あらゆるシーンでキャッシュレス決済が行われています。
クレジットカードや、SuicaやPASMOなどの交通系電子マネー、nanaco、PayPay、LINE Payなど、ほとんどの人が、どれか一つくらいは利用したことがあるでしょう。

キャッシュレス決済は種類も豊富で、使う側にとっては、現金を持ち運ぶ必要がなく、支払った金額のうち何パーセントかのポイントが還元されたりと、何かとお得な印象があります。
では、キャッシュレス決済を導入する店舗側には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
まずは店舗での導入に際して、比較すべきポイントについて説明します。


導入前にチェックしておきたい『手数料』

キャッシュレス決済を比較する際に、まず確認しておきたいのが、手数料をいくら負担することになるのかです。

たとえば、Suicaなどの交通系電子マネーやコンビニ系などの電子マネー決済であれば、3~4%が相場です。
1,000円ランチを提供する場合は、高く見積もって1決済ごとに40円を事業者に支払うイメージになるでしょう。

スマートフォンをかざすだけでできる、スマホアプリを使ったQR・バーコード決済なら、1決済ごとに発生する決済手数料は、だいたい0~3%前後までとなります。

上記2つでは、QR・バーコード決済がより安い可能性もあります。
しかし、サービスを提供する会社によっては、それほど違いはないケースもあります。

一方、クレジットカードを使った決済手数料は、業態規模によって相場が異なり、取引が多い大手であれば1%台のところもある一方、個人経営の飲食店であれば、相場は4~7%前後と比較的高めです。
1,000円のランチで換算すると、1食1決済で40~70円の手数料をとられることになります。

クレジットカードの決済手数料の高さは、一見デメリットのようにも捉えられます。
しかし、クレジットカードは金額が高めの買い物の時に使われることが多く、クレジット払いができるからと、高めのメニューを飲食してくれるようなケースもあります。

客がクレジットカード決済ができると思い込んでいて、いざ会計の時に現金払いをお願いしてしまうと、手持ちが足りなかったりして迷惑にもなることもあるので、特に高い支払いになる可能性のある店では、やはりクレジットカードには対応しておいたほうがよいでしょう。

反対に、スマホ世代の若者をターゲットとする軽食やファストフード系の店舗では、手数料の低いPayPayやLINE Payなどの利用に対応するとよいかもしれません。
交通系電子マネーも、ちょっとした決済に使われることが多く、現金と違ってピッとかざすだけなので、お店の回転率が高い時間帯に、レジ前の行列ができにくくなるというメリットがあります。


どれも導入方法は複数ある

●クレジットカード
クレジットカードを導入する際には、読み取り用の端末機器やシステム導入の代金、サービス利用料などの月額費用が必要になります。

カードの読み取り機器については、据え置き型のものであれば10万円程度のものが多く、初期投資として考慮する必要があります。

カードの読み取りをモバイル決済方式にすれば、スマホやタブレットにアプリを入れて、簡易的な装置で読み込むような形で、費用を抑えることもできます。
ただし、データ通信料が固定費としてかかってきます。
サービス提供会社によってはこれらが無料になる導入プラン等が用意されているので、比べて検討するとよいでしょう。

一方、情報流出による不正利用を恐れて、クレジットカードを使いたがらない人も一定数おり、万能選手というわけではありません。

●電子マネー
チャージした分だけ使える電子マネーは、安心感があり、幅広い層の人が持つことができます。
特に、Suicaやnanacoは、手軽に使えて幅ひろく普及している電子マネーです。

電子マネーの代表選手、Suicaであれば、JR東日本の代理店と契約し、Suicaのみを導入する方法もあります。
しかし、契約前に審査があるなど、単体で導入するにはややハードルが高いので、小規模な事業者であれば、他の電子マネー決済もできる『マルチ電子マネー決済端末』を提供している事業者と契約したり、モバイル決済を導入する、などの方が確実かもしれません。

こちらも、決済端末の代金や、月々の契約料がかかってきます。
事業者によって、初期費用や運用コストが少しずつ異なり、費用の発生も、決済ごとなのか月額なのかの違いもあるので、店舗の規模に適したものを探してみるとよいでしょう。

●QRコード・バーコード決済
スマホを利用するQR・バーコード決済は、個人同士の金銭のやりとりにも利用できることからユーザーが多く、手数料が無料のこともあるのが最大のメリットです。

事業者にもよりますが、たとえばPayPayであれば、導入コストや手数料は低めです。
現在は、期限つきではあるものの、初期導入費用、決済手数料、入金手数料がすべて0円です。
QRコード決済サービスについても、提供事業者が多く存在するため、どの会社を選ぶかはよく検討しましょう。

現場では、まだまだ現金主義が根強いように感じられるかもしれません。
しかし諸外国ではキャッシュレス決済が幅広く普及しており、日本でも現金を持ち歩きたがらない人が増えてきています。
この機会に、客層に合ったキャッシュレス決済を検討してみてはどうでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年4月現在の法令・情報等に基づいています。