みよた社会保険労務士法人

違法な『計画倒産』に該当するケースと『計画的倒産』との違い

26.04.28
ビジネス【企業法務】
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市場の変化や不測の事態により、会社を畳まざるを得ないことがあります。
しかし、倒産と一口にいっても、その手法はさまざまです。
なかでも、しばしば混同されるのが「計画倒産」と「計画的倒産」です。
一つは「犯罪」であり、もう一つは「誠実な経営判断」といえるほど、2つの性質は大きく異なります。
企業法務の視点から、法的に許されない「計画倒産」の具体的なリスクと、周囲への影響を最小限にとどめる「計画的倒産」のあるべき姿について、深掘りしていきます。

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計画倒産は詐欺罪や詐欺破産罪に問われる

一般的に「計画倒産」は、最初から会社を破綻させることを織り込み済みで、意図的に負債を膨らませたり、会社の資産を隠匿したりして、債権者への支払いを免れようとする行為を指します。

通常の倒産は、経営努力の末にどうしても資金繰りが行き詰まってしまう、いわば『結果としての破綻』ですが、計画倒産は「返済の意思がないのにお金を借りる」「支払うつもりがないのに商品を大量に仕入れる」といった、最初から相手を欺く意図がある点が最大の特徴です。
このような行為は、刑法上の「詐欺罪」や、破産法で定められた「詐欺破産罪」といった罪に問われる可能性があります。

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立します。
罪に問われた場合、裁判では「いつの時点で倒産を決意していたか」が重要視されます。
たとえば、融資を受けた翌日に弁護士に自己破産の相談をしていた場合などは、最初から騙すつもりだったと推定されます。

詐欺破産罪の根拠となる破産法は、破産手続の公正さを守るための法律です。
債権者に公平に分配されるべき会社の財産を、不当に隠したり減らしたりする行為を詐欺破産罪として、厳罰に処します。

もし、計画倒産を企てた場合、会社の消滅どころか、経営者個人が刑事罰や多額の損害賠償責任といった形のペナルティを負うことになるかもしれません。

犯罪に該当する計画倒産の手口

具体的な計画倒産の手口の一つとしては、倒産がもはや避けられない状況であることを隠しながら、金融機関から多額の新規融資を引き出す行為があげられます。
法律上、融資を受ける際には「返済する意思」と「返済できる能力」があることが前提となります。
倒産を予見、あるいは計画している状況で融資を受けることは、この前提を根底から覆す行為であり、返済意思のない借入れは明確な詐欺罪となります。

また、取引先から大量の商品を仕入れ、代金を支払わずに即座に格安で転売して現金化し、その現金を持ち逃げする行為も、典型的な計画倒産の手口といえます。
いわゆる「取り込み詐欺」と呼ばれる昔からある悪質な行為で、被害者である取引先は大きなダメージを受けることになります。

さらに、倒産直前に会社の不動産や預貯金、あるいは価値のある備品などを、親族や知人が経営する別会社へ不当に安い価格で譲渡したり、架空の役員報酬や退職金を支払ったりして、本来債権者に配分されるべき資産を隠す行為も厳しく罰せられます。

これらはすべて、取引先や銀行、従業員を裏切り、犠牲にする行為にほかなりません。
現代の破産手続において、裁判所から選任される破産管財人は、倒産直前の不自然な資産の動きを徹底的に調査します。
帳簿や銀行口座の履歴から、こうした不正は必ず露呈するということを理解しておきましょう。

信頼を得たまま会社を畳む事業整理の形

再起を見据えて検討すべきなのは、「計画倒産」ではなく、「計画的倒産」という事業整理の形です。
計画的倒産は、資金が底をつく前に、弁護士などの専門家に相談し、余力があるうちに債務整理や清算の道筋を立てることを指します。
最大の目的は、取引先への連鎖倒産を防ぎ、従業員の給与や解雇予告手当を可能な限り確保し、関係先への迷惑を最小限にとどめることにあります。

具体的には、売掛金の回収を丁寧に行い、在庫を適正な価格で処分し、手元に残った資金を持ってルールに基づいた分配を行います。
透明性の高い手続を踏むことで、経営者は社会的な信頼を完全に失うことなく、法的な免責を受けて再出発するチャンスを掴むことができるでしょう。
取引先や従業員に対して誠実に状況を説明し、最後まで責任を果たそうとする姿勢は、将来また新しい事業を立ち上げる際の大きな信頼につながります。

経営の行き詰まりを感じたとき、極限の状態では「少しでも手元にお金を残したい」という誘惑に駆られることもあるかもしれません。
しかし、安易に資産を隠したり、騙すような形で資金を調達したりすることは、自分の首を締めることにつながります。
会社を畳む際には、関係者への誠実さを貫き、法に基づいた計画的な整理を選択しましょう。


※本記事の記載内容は、2026年4月現在の法令・情報等に基づいています。