税理士法人笠松・植松&パートナーズ

いざという時の「安心」のために、飲食店が備えておくべき保険

21.01.05
業種別【飲食業】
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日常的に火を使い、さまざまな設備や什器を扱う飲食店は、火災や設備事故などのリスクが高い業種といえます。
自然災害や盗難などによる損害も含め、アクシデントに襲われて閉店に追い込まれてしまうなどということのないように、保険には必ず加入しておきたいところです。
そこで今回は、知っておきたい飲食店向けの保険や、ニーズに合わせたオプション特約について説明します。
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大半の飲食店が加入している『店舗総合保険』

飲食店の経営には、火災や水害などによる店舗の破損から、食中毒による賠償・休業損失まで、多くのリスクがつきものです。
これらの損害を補償してくれる飲食店向けの保険が『店舗総合保険』(保険会社により名称は異なる)です。
ほとんどの事業主が、万が一の時に備えて、開店準備と同時に店舗総合保険に加入します。

その主な補償対象には、

●火災、落雷、破裂・爆発・風災、ひょう災、雪災、水災
●給排水設備事故による水濡れ
●盗難による盗取・破損・汚損
●騒擾(そうじょう)、労働争議に伴う暴力行為や破壊行為
●電気的・機械的事故、その他の偶然で起こる破損事故
●店舗休業による損害
●建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等、建物内部での車両またはその積載物の衝突・接触

などがあります。
保険会社により扱う内容は異なりますが、修復が必要となる建物や設備・什器の破損に対して、金銭的に補償してもらえる仕組みとなっています。

特に、火災リスクが大きい飲食店では、保険に入っていればいざという時に大きな助けとなります。
どの保険が自店に合っているかを判断するには、まず、店舗に起こりえるアクシデントをリストアップしてみるのが有効です。
たとえば、以下のようなことをチェックしていくとよいでしょう。

●厨房で火を使うか?
●食中毒を引き起こす可能性のある、生ものの提供があるか?
●隣接する建物に火災リスクがあるか?
●従業員がバイクなどを使う宅配サービスがあるか?

など、リストアップしていくことで、火災の可能性、労災リスク、店の過失による損害額がある程度予測できるはずです。
そのうえで、各保険会社が販売している店舗総合保険を比較します。
複数の保険会社と代理店契約を結んでいる『乗合代理店』に問い合わせてみるのもよいかもしれません。
万が一に備える保険は、毎月または毎年の保険料の支払いによって継続されていくものです。
保険加入を考える際は、店舗を守ってもらうはずの保険料に苦しめられないよう、金銭面で無理のない範囲の保険商品を選ぶことが重要です。


さらに備えを厚くしたい場合は

知っておきたい保険の種類に、店舗総合保険と合わせて入るとより安心な『店舗休業保険』などがあります。  

店舗休業保険は、災害や近隣での事故などにより店の休業を余儀なくされた場合に、休業期間中の『粗利益』を補償してもらえる保険です。
粗利益とは、簡単にいえば、“売上から原価を差し引いたもの”になります。
粗利益のなかには人件費も含まれるため、思いがけないアクシデントで休業せざるを得なくなった場合には心強い保険ではありますが、補償額の上限は保険会社により大きく異なるため、注意が必要です。

さらに、賠償責任が生じてしまうようなケースについても、特約で保険に加入することができます。
オプションとして付けられる保険会社は多いので、店舗総合保険に加入する際は覚えておくとよいでしょう。

『借家人賠償保険特約』
火災や盗難、水災などによって借用戸室を損壊し、貸主に対して損害賠償責任を負ってしまった時に補償されます。
店の建物が所有物である場合には不要となりますが、賃貸物件である際には契約しておくと安心といえるでしょう。
『施設賠償責任保険特約』
店舗の安全性や構造に問題があり、客にケガをさせたり、客の所持品を壊したりした場合に補償されます。
店側の欠点により起こる損害ともいえますが、最近、飲食店を悩ます“モンスターカスタマー”から店を守るためにも、備えておきたい特約の一つといえます。

安全に配慮して営業をしていくことが何よりも重要ですが、万が一に備えておくことも大切です。
保険の新規加入や見直しの際は、保険会社や契約要件によっても補償内容や補償金額は大きく違うため、自店の営業形態や業務内容に適したものを選びましょう。


※本記事の記載内容は、2021年1月現在の法令・情報等に基づいています。