みよた社会保険労務士法人

知らないと損をする!? 相続でありがちな疑問4選と対処法

20.02.04
業種別【不動産業(相続)】
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いざ相続することになったものの、どのように遺産を分割すればよいのか、迷う人は多いのではないでしょうか。
また、被相続人の遺言によって、自分自身の取り分が少ない場合もあるかもしれません。
さらに、相続したら、負債のほうが多かったという可能性もあります。
そこで、相続でありがちな疑問と、その対処法について紹介します。
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遺産はどのように分割すればよいか?

被相続人の財産について、具体的に誰が何を取得するのかを決めるのが遺産分割です。
相続人が全員参加して行い、相続人全員の同意が必要ですが、いつまでに行うべきだという期限はありません。
また、相続人全員の合意があれば、法定相続分に関わらず、どのように分割しても自由です。
分割の実行は、まず相続人の協議によってなされ、協議が調わないときは、家庭裁判所に分割の請求をすることができます。
家庭裁判所では、まず、調停が行われ、調停が成立しない場合は遺産分割審判が行われます。

分割手法としては、
(1)現物分割(相続財産をそのままの形で相続人に分配する)
(2)換価分割(不動産の全部又は一部を売却し、その代金を相続分に応じて分配する)
(3)代償分割(不動産の全部又は一部を一人の相続人が受け継ぎ、その相続分を超えた分について他の相続人に金銭を支払う)
(4)共有(不動産の全部又は一部を相続人全員の共有とする)
があります。


相続すると不利益になる場合は?

相続の対象となる財産には、不動産や預貯金等の積極財産(経済的に価値のある財産)だけでなく、借入金などの消極財産(債務)も含まれるので、相続人にとって不利益になる場合もあります。
そこで、相続が開始したときに、相続の効果を受け入れるかどうか相続人が選択できるようにしたのが、相続の承認、放棄です。
承認には、単純承認と限定承認があり、限定承認や放棄をしないときは、単純承認をしたものとみなされます。
限定承認とは、相続財産の範囲内で債務を支払い、それ以上は支払わないというものです。
債務が膨大だが積極財産も多く、遺産を総計してプラスになるかマイナスになるか、わからないという場合に選択されます。
自己に相続があったことを知った時から3カ月以内に被相続人の住所地にある家庭裁判所に申述することになります。
ただ、相続人が複数いる場合は、全員の合意が必要です(相続放棄した者の合意は不要)。
相続の効果を受け入れないならば、自己に相続があったことを知った時から3カ月以内に被相続人の住所地にある家庭裁判所に申述して相続放棄をすることができます。
これにより、被相続人の一切の財産を承継しないことになりますが、相続放棄をした相続人の子は代襲相続もできなくなります。
相続放棄は、他に相続人がいても一人でできます。


遺言書は本人でなく代筆でも可能?

被相続人が、生前に、その財産について誰に何を与えるか意思表示しておくのが遺言で、遺言は法定相続分より優先されます。
被相続人が自分で作成する自筆証書遺言について、従前は、財産目録を含めて全て本人が自筆する必要がありました。
今般の相続法改正により、相続財産の目録については、遺言者本人が自筆しなくても、他人が代筆したり、不動産登記事項証明書や預金通帳の写しを添付したりすることもできるようになり、方式が緩和されました。
これにより、高齢者でも自筆証書遺言を作成しやすくなり、遺言の利用促進に資することとなります。
また、新たに、自筆証書遺言を公的機関(法務局)において保管する制度が立法化されました(2020年7月10日施行)。
これにより、遺言書の紛失、改ざんのおそれがなくなり、また、家庭裁判所で遺言書の『検認手続』をする必要がなくなりました。


遺言により、取り分が少ない場合は?

遺言は、遺言者の意思を尊重するものです。
しかし、その内容によっては、相続人のなかには、その遺言に不満を抱き、被相続人の財産を生活の基盤としていた相続人は生活に困窮することになり、不都合が生じます。
このような不都合を緩和し、調整するのが遺留分制度で、遺留分とは、相続人に最低限保障される取り分ということになります。
遺留分の割合は、直系尊属(被相続人の父母、祖父母)のみが相続人である場合は相続財産の3分の1で、それ以外の場合は2分の1です(被相続人の兄弟姉妹には遺留分は認められません)。
各相続人の遺留分割合は、そのうちの法定相続分割合となります。

ところで、遺言ないし生前贈与により遺留分の侵害があった場合、従来は、侵害された相続人が、遺留分減殺請求権を行使することにより遺留分相当分が遺留分権利者に移転し、当然に物権状態(共有)が生ずるとされました。
2019年の相続法改正により、遺留分侵害額請求権を行使することにより遺留分権利者に遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求する権利(債権)が発生することとなりました。
そして、金銭請求を受けた受贈者ないし受遺者は、裁判所に請求して、金銭債務の全部又は一部の支払について期限を許与してもらうことができるようになりました。

2019年の相続法改正も踏まえ、損をすることがないように相続を行いましょう。


※本記事の記載内容は、2020年2月現在の法令・情報等に基づいています。