税理士法人笠松・植松&パートナーズ

介護業界の腰痛率は90%以上! 腰痛防止対策に使える助成金はある?

17.10.06
業種別【介護業】
dummy
腰痛持ちの方が一番多い業界といえば、皆さんはどの業界を思い浮かべますか? 

「建設業」「運送業」「倉庫業」など体力が必要な業界ではなく、「介護業界」で働く人が腰痛持ちになるケースが多いようです。 

これは、厚生労働省が公表した「労働災害発生状況」で明確な統計数字となって現れています。
dummy
統計によると、労働災害で一番多いのが「動作の反動・無理な動作によるもの」とされており、続いて「転倒」「交通事故」の順でした。 

「動作の反動・無理な動作によるもの」として実際に起こった事例では、以下が挙げられます。 

・入浴介助中に腰に痛みを感じた 
・ベッドから車いすに移乗介助する際、腰に激痛が走った 
・中腰でおむつ交換をしているときに、腰に痛みを感じた 

どの事例も介護現場では当たり前のように行われている日常の動作・作業によるものです。 

また、人手不足が慢性化している介護現場では、他のスタッフにサポートの要請を言い出しにくい状況でしょう。我慢して作業したことにより、腰痛が発症したケースが増えているようです。 

では、施設としてどのような腰痛防止対策をとっていく必要があるのでしょうか。 

まずハード面として、介護福祉機器などを導入し、スタッフの負担を軽減させる対策が考えられます。 

たとえば、移動・昇降用のリフトやエアーマットを導入すると、体位変換や移動時の介助の負担が軽減されます。 
これらの機器は「職場定着支援助成金(介護福祉機器助成コース)」に申請すると、介護福祉機器の導入に要した費用の25%(上限150万円)を助成してもらうことが可能です。 

コスト面で躊躇されている施設では、助成金の活用を視野に入れた設備導入をおすすめします。 

またソフト面では、一般健康診断に加え、腰痛防止対策として「腰痛健康診断」を制度化する施設が増えています。 

平成25年に厚生労働省が策定した「職場における腰痛予防対策指針」で、介護や看護の職に従事する職員は6ヵ月以内に1回の割合で腰痛健診を実施することが求められており、制度化の増加につながったと考えられます。 

現在、この方針は法的な義務ではないので、「制度化しない」と考えている事業主もおられるかもしれません。
ただ、こちらも制度導入時の1回のみですが、助成金を活用することが可能です。 

介護スタッフの腰痛防止のためにも導入の検討をおすすめします。 

増え続けているスタッフの負担軽減とゆとりのある介護のためにも、まずは助成金を積極的に活用しながら、職場態勢を整備してみてはいかがでしょうか。



介護事業最前線