顧客満足度を大きく左右する、事前カウンセリングの重要性
美容室において、お客の満足度を大きく左右する要素の一つに、「カウンセリング」があります。
人によって髪の状態や理想のイメージは人それぞれ異なるため、施術前の丁寧なコミュニケーションが、期待を超える髪の仕上がりと心地よい体験を生み出すカギになります。
美容室におけるカウンセリングの重要性をあらためて掘り下げ、その目的や具体的な流れ、顧客満足度を高めるためのポイントを解説します。
信頼関係を築き、施術の期待感を高める
美容室におけるカウンセリングとは、お客が来店してから施術に入る前に行われる、美容師とお客とのコミュニケーションのプロセスを指します。
美容師はお客に希望のヘアスタイルをうかがうだけでなく、髪の悩みや普段のスタイリング方法、ライフスタイル、言語化されない要望までを、施術前の数分から数十分の間に、ヒアリングして理解しなければいけません。
このヒアリングした情報を基に、お客にとって最適な施術プランを提案することが重要です。
つまり、カウンセリングは、お客にとっては自分の思いを伝えられる場であり、美容師にとってはお客のニーズを正確に把握する機会だといえます。
お客との信頼関係を築き、施術への期待感を高めるための、非常に大切なステップであることを認識しておきましょう。
カウンセリングは、お客の理想とするヘアスタイルを実現し、満足度の高いサロン体験を提供することが目的です。
そのためには、まずお客の現在の髪の状態を把握する必要があります。
髪質、太さ、硬さ、ダメージ具合、過去の施術履歴などを確認することで、施術の可否や最適な薬剤、テクニックを選択するための基礎情報を得ることができます。
こうした情報により、パーマがかかりにくい、カラーが入りにくいといった施術上のリスクを回避することにもなります。
次に、お客が抱える髪の悩みや、理想のヘアスタイルを具体的にうかがいます。
言葉だけでなく、ヘアカタログや画像などを活用してイメージを共有することにより、認識のずれを防ぎましょう。
また、普段のスタイリングにかける時間や、挑戦してみたいヘアスタイルなどもヒアリングすることで、お客のライフスタイルに合った提案が可能になります。
さらに、アレルギーの有無や頭皮の敏感さなど、施術における注意点を確認することも重要な目的の一つです。
安全かつ快適に施術を受けてもらうためには、美容師とお客の双方が気になる部分を、すべてヒアリングして確認しておきましょう。
顧客満足度を高めるカウンセリングのコツ
満足度の高い施術と信頼関係の構築に大きく影響するカウンセリングですが、不慣れな状態だったり不備があったりすると、正確に情報を収集できませんし、お客に不快な思いをさせてしまうかもしれません。
効果的なカウンセリングを行うためには、いくつかのコツがあります。
まず大切なのは、お客にリラックスしてもらえる雰囲気づくりです。
お客が来店されたら、まずは笑顔で迎え、すぐに本題に入るのではなく、「今日はよいお天気ですね」「お疲れではありませんか?」など、簡単な会話から入ることで、お客の緊張をほぐします。
また、お客が席に着かれたら、本日の要望を伺う前に、髪の現状や悩みについて質問します。
「最近パーマやカラーはされましたか?」「何か気になる髪の悩みはありますか?」など、具体的な質問を投げかけ、お客自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出しましょう。
ヒアリングによって、お客の希望を伺ったら、髪の状態を踏まえ、具体的なヘアスタイルを提案します。
その際、スタイルの再現性や、お客のライフスタイルに合わせたスタイリング方法なども含めて、丁寧にわかりやすい説明を心がけましょう。
「このカットでしたら、ご自宅でもスタイリングが簡単にできますよ」「パーマをかけることで毎朝のセットが楽になりますよ」といった具体的なメリットを伝えることで、お客は施術への期待感を高めることができます。
あわせて、使用する薬剤や施術時間、料金なども明確に伝えることで、お客の不安を解消します。
最後は、仕上がりのイメージや、スタイリング方法などを再度確認し、お客が納得したうえで施術に入るように心がけましょう。
カウンセリングで得た情報は、カルテに詳細に記録して、スタッフと共有しておくことが大切です。
髪の状態、希望のヘアスタイル、施術内容、アレルギーの有無、スタイリングの好みなどを記録することで、次回の来店時にスムーズな対応が可能になりますし、担当が変わる場合でも、一貫したサービスを提供することができます。
カウンセリングは、顧客満足度を大きく左右する美容室の経営において非常に重要な要素です。
丁寧なカウンセリングを通じてお客のニーズを正確に把握し、期待を超える仕上がりを提供することで、リピート率の向上とサロンの成長につなげていきましょう。
※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています。