税理士法人笠松・植松&パートナーズ

たった1匹でも経営リスクに! 春先に徹底したい飲食店の害虫対策

20.03.03
業種別【飲食業】
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飲食店が、食中毒に並んで頭を悩ませる問題が、ゴキブリやハエなどの害虫です。
衛生面のリスクはもちろんですが、もし1匹でも店内で発見されれば、店の信頼が大きくゆらぎ、経営自体が困難に陥る危険性も。
虫は絶対に入れないという意識でのぞみたいものです。
暖かくなり始める今のうちから立てておきたい対策をご紹介します。
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春先の害虫発生が食中毒や感染症の引き金に

寒さが落ち着き暖かくなってくると、植物が芽吹き、同時に虫たちも活動を始めます。
もちろん、ゴキブリやハエなどの害虫も増え、真夏には繁殖のピークを迎えることになります。
彼らは赤痢菌やサルモネラ菌、チフス菌といった深刻な食中毒の原因菌を媒介し、そのフンも喘息などのアレルギーを引き起こすといわれています。
一般家庭のみならず、飲食店にとってもまさに大敵の害虫。
最盛期を迎える前に、害虫を繁殖させないための確実な手を打っておきましょう。

プロの害虫駆除業者によれば、その年の害虫被害を最小限に抑えるポイントは、“春先の時点で徹底した駆除対策をしているかどうか”だといいます。
こまめな清掃は当然必要ですが、客席や厨房の目に見えるところだけをきれいにしていても、衛生面がパーフェクトとはいえません。
飲食店には、シンク下や冷蔵庫裏、配電盤、積み上げた段ボール箱、棚の隙間など、冬場でも暖かく、湿度も適度な場所が多くあります。
これらは虫にとって居心地がよいうえに普段の目が届きにくいため、越冬にも最適の環境です。
こういったところも常にチェックし、侵入経路を完全にシャットアウトすることが必要です。

害虫業者に委託すると、プロの目線で調査し、薬品の塗布や散布、侵入経路遮断などの駆除対策をしてくれます。
費用の相場は1回2~3万円と高額ですが、『衛生面での顧客からの信頼獲得』という、店にとっての重大なメリットを考えれば、害虫対策コストは惜しまないほうがよいでしょう。


保健所の審査基準を参考に店舗をチェック

飲食店の開業前には、店の所在地を管轄する保健所から審査を受けて、『飲食店営業許可』を得る必要があります。
自治体によってこの審査内容は異なりますが、共通する項目は、“食品衛生責任者を置いているか”といった『人的基準』、そしてもう一つは“営業する施設の設備が一定の基準を満たしているか”などの『施設基準』です。
この施設基準では、“衛生状態を良好に維持できる建物かどうか”つまり、害虫や食中毒などの問題を起こさない安全・安心な店づくりが可能かどうかがチェックされます。
たとえば同一の建物内にオーナーの住居がある場合は、“店のスペースとオーナーの住居スペースがしっかり分かれているか”、“調理場とホースの間に仕切りがあるか”などが項目にあげられます。
また、ごみを捨てる設備が害虫の侵入を防ぐ仕様となっていること、床や壁が掃除しやすいこと、床面から1m以上の高さまでの壁全体が耐水性材料であることなども必須とされています。
このほかにも、店内の明るさ、換気扇の整備、必要箇所への金網の設置や、従業員用の手洗い場所、トイレ、更衣室などの設備の有無など、チェック項目は多岐に渡ります。
これらの保健所の審査を今一度見直し、店全体が食品衛生上問題のない設備であることを確認してみて、不備が発見された箇所は早急に改善しましょう。


現場の「このくらいなら……」を許さない

保健所の審査基準も満たし、一通りの掃除をしていても、害虫を呼び込むリスクはゼロにはなりません。
常日頃からスタッフ一人ひとりに、適切な清掃やごみ処理、飲食物や調理器具に触れる手や衣服を清潔に保つことの必要性を説き、現場全体の衛生意識を高めておくことも、ひいては害虫予防の第一歩となります。
「このくらいならいいだろう」という小さな見過ごしが積み重なることで、害虫に居心地のよい環境ができてしまうことを理解してもらいましょう。

暖かくなる春、そして害虫の危険がピークとなる真夏に向けて、今からできる対策を考えてみてはいかがでしょうか。

参照URL:東京都福祉保健局『食品営業はじめてナビ』
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/eigyounavi/flow/regulation/ 


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。