税理士法人すずらん総合マネジメント

今週のスタッフブログ

24.07.15
スタッフブログ

今週のスタッフブログ
 1.贈与税のお話し
 2.法人の益金 無償取引課税について

1.贈与税のお話し

今回は贈与税を簡単にお話しします。

先日も贈与税の改正点についてお客様から質問がありました。

贈与税は、個人から贈与により財産を取得した場合に課税される税金です。

相続税は相続発生時に現存する財産に課税される税金です。

ならば生前に贈与により財産を移転すれば、相続税の負担が軽減されます。

これを防止する為に生前の贈与についても課税することになっています。

このことからも贈与税は相続税の補完税と言われています。

 

1、課税対象は

現預金や自社株、有価証券、不動産など金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものであるが、低額譲受、債務免除などにより受けた利益のように、実質的に贈与により取得したともなされるものになります。

 

2、計算方法は、下記①暦年課税と②相続時精算課税を選択できますが、

1度相続時精算課税を選択すると、その選択した年分以降はすべて

相続時精算課税制度で計算しなければなりません。

なおこの選択はその選択に係る贈与者ごとにできます。

たとえば、父からは暦年課税だけど、母からは相続時精算課税とすることが

できます。

「暦年課税」
贈与税は毎年1月1日から12月31日の暦年に贈与に取得した財産の価額の合計額から、110万円の基礎控除を控除した後の金額に超過累進税率(10%~55%)を乗じて計算します。

また、直系尊属からの贈与で一定の要件に該当した場合は特例税率の適用で税額が軽減されます。

「相続時精算課税」
親子間等の贈与で一定の要件に該当し、贈与を受けた場合に一定の税率で贈与税を納付し、贈与者に相続が開始した場合にこれを精算します。

この制度は、納税者の選択により、暦年単位による贈与税の課税方法「暦年課税」に代 えて、贈与時には本制度に係る贈与税額(特別控除額:累積2,500万円、税率:一律20%) を納付し、その後、その贈与をした者の相続開始時には、本制度を適用した受贈財産の価 額と相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額を課税価格として計算した相続税 額から既に納付した本制度に係る贈与税額を控除した金額を納付することにより、贈与税・相続税を通じた納税をすること ができるものです。

 

3、申告と納税は

贈与税は受贈者が贈与をうけた年の翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税の申告と贈与税を納付します。

4、その他

婚姻機関が20年以上の夫婦間で居住用不動産又は居住用不動産を取得する為の金銭の贈与があった場合には、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円の贈与税の配偶者控除の適用があります。

5、暦年贈与関係の改正(令和5年改正)

相続又は遺贈により財産を取得した方が、その相続開始前7年以内(改正前は3年以内)に令和6年1月1日以降に被相続人からの贈与により取得した財産が有る場合、その取得した財産の贈与時の価額を相続財産に加算しまが、延長された4年間に贈与により取得した財産の価額については、総額100万円まで加算しないことになりました。

6、相続時精算課税の改正(令和5年改正)

相続時精算課税を選択した受贈者は令和6年1月1日以降、特定贈与者ごとに1年間に贈与した価額の合計額から基礎控除額110万円を控除することが出来るようになりました。

 

7、贈与があった場合は基礎控除以下でも契約書を交わすことや現金贈与の場合は相手先の預金口座に振込んで履歴を残すことが、その後のトラブル回避につながります。

贈与税の申告は現預金のように評価が簡単なものから自社株や不動産のように財産の価額の評価等が特殊で難しい場合がありますので事前に税務署や税理士へのご相談をお勧めいたします。

 

「参考:国税庁 税大講本 税法入門、相続税法」

鈴木


2.法人の益金 無償取引課税について

前回は金子宏先生の租税法を基に所得の概念について簡単に紹介いたしました。

そこでこれからは法人税法における益金概念について複数回にわたり紹介させていただきます。

 

現行の法人税法は昭和40年に全文改正され、今に至ります。法人税法において規定されている益金の取引に関して、一般的に理解に難しいものも含まれており、今回はその概要について触れていきます。

 

法人税法21条において「内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。」とされていますが、法人税法では特に所得に対する定義はされていなく、その所得の計算方法として、法人税法22条1項において「当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。」と規定されています。

さらに、各事業年度の益金の額及び損金の額に算入すべき収益、費用の範囲については法人税法22条2項、3項にそれぞれ規定し、それを補完する規定として「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(法人税法22条4項)が定められている。このことからも分かるとおり、我が国の法人税法は収益、費用に関して22条2項及び3項にてその範囲は規定しているものの、その定義的規定はなく、「一般に公正妥当と認められる会計処理」(以下、公正処理基準。)に従って計算された収益及び費用の額を基礎としています。これに、法人税法22条2項、3項及びその他別段の定めにより法人税法独自の規制、制限を加え、益金及び損金の額を計算しているのです。故に、所得の算定にあたり公正処理基準に準拠するものの、企業会計上の収益の額と法人税法の益金の額は異なる額となることになります。

法人税法22条2項は「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。」と規定されています。ここで例示された、資産の販売、有償による資産の譲渡、有償による役務の提供については、特筆すべきものはないと思います。重要な論点は無償による資産の譲渡又は役務の提供ではないでしょうか。

企業会計上では、無償による資産の譲受けはその適正価額により受け入れることとされていますが、無償による資産の譲渡又は役務の提供は収益とは認識されていなく、昭和40年、法人税法全文改正の際に新たに規定されたものです。

では、法人税法の所得計算が22条4項に規定するとおり、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」としているのに対し、なぜ、企業会計上では収益と認識しない無償取引までも法人税法では収益と認識しなければならかったのでしょうか。

法人の無償取引について収益とすべきことは前述した昭和40年法人税法全文改正以前においても存在した解釈のようで、その解釈を明文化した確認的規定とも捉えることが可能なようです。

一方で、税負担の公平の見地から無償取引からも収益が生じることを擬制した創設的規定という考えもあるようです。

この無償取引による収益認識については以上のように理解しにくい規定とも言えるため、その課税の根拠について、同一価値移転説、実体的利益存在説、有償取引同視説、適正所得算出説、など様々な学説が存在しています。

最高裁の判例としては南西通商事件、最高裁平成7年12月19日第三小法廷判決(平成6年(行ツ)第75号:更正処分取消請求事件)において、適正所得算出説を根拠とする判決も出ております。

 

これらの学説について次回以降の連載で紹介していき、なぜ、法人税法が無償取引にまで担税力を求めたのかを紐解いていきたいと思います。

 

荒井