みよた社会保険労務士法人

これからの『ニューノーマル』時代の消費者意識とは

20.11.10
ビジネス【マーケティング】
dummy
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、『ニューノーマル』という言葉が生まれました。
翻訳すると、ニュー(新しい)ノーマル(常態)で、新しい常識・状況といった意味でとらえられています。
経済や消費のあり方そのものが変わりつつあるWithコロナの時代では、変わりゆく消費者意識に対応していく必要があります。
今回は、ニューノーマルにおけるマーケティングの考え方について説明していきます。
dummy
コロナ禍で変化した消費者の意識

世界の経済を大きく揺るがした2020年の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は、人々のこれまでの働き方や慣習、経済的な観念などを変えるきっかけとなりました。
マーケティングの世界でも、常識が変わってきていることを意識すべきタイミングです。

コロナ禍において、消費者の行動はどのように変わったのでしょうか。
まず、消費傾向として、新型コロナに対する社会的な見通しが不透明なことから、経済的な不安が高まり、買い控えをする傾向が強まりました
総務省の家計調査によると、2020年4~6月期の平均で、国内消費は前年同期と比べ約1割減となり、悪化しています。
これを裏付けるように、財務省による法人企業統計調査の4~6月期のデータでも、全産業(金融・保険業を除く)の売上高が17.7%減少していました。
Go Toトラベル、Go To Eatキャンペーンで需要の喚起がされているものの、節約志向や外出の自粛によって、多くの産業が厳しい状況なのは間違いありません。

コロナ禍が収まらないなかで、消費者は、日用品や食料品などの、生活必需品以外の商品やサービスに関しては、慎重な姿勢を示すようになっています。
それと同じく、買い物をする時には、より安価な物やセール商品などに興味が移ってきており、大きな支出は控えたいと考える心理が働いています。

コロナ以前から、コストパフォーマンスはマーケティングにおける重要な課題でしたが、ニューノーマルの時代では、買い控えをしている消費者から、安価なだけではなく、価値があることがより一層求められるようになります。
これまで以上にコストパフォーマンス重視の傾向が、より強まるのではないかと予想されます。


ニューノーマル時代の消費者とは?

コロナ禍においては衛生意識の高まりを受けて、マスクや消毒液などの衛生用品の売上が大幅に拡大しました。
ニューノーマルの時代では、除菌・殺菌のできる商品など、感染予防に有効な商品には一定の需要があると見込まれます。
ほかにも、免疫力を上げるといわれているヨーグルトや納豆などの発酵食品や、健康食品なども売上が伸び、『健康』意識が高まっています。

今後も『殺菌』や『予防』、『免疫力』、『健康』などのキーワードが消費者の意識の根底に残ることは間違いなく、これらの要素を組み合わせた新商品のトレンドが出てくることも十分にあるでしょう。

また、消費者はこれまで以上に、安全で信頼できる商品を求めるようになると考えられています。
企業はこれまでのような『プレミアム感』や『高品質』といったブランドイメージのほかに、『安全』や『信頼』などを訴求する必要があります。

各商品を売るためのPRはもちろん大切ですが、その商品がいかに安全か、自社が信頼できる企業であるということを、消費者にアピールする方法も考えていくとよいでしょう。
たとえば、製造工程を消費者に開示することで、信頼性や安全性を保証したり、SNSなどで情報を発信し、ユーザーとの信頼関係を構築したりといった施策があります。


変化した消費者行動に対応する

在宅勤務によって自宅で過ごす時間が増えたことから、動画コンテンツなどのオンラインサービス市場や、遠隔で人と会話ができるWebコミュニケーションシステム市場が、ますます好調になりました。
これらの需要は今後も失われることはないので、これをきっかけに、より成長が加速していくと考えられます。

ほかにも、接客を伴わないECサイトが好調になりました。
しかし一方で、消費者側がECサイトを利用しつつも、より充実した購買体験を求めていることも明らかになりました。
ECサイトを利用したうえで、実際に『店舗に足を運んで商品を手にしたい』『店員さんに商品を勧めてもらいたい』と感じた人も少なくないようです。
ニューノーマルの時代において、ECサイトがより大きく成長するためには、さまざまな施策でこれらのニーズに対応していく必要があります。

具体的にいくつかの取り組みをあげてみると、SNSやビデオチャット、AIチャットボットなどを通じて、顧客に聞き取りをしたのち、ニーズに合う商品を勧めたり、実店舗と同じように『あと3時間で販売を終了します』などと販売時間を表示し、『早く買わないとなくなってしまう』と顧客の心理を操作したりといった工夫も考えられるのではないでしょうか。

新型コロナの影響で、多くの消費者が今までになかった考え方や行動を強いられ、それをきっかけに購買行動も変化しました。
企業側もこれまでの価値観や考え方を一旦脇において、そうした変化に合わせた戦略を練っていく必要がありそうです。


※本記事の記載内容は、2020年11月現在の法令・情報等に基づいています。