みよた社会保険労務士法人

中小企業が連結決算を導入するメリットとデメリット

22.12.13
ビジネス【税務・会計】
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連結決算とは子会社や関連会社を複数持つ企業が行う決算の一つで、親会社の決算を行う際に子会社や関連会社の決算をまとめた企業グループ全体の連結財務諸表を作成します。
連結決算を実施すると、それぞれの企業単位ではなく、グループ全体の経営状況が可視化できます。
加えて、投資家に投資を行なってもらう際に必要な情報を明確にできます。
連結決算は大企業の義務とされていますが、さまざまなメリットがあることから、任意で行う中小企業も増えています。
今回は、中小企業が連結決算を行うメリットに的を絞って説明します。
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中小企業が連結決算を実施する際のメリット

連結決算は、有価証券報告書を提出している大企業に対して義務付けられています。
有価証券報告書を提出しなければいけない会社は、上場企業と公募増資1億円以上の会社となっており、大企業は資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の株式会社のことです。

そのため中小企業は、連結決算を行う義務こそありません。
しかし、任意で実行するケースは珍しくありません。
特に近年は中小企業であっても本業とは異なる業務を行う関連会社や子会社を立ち上げる動きが進んでおり、連結決算を行うことでさまざまなメリットが期待できます。
詳しくみていきましょう。

たとえば、経営状況の可視化・グループでの不正防止といったメリットが期待できます。
親会社からグループ内の会社に対して、将来損失がでる可能性がある有価証券を売却する事例を見ると、連結決算を活用することで売却後の有価証券もグループ内に残るため、不正の防止や経営状況の可視化につながっています。
また、融資審査を有利にするメリットもあります。
企業が銀行から融資を受ける際、審査を行う際に子会社や関連会社との取引もチェックされます。
そのため、連結決算を実施することで、グループ全体の取引が明確になり、融資審査をスムーズかつ有利に進められるのです。


中小企業の連結決済にはデメリットもある

明確なメリットがある一方、連結決算にはデメリットも存在します。
たとえば、連結財務諸表作成の手続きが複雑になることです。
この手続きでは、親会社が子会社や関連会社の単体決算書類を集め、親会社のものと合わせたうえで、内部取引での損益取引や債権債務残高を消去します。
手続きを進めるためには、連結する会社の範囲を選定することはもちろん、子会社や関連会社の経理・財務担当者と連携を取る必要があるため、非常に時間も手間もかかります。
書類の作成については、近年は書類作成を簡略化できるシステムもリリースされていますが、企業規模によっては、コスト面でシステム導入を躊躇ってしまうケースも多いのが実情です。

また、連結決算を実行する際は、会計監査役および会計監査人の監査を受けなければいけません
専属の経理担当がいない場合、実行するメリットを加味したとしてもコストや人材が捻出できず諦めてしまう企業も多いでしょう。

それらの課題をクリアできれば、中小企業の連結決算はさまざまな利点があります。
自社の経営状況の可視化や不正の防止はもちろん、銀行からの融資審査が有利になります。

特に将来的に上場を検討している中小企業の経営者においては、義務化されることになる連結決算を予め取り入れることで、企業内の経理システム・体制作りを進められるでしょう。
自社の状況に合わせて、じっくり検討してみてください。


※本記事の記載内容は、2022年12月現在の法令・情報等に基づいています。