『桐島部活やめるってよ』
この映画は私が高校生の時に原作である小説が発売され、 同じく、高校生の時に映画化し日本アカデミー賞を数部門受賞しております。
私が初めて見たのは高校生の時でそれから何度か観ているのですが、 お盆休み中に、pivoの裏のビルの屋上にて上映会があったので観てきました。
吉田大八監督の映画は他にも面白い映画が多数あります。 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』とか『紙の月』とかがおすすめです。
原作者の朝井リョウの他の小説ですと『何者』とかが有名です。
昔、朝井リョウがやっていたオールナイトニッポンも面白かったですし、 現在、元AKB48の高橋みなみとやっているラジオも非常に面白いです。
是非そちらも聞いてみてください。
上映会の後でスタッフの方が解説していたのですが、 日本アカデミー賞は私もそうですが、全然注目していないといいますか、 大きい配給会社の作品が持ち回りで受賞していると言われているほど、 余り名誉がない(全部そうですが個人的な意見です)のですが、 この作品はそこまで大きくない配給会社からの映画ながら作品賞を受賞しております。
あらすじは、 バレー部の部長であり、勉強もでき、モデルみたいな彼女もいる桐島が、 突如バレー部をやめることにより、学校全体がパニックになるお話です。
バレー部からの視点、 同じ予備校に通う仲良しグループからの視点、 桐島の彼女を中心とする女子ブループからの視点、 スクールカースト底辺の映画部からの視点、
等、同じ時間、同じ現象を様々の視点から描かれます。 『羅生門』みたいな感じの手法です。
突然県選抜に選ばれるほどの逸材である桐島を失ったバレー部は、 それでも残された自分たちでやらねばならいと奮闘しながらも、 何故やめてしまったのか?と、戸惑いを隠せずにいます。
桐島の親友であり、同じくイケメンで運動神経も頭もいい東出君(役名は忘れました)は 高校2年の進路希望を記入するアンケ―トが配布されるも将来を明るく考えることができません。
東出君は彼女がいるも(この彼女が超嫌な奴!)全然楽しそうでなければ、 運動神経がよく、野球部に所属しているも部活をサボり続けています。
この映画の主題として東出君が『自分は何のために生きているのか?』と、 自問するところにあると思います。(直接的にそのようなことをいうシーンはありません)
一方、映画版では映画部の神木隆之介君視点が主軸で描かれます。
映画部では先生が書いた青春映画の脚本でコンクールに挑み、 2次選考で落選し、それを全校生徒の前で発表させられ笑いものにされてしまいます。
その後顧問の先生に撮りたいものを撮りたいということを主張。 神木君はゾンビ映画の脚本を先生に渡すも、 「生活の半径5m以内の作品を作れ」と意味不明なことを言われてしまいます。
そもそもゾンビ映画っていうのはジョージ・A・ロメロが、 ベトナム戦争や不景気等当時のアメリカのグロテスクな側面を より伝わりやすい表現として発明したものですからね。
エンタメとしても素晴らしい訳ですが。
ここで神木君が先生に対して「ロメロはマニアックなんかじゃない!」と食ってかかるシーンも最高です。
神木君は反対されながら撮りたいもの撮って落選したほうが諦めがつく ということでゾンビ映画の製作に取り掛かります。
映画は桐島界隈のパニックと、映画部のゾンビ映画製作が並行して進行していきます。
よく、この映画の感想で「桐島がでてこないのがわからない」などとトンチンカンなことをいう人がいるのですが、 この映画では桐島がでてこないが故の騒動を描いているのでそりゃ出てこないだろうと思います。
映画評論家の町山さんが言っていてしっくりした言葉としては この映画は「神の不在」を描いているのです。
この映画は何も心を高校生にして観る必要は全くなく、 東出君の陥っている問題や、神木君は周りからの評価は非常に低いが、 自分の好きなことに夢中になっている様や、 微妙な人間関係に頭を抱えて本当に自分らしくいることができない様子などは、 大人が自分の環境に置き換えて観ることも可能かと思います。
エンタメとして見せ方なども大変すばらしい映画ですので、 たかが青春映画だと思って敬遠していた方は是非観てみてください。
以上。