税理士法人笠松・植松&パートナーズ

拡大するZEH事業、2018年の新たな補助金の対象は?

18.07.26
業種別【建設業】
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東日本大震災後の電力需給の逼迫やエネルギー価格の不安定化などに伴い、家庭でも効率的な省エネと再生可能エネルギーの利用が進んでいます。その結果、集合住宅だけではなく、戸建て住宅でも、消費されるエネルギーを太陽光発電などで自給することが可能になりました。 
さらに、より高性能な設備によって消費エネルギー自体を抑えることで、環境にやさしい住宅の普及が進んでいます。 
そんななか、政府の『エネルギー基本計画』(2014年4月閣議決定)に基づき、経済産業省によって進められている新築住宅の建設促進事業が『ZEH支援事業』です。 
今回は、その概要や、支援を受けるための条件等をご紹介します。
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ZEHとは?

ZEHは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で、再生可能エネルギーを使用して省エネ化を目指す住宅のことです。
具体的には次のような特徴があります。

・高断熱で、家の中を『夏は涼しく、冬は暖かい』といった快適な状態に保つためのエネルギーをできるだけ必要としない
・高性能設備で、エネルギーを上手に使う家
・太陽光発電などによってエネルギーを作り出す家

経済産業省は、2020年までに、ZEHを新築住宅の標準にすることを目標にしています。
加えて、新築住宅の50%以上をZEHとする目標を宣言するハウスメーカーを公表するなどの働きかけも行っています。
また同省では、以前よりZEH推進に向けて支援事業を行っており、その財源内において対象住宅に補助金を支給してきました。

2018年度は経済産業省だけではなく、国土交通省、環境省との3省連携で支援事業を行うことが発表されました。
集合住宅に関しては経済産業省と環境省が支援を行い、戸建て住宅では3省がそれぞれ予算内で支援を行うことになっています。


2018年ZEH支援事業の要件

2018年のZEH支援事業では、ZEHに加え、より認定基準が厳しく補助金の額が上がった『ZEH+(ゼッチ・プラス)』が新設されました。
補助金の額は、ZEH住宅であると認定されれば70万円、『ZEH+』では115万円になります。また、蓄電システムについては消費電力量(kWh)ごとに3万円の補助金の対象となります。
それぞれの認定要件は次のようになっています。

・ZEH住宅の認定要件
1.分譲建売住宅、または注文住宅
2.強化外皮基準を満たしている(『強化外皮基準』とは、住宅の断熱性についての指標)
3.再生可能エネルギーを導入している
4.再生可能エネルギー以外の一次エネルギー消費量から20%を削減
5.再生可能エネルギーを加え、一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減

・ZEH+の認定要件(ZEH+は注文戸建て住宅が対象)
1.強化外皮基準を満たしている
2.再生可能エネルギーを導入している
3.再生可能エネルギー以外の一次エネルギー消費量から25%を削減
4.再生可能エネルギーを加え、一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量を削減
5.以下のうち、2つ以上を実施していること
  外皮性能のさらなる強化
  高度エネルギーマネジメント
  電気自動車への充電

ちなみに、高度エネルギーマネジメントとは、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム・HEMS(Home Energy Management System)によって自宅の消費エネルギーをコントロールして自動制御ができることを指します。
HEMSを導入することで、自宅のどの部分にどれくらいのエネルギーが消費されているかを『見える化』できます。
HEMSの導入は、ZEHの促進に役立つのです。

消費エネルギーの収支がほぼゼロになることを目指すZEH。
暮らす人にとっては補助金に加えて、経済的なメリットも期待できます。そのため、今後ますますZEHのニーズは高まるでしょう。

国の支援も手厚い、ZEH支援事業の今後の動きに注目です。




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