税理士法人笠松・植松&パートナーズ

「これ、なんて読むんですか?」難読法律用語をわかりやすく解説

18.12.10
ビジネス【法律豆知識】
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『法律』と聞くと、「とっつきにくい」「なんだかよくわからない」「むずかしい」と思われる方が多いと思います。
大きな理由の一つが、法律関係の文章で目にする専門用語でしょう。
いずれも普段の生活では目にすることがほとんどない、読みづらいものだらけ。
実は、法律家自身でさえ同じように感じているほどです。 今回は、難読な法律用語をいくつか見ていきながら、その意味をわかりやすくご紹介します。
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囲繞地通行権 [いにょうちつうこうけん] 

まずは、民法から見てみましょう。 
読み方は、『いにょうちつうこうけん』または、『いじょうちつうこうけん』です。 

民法210条第1項に書かれていますので、少し読んでみましょう。 
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる』。 
この『他の土地に囲まれて公道に通じない土地』のことを『袋地(ふくろじ)』といい、『その土地を囲んでいる他の土地』のことを『囲繞地(いにょうち)』といいます。 
公道に接していない土地の所有者は、公道までの周囲の土地を強制的に通行することを権利として認められています。
ただし、自分の土地で公道に通じるならどこでも行使できるわけではなく、他人に迷惑をかけない最小限の範囲に限られます。 


瑕疵担保責任[かしたんぽせきにん] 

次も民法からです。 
『瑕疵』は『キズや欠点、欠陥』のこと。 
民法570条では、『売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合、買い主が売り主に対し、契約の解除や損害賠償の請求ができる』と定められており、『瑕疵担保責任』は、売り主が買い主などの権利者に対して負わねばならない責任の名称です。 
なお、この用語は、2017年に成立し、2020年をめどに施行予定の改正債権法により、内容に合わせ『契約不適合責任』と変更されることになっています。 


競業避止義務[きょうぎょうひしぎむ] 

次は、会社法の用語を見てみましょう。 
会社法356条1項に、『取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。 
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。(以下略)』と規定され、 取締役が会社の事業の部類に属する取引を行う場合には会社の承認を得なければならないことが定められており、この取締役の競業取引の規制を表した言葉です。 


任務懈怠責任[にんむけたいせきにん] 

次も会社法からご紹介します。 
『任務懈怠』(『にんむけたい』です。『かいたい』ではありません)とは、任務を怠ることです。 
会社法330条により、取締役は、会社に対して善良な管理者の注意をもって職務を負う義務(善管注意義務)があるとされており、職務の遂行において善管注意義務に違反した場合、会社に対し任務懈怠責任を負います。 
たとえば先述の『競業避止義務』に反する場合のように、取締役がその任務を怠って会社に損害を生じさせた場合などもこれにあたり、取締役は会社に対してその損害を賠償する責任を負います。 


誰何[すいか] 

最後に、読みにくい法律用語の中でも、極めつけと思われるものを一つ紹介します。 
まず、刑事訴訟法212条(現行犯)の条文を一部引用します。
この中に使われている言葉です。 

刑事訴訟法212条(現行犯) 
1 現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。 
2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。 
(一~三 省略) 
四 誰何されて逃走しようとするとき。 

『誰何(すいか)』の意味は、『誰だかわからない相手に対して呼びとめ、問いただす』ことです。 
たとえば、現行犯の目撃者が「お前誰だ、何やってんだ、待て!」などと呼び止めているイメージです。 


いかがでしたでしょうか。 
民法や会社法、刑事訴訟法など、一見とっつきにくいように思える各種の法律。 
しかし、難読用語が用いられている条文には、意外にも身近な問題が取り上げられ、読まれた人それぞれに、何かしら思い浮かぶ場面があったのではないでしょうか。 
法律にはほかにも、労働法など、問題を解決するうえで欠かすことができない法律が多数あります。
いざというときにトラブルから身を守るためにも、覚えていたほうがよいでしょう。