みよた社会保険労務士法人

子どもがネットゲームに高額課金! 返金可能? 親の支払い義務は?

26.04.28
ビジネス【法律豆知識】
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子どもが親のスマホなどでオンラインゲームを遊び、いつの間にか高額な課金を繰り返していたというケースが後を絶ちません。
民法には、未成年者が親の同意なく行なった契約を原則として取り消せる「未成年者取消権」が定められていますが、必ずしもこの権利が行使できるわけではありません。
なぜなら、システム上、「未成年者が保護者の同意なく決済した」という事実を、客観的な証拠で示さなければならないからです。
万一、高額課金トラブルに直面した際の返金の法的可能性と、親が取るべき具体的な行動について解説します。

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社会問題化する子どもによる高額課金

近年、オンラインゲームでの高額課金は単なる家庭内の問題を超え、深刻な社会問題となっています。
かつてオンラインゲームに関する相談は20代以上の大人が中心でした。
しかし、国民生活センターが2025年に公表した「未成年者の消費者トラブルについての現況調査」によると、2018~2020年度にかけて増加し、それ以降も若年層によるトラブルが高い水準で推移し続けています。

特に注目したいのが、オンラインゲームに支払ってしまった金額です。
2023年度には、小学生、中学生ともに平均既支払額はすでに10万円を超えています。
背景には、多くの子どもたちが自分専用のスマートフォンを持つようになったことや、ゲーム機器をインターネットに常時接続して遊ぶのが当たり前になったことなどがあります。
親が気づかないうちに、ゲームにアクセスでき、簡単に決済が完了してしまう仕組みが、結果として高額請求を招いている可能性があるといえるでしょう。

子どもが高額課金をした場合に返金できる?

果たして、数十万円という高額な課金額は返金してもらえるのでしょうか。
民法に定められた「未成年者取消権」に基づけば、判断能力が十分ではない未成年者が保護者の同意を得ずに行なった契約は、後から取り消すことが可能です。
契約が取り消されれば、そもそも契約自体が最初からなかったことになるため、代金を支払う義務は消滅し、すでに支払った分についても返金を請求する権利が生じます。

しかし、返金における最大の壁は「子どもが契約した」という事実を証明することのむずかしさです。
たとえば、保護者のスマートフォンを子どもに貸し与えていた場合、システム上は「保護者のアカウント」から決済が行われることになります。
運営側からすれば、それが保護者本人の意思による操作なのか、子どもの無断操作なのかを判別する術がありません。

さらに、年齢確認の画面で子どもが「18歳以上です(または成人です)」と嘘の申告をして決済を進めていた場合、法的には「詐術(相手をだます行為)」とみなされ、取り消しが認められなくなるリスクもあります。
また、親がパスワードを教えていたり、指紋認証・顔認証を登録させていたりした場合は、親が利用を許諾していた、あるいは管理不十分と判断されるケースも少なくありません。
そのため、法律上の権利はあっても、すべてのケースで返金が認められるわけではないというのが実情です。

万一、トラブルが発覚したら、まずは事実確認を行い、実際に子どもが課金していたのであれば、課金が行われたプラットフォーム(AppleやGoogleなど)の問い合わせ窓口へ連絡します。
ここで「未成年者が保護者の同意なく行なった課金である」という事実を明確に伝え、返金の申し立てを行います。

もし、プラットフォーム側で対応がむずかしいと判断された場合には、ゲーム自体の提供会社(アプリメーカー)に直接問い合わせることも可能です。
ただし、提供会社側でもログ(操作履歴)の確認などが行われますが、やはり「子どもによる操作」を客観的に証明するのは容易ではありません。
事業者とのやり取りがスムーズに進まないなど、問題が生じているのであれば、地域の消費生活センターや消費者ホットライン(188)などに相談してみることをおすすめします。

子どもの高額課金を防ぐためにできること

トラブルが起きてからの対処には膨大な時間と労力がかかります。
したがって、トラブルが起きる前に、「子どもが高額課金できない仕組み」を事前につくっておくことが重要です。

クレジットカードや決済機能のあるカード類、それらに関連するIDやパスワード、暗証番号は、子どもの手の届かないところで管理する必要があります。
そのうえで、端末の機能も最大限に活用しましょう。
スマホの設定でカード情報の登録を解除しておく、キャリア決済の利用限度額を最低限に設定するといった対策はすぐにでも実行が可能です。
また、ペアレンタルコントロールやフィルタリング機能を活用し、アプリ内課金そのものを制限することも効果的です。

毎月の利用明細や決済完了メール、さらに子どものスマホの利用状況をこまめに確認する習慣もつけましょう。
小さな違和感に早く気づくことができれば、被害を最小限に食い止めることができます。
親子でオンラインゲームのルールを話し合い、子どものデジタル利用を適切に見守ることが、高額課金における最大の防波堤になるはずです。


※本記事の記載内容は、2026年4月現在の法令・情報等に基づいています。