税理士法人笠松・植松&パートナーズ

これから求められていく、『歯科クリニックの専門性』

20.05.07
業種別【歯科医業】
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一般概念としては『歯医者=むし歯を治すところ』という捉え方のある歯科クリニックですが、近年では患者がよい歯医者を選ぶうえで、専門志向が高まっています。
歯科クリニックの種類は口腔外科専門、小児歯科専門などいくつかありますが、専門科1本で勝負するクリニックはそう多くはありません。
つまり、専門特化の歯科が少ない今こそ、アピールすべきポイントを明確にしてほかのクリニックとの差別化をはかるのも手といえます。
自らのクリニックの特徴を全面に打ち出し、集客につなげましょう。
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『認定医』『専門医』という肩書取得で差別化

コンビニエンスストアより数多くあるといわれている歯科クリニック。
それだけ競合するところが多く、経営難で閉院に追い込まれる歯科クリニックも少なくありません。
厚生労働省の『医療施設調査・病院報告』においても、2008年以降は、『開設・再開』よりも『廃止・休止』の方が件数を上回る年も出てきました。
歯科クリニックが乱立する中、患者のクリニック選びも変化してきています。
『地元密着』『痛くない』『親切』といった理由で地元の歯科クリニックに通うのは、もはや主流ではなくなっているのかもしれません。
よいショップ、よいレストランを求めるように、人々がより目的を持って『よい歯科クリニック』を探す時代なのです。

では、よい歯医者とはどんなクリニックなのでしょうか。
もちろん、腕がよいとか施設がきれいといった高評価がネットの口コミに掲載されれば、人気の歯科クリニックになるでしょう。
しかし、ネットの口コミはそう簡単に情報操作できるものではありません。
人気が高いだけではなく、ここは誰にも負けないといった『専門性』を打ち出すことが、人々の求める『よい歯科クリニック』に近づく方法の一つなのです。

もともと診療科目として標榜できるのは、歯科・小児歯科・矯正歯科・口腔外科の4科目。
いずれの科目も、歯科医師免許があれば自由に標榜できます。
そのことはすでに世間でも知られていることであるため、看板が掲げてあるからといって専門性が高いとは限らないことも、もはや一般的に知られています。
一方、きちんと専門性を持っていることを打ち出せるのが『認定医』や『専門医』です。
その分類が歯科医の肩書きにつくだけで、一定の研修や経験を積んでいる医師なのだろうと理解され、よい歯科クリニックを探すうえでの指標にしてもらえるのです。

日本で厚生労働省に認可されている歯科専門医は、以下の5種類があります。

・口腔外科専門医
・歯周病専門医
・歯科麻酔専門医
・小児歯科専門医
・歯科放射線専門医

ほかにも、日本老年歯科医学会・日本補綴(ほてつ)歯科学会など、『認定医』『専門医』を有する学会はいくつかあります。
時間も労力もかかりますが、何かに特化して学びを深めることは、これからの歯科業界で生き残るためには必要不可欠かもしれません。

加えていえば、たとえば米国歯科医師会では以下の9種類が設定されています。

・歯内療法専門医
・歯周病専門医
・補綴(ほてつ)専門医 ※入れ歯やインプラントなどを専門とする
・矯正専門医
・小児歯科専門医
・口腔外科専門医
・口腔病理専門医
・歯科放射線専門医
・公衆衛生専門医

そしてアメリカでは専門医とはべつに、口腔内科・高齢者歯科・口腔顔面疼痛・顎関節症などの特殊専門プログラムがあり、プログラムを通過した医師が準歯科専門医に位置付けられています。
現在、諸外国の歯科もこのように細分化、または専門分野化しています。
チャンスがあれば、日本では学ぶのが難しい分野で『認定医』『専門医』の資格をとると、歯科としての自分のステータス性をあげられることでしょう。


専門性を強みにした情報をWebにアップ

『認定医』『専門医』を掲げれば、専門性が打ち出せることはわかりました。
よい歯科クリニックを求める人のほとんどが、インターネットで情報を得ます。
実は、厚生労働省に認可されている前述の5種類の歯科専門医は、専門医資格として広告することが可能です。

そのほかの団体も、要件を満たせばホームページへの掲載が可能とされているため、各団体へ掲載方法の詳細を確認するとよいでしょう。
ただし、2018年6月施行の改正医療法により、ホームページは広告とみなされることになったので、医療広告規制の対象にならないよう掲載する内容などに関しては注意が必要です。

そういった意味でも、歯科クリニック紹介サイトのインタビューなどは規制を気にすることもなく、簡潔に自己アピールができるチャンスです。
ローカルの情報サイトや既存の情報ポータルページをうまく活用しましょう。

得意とする分野や専門性をアピールすることで、顧客層やニーズも浮き彫りになってきます。
長期的な経営方針に立て直したり、戦略を見直してみるのもよいかもしれません。


※本記事の記載内容は、2020年5月現在の法令・情報等に基づいています。