税理士法人笠松・植松&パートナーズ

破産手続きにおける財産の処理

18.11.13
ビジネス【法律豆知識】
dummy
破産手続きを取る際には、すべての財産を手放さなければならないということは、多くの方が聞いたことがあるのではないかと思います。
しかし、実際は一定の基準により、手元に残すことができる財産があります。 
今回は、破産手続き時の財産処理についてご説明します。
dummy
破産財団への組み入れの基準

破産手続き時には、ご自身の有する財産を、裁判所に申告する必要があります。
その際、『預貯金』『保険(解約返戻金)』『退職金見込み額』『不動産』『自動車・バイク』などの費目に分けて申告をすることになるのですが、東京地裁破産部の取り扱いでは、各費目の額が20万円以下の場合には、破産財団に組み入れることを要さず、破産後も手元に残すことができることになっています。
また、各費目20万円以下の基準は、破産手続きが同時廃止となるか管財事件となるかの振り分けにも使われています。

なお、破産者には自由財産というものが認められていて、99万円までの現金は、破産しても手元に残すことができます。
ただし、33万円以上の現金を持っている場合には、同時廃止とはなりませんので、必ず管財事件になる点は注意が必要です。

 
財団組み入れの方法

では、20万円を超える費目があった場合、どのように財団に組み入れられるのでしょうか。
原則は、物であれば管財人が売却してその売却代金を財団に組み入れ、保険や預金であれば解約して財団に組み入れることになります。
しかし、たとえば、条件のよい保険に加入していて、解約してしまうと同じ条件の保険に新たに加入することができなかったり、あるいはすでに病気で保険金の支払いを受けている状況にもかかわらず、保険を解約するなど、困るケースがあります。
このような場合には、その保険の解約返戻金相当額を現金で財団に組み入れれば、保険は解約しないですむことも多いのです。

財産が保険しかなく、代わりに現金をまとめて組み入れることがむずかしい場合には、一定期間、分割で組み入れをする場合もあります。
また、退職金見込み額については、あくまで見込みであり、破産時点では現実化していないという特殊性から、破産財団に組み入れを求められるのは、見込み額の8分の1とされています。
しかし、勤続年数が長く、退職金見込み額が増えている場合には、8分の1でも相当の金額になります。
財団組み入れをどのように行うかは、あらかじめよく検討されることをおすすめします。