税理士法人エム・アンド・アイ

経営者が押さえておくべき『ハラスメント対策』のポイント

24.01.09
ビジネス【企業法務】
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昨今、ハラスメントに対する世間の注意・関心は高まっており、そのような動向を受けて、ハラスメントに対する法整備も進んでいます。
2020年6月に、パワハラ防止法といわれる『労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律』が施行され、同法に基づく対応整備も開始されました。2022年4月からは中小企業にも防止措置が義務付けられています。
そこで今回は、パワハラ防止法に基づき、経営者として取るべき施策について解説します。
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互いの立場に関係なく生じるパワハラ防止法

まず、パワハラ防止法といわれる『労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律』(以下、パワハラ防止法)の中身について見ていきましょう。
パワハラ防止法では、パワハラについて定義を定めると共に、使用者に対して、パワハラを防止するために行うべき事柄等を規定しています。
どのような行為がパワハラに該当するかというパワハラの定義については、従来裁判所や行政が示していた判断を法律に落とし込んだ内容となっています。

パワハラの該当性については、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動」が対象となっており、上司から部下に対して行われる行為のみならず、部下から上司、同じ立場の人間の間でも生じうるとされています。
このように立場が下の人からのパワハラも逆パワハラなどといわれており、法はそのような行為も規制の対象としています。

パワハラ防止法に抵触しないための施策とは

パワハラ防止法では、経営者(使用者)に対して取るべき施策を定めており、以下の三つを具体的なポイントとして規定しています。

●事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
事業者は、会社として職場に向けて、パワハラを認めないという内容を示すと共に、パンフレットを作成、配布することや、従業員に向けてセミナーや勉強会をするなどし、職場としてパワハラを起こさない体制を作ることが求められます。

●相談(苦情を含む。以下同じ)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業者は、ハラスメント相談の窓口を設置し、従業員が相談できる体制を整備する必要があります。
この体制整備については、単に窓口を作るだけでは不十分で、相談を受ける者がその内容や状況に応じて適切に対応することまでが求められています。

●職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
ハラスメントの訴えや相談があった場合に、事業者は迅速かつ適切な対応が求められます。
具体的には、パワハラの事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者がいる場合には、速やかに被害者へのサポートを行う必要があります。
また、職場におけるパワハラに関する方針を周知・啓発し、再発防止に向けた措置を講じる必要があります。

特に、事後の対応については、ここでの対応を誤ると被害者から事業者が訴えられることもあるため、注意が必要です。
社内だけでの事後対応がむずかしい場合には、外部の弁護士などの活用も認められています。問題が大きくなる前に、相談するとよいでしょう。

職場のハラスメントに関するトラブルは、事業者だけですべてを対応・解決することは困難といえます。
また、トラブルを大きくしないためには、日ごろからハラスメント問題について対策がとれるよう整備しておくことが大切です。
上記三つのポイントを参考に、弁護士や社労士などの専門家と連携のうえ、もしもの際に迅速・適切な対応ができるようにしておきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年1月現在の法令・情報等に基づいています。