税理士法人笠松・植松&パートナーズ

化粧品広告に「美白効果」は違法な表現!?

17.10.13
ビジネス【企業法務】
dummy
「この化粧品には美白効果があります」
「ぬるだけで美白効果が得られます」

化粧品の広告でこのような表現を目にすることがあるかと思います。

これらの広告表現は「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」に違反する可能性があります。

今回は化粧品における広告表現の注意点について、「美白効果」を事例に見ていきましょう。
dummy
薬機法の大原則とは!? 

薬機法上、化粧品の効能効果として表現が認められる範囲は限られています。 

化粧品の広告において、あたかも医薬品であるかのような表現が記載されていると、一般の消費者は、“化粧品”と“医薬品”の区別がつきません。 

“化粧品”を“医薬品”と誤認して購入してしまうと、治療を受ける機会を逃してしまい、場合によっては身体に害を及ぼしてしまう可能性があります。 

このような一般の消費者に対する不利益を防ぐために、化粧品の効能効果として認められる範囲を逸脱する表現は、薬機法で制限されているのです。 

「美白効果があります」という表現は、当該化粧品に「肌自体の色を白く変化させるような効果」があることを暗示しています。 
肌自体の色を変化させるのは薬理作用であり、一般の消費者に対して医薬品であるかのような誤認を与えてしまいます。
当然、化粧品の効能効果として美白効果は認められていません。 

以上の理由から、薬機法違反となる可能性があるのです。 


「美白効果」と表現したら、直ちに薬機法違反になる? 

「美白効果」という表現を用いたからといって、すべてが薬機法に違反するわけではありません。 

化粧品として認められる表現の範囲内で、前後の文脈や写真、注釈などの広告全体から、それが肌自体の色を変化させる「美白効果」を指しているのではないということが消費者に伝わる場合には、薬機法に違反しないのです。 

たとえば、「シミ、ソバカスをきれいに隠し、お肌を白く見せてくれます」といった「化粧品によるメーキャップ効果によって肌を白く見せる」旨の表現であれば、薬機法に違反しません。 

さらに、一定の効能効果について厚生労働大臣の承認を得ている「化粧品的医薬部外品(薬用化粧品)」は、その承認を受けた効能効果を明示した説明表現を併記することが可能です。 

たとえば、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」という効能効果の承認を得た薬用化粧品の広告だと、「美白効果」の注釈として「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」とわかりやすいように近くに明記することが考えられます。 

このように「美白効果」があるとして承認を受けた範囲内の説明表現と、その対応関係がわかるように併記されている場合には、薬機法違反となりません。 

「美白効果」というひとつの表現をとっても以上のような原則と例外があります。
化粧品などを販売する際には、薬機法に詳しい弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。