税理士法人エム・アンド・アイ

政府統計で読み解く歯科医院経営(5)…人口と歯科診療所数の推移

16.02.05
業種別【歯科医業】
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厚生労働省の「医療施設調査」で発表された平成27年末の歯科診療所数は68,756施設で、昨年とほぼ変わらずの数値となりました。ここ10年ほど歯科診療所数は7万施設に届かない数で微増微減を繰り返していることになります。 

この状態は、安定と見てよいのでしょうか、それとも頭打ちと見るべきでしょうか。その判断を下すには、もう少し長い期間にわたって歯科診療所数の変化を見ていく必要があります。
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<人口の増減と歯科診療所の増減> 

1960年に27,602施設だった歯科診療所は、1970年代後半から2000年の25年間で倍増に近くなるほど急激に増加しています。 

歯科診療所の数が増加した原因は何でしょうか。歯科治療に対する意識の向上、歯科医師の増加などなどさまざま考えられます。しかし、最もシンプルに影響が大きいのは、人口の増加によるものといえるでしょう。長期的に見ると歯科診療所の数は、日本の人口増加に合わせて同じような曲線を描いて増加してきています。 

したがって、出生率の低下などから日本の人口が頭打ちであるのと同じく、歯科診療所の数は安定しているのではなく、頭打ちの状態にあるといえるでしょう。 
  
<これからの人口と歯科診療所の動向> 

当然のことながら、未来においても人口と歯科診療所数の動きは、同じように推移していくと考えることができます。 

統計局が「日本の統計」で発表した日本の人口の推移を見てみると、2020年120,659千人⇒2030年112,124千人⇒2040年97,072千人と、約25年後には1億人を切る予測となっています。 

これを歯科診療所数に当てはめてみると、2020年64,433施設⇒2030年59,876施設⇒2040年51,838施設となり、これから25年で約1万7千施設が廃業になると試算されます。 

勝ち残りの時代から生き残りの時代へ、歯科診療所の競争はますます厳しいものになります。しっかりとした戦略を立てて経営していくことが必須となっていくでしょう。 


クリニック経営、次の一手 


[プロフィール] 
フォーユーメディカル株式会社 アットベネフィット事業部(大城正和、町山卓)
同事業部では、医療・介護従事者のための福利厚生サービス「@Benefit」として、歯科医院スタッフにも大企業社員並みの福利厚生をさらに医療・介護分野だけの特別プログラムをプラスして提供しています。 
@Benefit(アットベネフィット)
営業スタッフは、医療介護福祉事業に特化した採用・求人から教育・評価までをサポートする人材戦略コンサルタントとしても活躍中。