税理士法人笠松・植松&パートナーズ

出張の際の残業や移動時間、賃金はどうなる?

19.03.27
ビジネス【労働法】
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全国各地に顧客がいる企業では、社員の出張が多くなると思います。
もちろん、出張先での業務は労働として認められますが、出張先までの移動時間や、出張先での残業などは、どのような扱いになるのでしょうか? 
今回は、出張先での労働時間について考えていきましょう。
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出張の移動時間は 
労働とはみなされない? 

会社の業務で遠方へ出張する場合、目的地にたどりつくまでには数時間を要します。
この時間は、はたして労働時間になるのでしょうか? 
通常、労働時間とは、業務の開始から終了までの時間から休憩時間を控除したものとされています。
出張の際の移動時間は、拘束こそされているものの、その時間自体は自由に使うことができるため、労働には該当せず、移動中の賃金は支払われないのが一般的です。
移動が電車や飛行機などの公共交通機関であっても、車で自走していても同じです。 
ただし、取引先の担当者などと同行して出張するケースなど、移動時間に接待の要素が含まれている場合は別です。
この場合は労働時間として換算される可能性が高く、見合った賃金を支払わなければなりません。 

また、出張期間内に休日が含まれている場合でも、基本的な考え方は同じです。 
出張先であっても、終日業務に関与する必要がなく、個人の自由に使える日があれば、それは労働時間とは換算されません。しかし現地得意先の接待など、何らかの業務が発生した場合には、その時間は労働とみなされます。 

実際のところ、出張での移動時間や休日について、個々のケースを労働にあたるか、そうでないかを判断していくのは、むずかしいものがあります。
出張者にとっては「自由時間であり、労働時間ではない」と言われても常時拘束されていることには変わりなく、釈然としないというのが本音でしょう。 


残業にあたる業務が発生した場合は? 

このグレーなところをカバーするためにあるのが、『出張手当』です。 
労働基準法では、残業代を残業代という名目で支払わなければならないという規定はありません。
出張で残業にあたるような業務が発生した場合、それに見合う額がこの出張手当として支払われていれば、問題にはなりません。 
ただし、誤解のないようにその旨を就業規則で定めておく必要があります。 

ここで気をつけたいのは、出張の多い業種などで、出張手当が基本賃金にすでに組み込まれているような場合です。 
その場合は、出張中に発生した残業は別途支払う必要があります。
当然、8時間を超えた分については割り増して賃金を計算しましょう。 


出張中の残業や休日を「労働時間」と捉えるかについては、あいまいになりがちなものです。 
会社としては、その一つ一つが業務にあたるものかどうかを判断するより、出張手当について事前に決めておくほうが、業務を円滑に進められます。
自社の業務の性質上、出張中に起こり得ることをあらかじめ想定して、適切な出張手当の金額を割り出してみましょう。 


※本記事の記載内容は、2019年3月現在の法令・情報等に基づいています。