税理士法人笠松・植松&パートナーズ

態度や表情で攻撃! 職場での『サイレントモラハラ』に注意!

24.09.10
ビジネス【人的資源】
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モラハラとは『モラルハラスメント』の略で、モラル(倫理観、道徳)に反した言動や態度で相手の人格や尊厳を傷つける行為を指します。
そして、言葉を発さずに、態度や表情、行動で相手を追い詰めるのが『サイレントモラハラ』です。
サイレントモラハラは言葉や暴力による攻撃ではないため、表面化しづらいという特徴があります。
しかし、サイレントモラハラを放置していると、被害者が精神的に追い詰められ、休職や退職してしまう可能性があります。
従業員を守るためにも、サイレントモラハラの防止策を学んでおきましょう。

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無言で相手を追い詰める、モラハラの一種

『モラルハラスメント(モラハラ)』は言葉や態度などで、相手を精神的に追い詰めるハラスメントです。
一方、『パワーハラスメント(パワハラ)』は、優位な立場を利用し、業務の範囲を超えて、相手を精神的または肉体的に追い詰めるハラスメントを指します。
そのため、同じ行為がモラハラとパワハラの両方に含まれることもあります。
たとえば、上司からの「役立たず」「早く辞めろ」など、相手の人格を否定するような発言は、モラハラであり、パワハラの6類型あるうちの一つである「精神的な攻撃」にも該当します。

パワハラとモラハラの大きな違いは、優位性の有無です。
パワハラが上司から部下など優位的な関係に基づいて行われるのに対し、モラハラは優位性を問わず、夫婦間や同僚間など、本来は対等な関係であっても発生します。

暴力などで身体的な危害が加えられるわけではないため、ただでさえ発覚しづらいモラハラですが、さらにやっかいなのが『サイレントモラハラ』の存在です。
言葉に出さずに相手を攻撃するサイレントモラハラは、実態が把握しづらく、パワハラやセクハラ、モラハラなどよりも表面化しづらいハラスメントといわれています。

では、どういった行為がサイレントモラハラになるのでしょうか。
たとえば、何を聞かれても一切答えない、挨拶に応じない、目を合わせないなどの「無視」、大きな「ため息」や、繰り返しの「舌打ち」、無言の「にらみつけ」、不機嫌な「表情」や「態度」などは、すべてサイレントモラハラに該当します。
また、相手に聞こえるような大きな声で、不平や不満をこぼす「独り言」もサイレントモラハラといえます。
ほかにも、実際の職場で報告されている例として、会議の内容など業務上必要な情報を共有しない「情報の非共有」、職場のイベントなどに呼ばない「集団での排除」などがあり、意図的にこれらの行為が行われることで、業務に支障をきたすおそれもあります。

サイレントモラハラは、いわゆる無言の嫌がらせのことで、態度や表情だけで相手にプレッシャーや緊張感を与え、萎縮させます。
被害者は次第に孤独感や劣等感を抱くようになり、最終的には休職や退職へと追い込まれていきます。

立証がむずかしく、被害を自覚しづらい

パワハラやセクハラなどと同様、サイレントモラハラも絶対に許してはいけない行為であり、企業としては、すぐに何らかの対策を講じたいところです。
しかし、サイレントモラハラは言葉や行動が伴わないため、立証がむずかしく、被害者自身もサイレントモラハラの被害者であることを自覚しづらいという特徴があります。
「過敏になっているだけかもしれない」「機嫌が悪いのは自分に落ち度があったからだろう」などと考えるサイレントモラハラの被害者は少なくありません。
このように、被害者が第三者に相談せず、問題を自分の心に秘めてしまうことがサイレントモラハラの大きな問題点といえます。

サイレントモラハラを防止するためには、まずはどういった行為がサイレントモラハラに該当するのか、全従業員に周知を図り、被害者がいれば「自分は被害者なんだ」という自覚を促すことが大切です。

そのうえで、被害者が周囲に相談したり、声をあげたりしやすい環境づくりを行なっていきましょう。
具体的には、定期的な面談の実施やハラスメント相談窓口の設置などで、被害者の声を拾えるようにしておくことが重要です。

被害者がみずから申し出るには勇気が必要で、諦めてしまうこともあるため、第三者が匿名で通報できるような制度の整備も行わなければいけません。
匿名のアンケート調査やメールフォームなどは、被害者はもちろん、サイレントモラハラの現場を目撃した第三者が通報しやすい取り組みの一つです。
自身の周囲でサイレントモラハラが疑われるような状況があれば、随時書き込んでもらいましょう。

サイレントモラハラはとても陰湿で悪質性の高いハラスメントです。
特に上下関係に厳しい職場やコミュニケーション不全の起きている職場で発生しやすいといわれています。
もし、複数人の通報や証言などで、サイレントモラハラが実際に起きていることが明確になった場合は、加害者の処分も考えなければいけません。
防止措置が事業主の義務となっているセクハラやパワハラと同様に、サイレントモラハラが起きないような防止措置を講じていきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年9月現在の法令・情報等に基づいています。