税理士法人笠松・植松&パートナーズ

新型コロナウイルスの影響で経営難に陥った飲食店への支援ガイド

20.05.07
業種別【飲食業】
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政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月16日、特別措置法に基づく緊急事態宣言を7都府県から全国に拡大しました。 
外出の自粛を要請すると共に、これまで各自の判断に委ねられていた飲食店の営業にも、一部に休業の要請がされました。
来客数の減少が続いているなか、さらなる経営悪化が予想される飲食店においては、非常に厳しい状況といえるでしょう。
そこで今回は、現在、新型コロナウイルスの影響で経営が厳しくなった経営者に向け、政府や自治体がどのような取り組みを行っているのかを解説していきます。
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資金繰りを助ける貸付保証

4月7日に7都府県に発令された緊急事態宣言に伴い、東京都は休業や短縮営業の要請に対する協力事業者に『感染拡大防止協力金』として、2店舗以上の事業者に100万円、1店舗の事業者には50万円を支払う方針を表明しました。
しかし、全国的にそのような制度ができるとは限りません。
緊急事態宣言の対象に入っていなくても、飲食店としては営業時間の短縮や世間の外出自粛などの影響で、ここからしばらくはこれまで以上の客離れが起きるでしょう。

そんな今、事業者にとって一番気になるのは、資金繰りに関することではないでしょうか。
経済産業省では、新型コロナウイルスの影響を緩和する目的で、飲食店などの中小企業を中心とした支援施策を打ち出しています。
資金繰りに対する施策は信用保証制度と融資制度の二つがあり、自社の現状に則した支援を選ぶことができます。

民間金融機関による信用保証付融資には、『セーフティネット保証4号・5号』『危機関連保証』などがあり、政府系金融機関による融資には『新型コロナウイルス感染症特別貸付』や『セーフティネット貸付』などがあります。

それぞれチェックしていきましょう。

まず、『セーフティネット保証4号・5号』ですが、これは突発的災害(自然災害等)により売上が減少した事業者や、業況が悪化している業種に属している事業者などに対し、借入を保証してくれる制度です。
金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が一般保証とは別枠で最大2.8億円を、4号なら借入債務の100%、5号なら80%まで保証してくれます。

ただし、保証は売上高が減少している中小企業に限ります。
売上高が前年同月に比べて20%以上減少し、その後2カ月を含む3カ月間の売上高が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる場合は4号、売上高が前年同期(3カ月)に比べて5%以上減少している場合は5号の保証を受けることができます。
この制度は、どの金融機関も融資をしてくれないという危機的状況を避けるための制度です。
保証を受けるには、別途、金融機関や信用保証協会による審査が必要となります。

『危機関連保証』は、セーフティネット保証とは別枠で、売上高が前年同月に比べて15%以上減少し、その後2カ月間を含む3カ月間の売上高等が前年同期比で15%以上減少することが見込まれるている場合に限り、さらに最大2.8億円の借入を100%保証するというものです。
つまり、セーフティネット保証と合わせると、最大5.6億円の信用保証枠を確保できます。
利用方法や審査などはセーフティネット保証と同様なので、信用保証協会に相談してみましょう。


軌道修正には給付制度も活用

『新型コロナウイルス感染症特別貸付』は、新型コロナウイルスの影響で最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少した中小企業者に対して、3億円まで貸付する制度です。
事業の運営資金や設備資金を実質的に無担保・無利子で借りることができるため、経営の危機に際しては大きな助けになるでしょう。

また、『セーフティネット貸付』は、現在売上が落ちこんでいるが、将来的に業績が回復するであろう企業に向けた基盤強化のための既存の貸付制度です。
今回の新型コロナウイルス被害の発生により、貸付要件が緩和されました。

セーフティネット貸付では、『売上高が5%以上減少』といった実質的な売上減がなくても貸付の対象になります。
限度額は、中小企業事業7.2億円、国民生活事業4,800万円を限度額とし、金利は中小企業事業1.11%、国民生活事業1.91%(貸付期間・担保の有無等により変動)となっています。
現状は問題ないが、将来的には影響がありそうだという飲食店は検討してみるのもいいかもしれません。

そして、資金繰りを補助する制度以外にも、給付金という形で飲食店を支援する動きも出てきています。

『持続化給付金』は、新型コロナウイルスの影響を受けている事業者に対して、事業全般に使える資金を支給するものです。
売上が前年同月比で50%以上減少している中小企業や個人事業主を対象に、法人は200万円以内、個人は100万円以内で減少分を支給してくれます。
貸付金と比べると限度額は低いですが、再起に必要な資金として大いに役に立つことでしょう。

ほかにも、金融機関への配慮要請や、既往債務の借換などさまざまな取り組みが行われています。
支援を受けるには、近くの日本政策金融公庫と、店が登記してある場所の区役所や市役所へ、電話あるいは窓口で相談する必要があります。
現状、非常に混雑しているという情報もありますが、まずは各窓口でそれぞれの制度の詳細を聞き、自社の現状に適した支援制度をよく知ることが重要です。

店を潰さないためにも、事業主はさまざまな対応策を取らなければいけません。
一人で悩むのではなく、行政や金融機関のサポートを受けながら、今回の経営危機を抜け出しましょう。


※本記事の記載内容は、2020年5月7日現在の法令・情報等に基づいています。