税理士法人エム・アンド・アイ

出向元(コースによっては出向先)の事業主に対して、賃金の一部を助成

23.04.11
ビジネス【助成金】
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令和4年12月より産業雇用安定助成金にスキルアップ支援コースが新設されました。
今回は、雇用維持支援コースを含めた2つのコースを紹介します。

産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース):新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成します。
産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース):労働者のスキルアップを在籍型出向により行い、復帰した際の賃金を出向前と比較して5%以上上昇させた事業主(出向元)に対して当該事業主が負担した出向中の賃金の一部を助成します。
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雇用維持支援コース/スキルアップ支援コース

主な支給要件は以下の通りです。

【支給対象となる事業主】
<雇用維持支援コース>
・新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされたため、労働者の雇用維持を目的として在籍型出向により労働者を送り出す事業主(出向元事業主)
・当該労働者を受け入れる事業主(出向先事業主)
<スキルアップ支援コース>
以下の条件等を満たす、出向により労働者を送り出す事業主(出向元事業主)
・労働者のスキルアップにより企業活動を促進し雇用機会等の増大を目的として出向を実施すること
・労働者の出向復帰後6カ月間の各月の賃金を出向前賃金と比較していずれも5%以上上昇させること

【支給対象となる労働者】※両コース共通するもの
出向元事業所において雇用される雇用保険の被保険者(ただし、次のア~エなどに該当する方を除く。除外条件はこのほかにもあります)であって、本助成金の支給対象となる出向を行った労働者であること。
ア.出向開始日の前日時点において、出向元事業主に引き続き被保険者として雇用された期間が6カ月未満である方
イ.解雇を予告されている方、退職願を提出した方または事業主による退職勧奨に応じた方(離職の日の翌日に安定した職業に就くことが明らかな方を除く)
ウ.日雇労働被保険者である方
エ.雇用保険法第37条の5第1項の申出をして高年齢被保険者となった者(特例高年齢被保険者。複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者について、本人の申出に基づき、雇用保険の高年齢被保険者となることができるもの)

【支給対象となる出向】
主な要件は以下の通りです。
<雇用維持支援コース>
・新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図ることを目的に行う出向であること
・出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことを前提としていること
・出向元と出向先が、親会社と子会社の間の出向でないことや代表取締役が同一人物である企業間の出向でないことなど、資本的、経済的、組織的関連性などからみて独立性が認められる事業所間の出向であること(※)
※独立性が認められない事業主間で実施される出向も一定の要件を満たせば助成対象になります。
<スキルアップ支援コース>
・労働者のスキルアップを目的として実施すること
・出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことを前提としていること
・労働者の出向復帰後6カ月間の各月の賃金を出向前賃金と比較していずれも5%以上上昇させること

【支給額】
<雇用維持支援コース>
(1)出向初期経費
就業規則や出向契約書の整備費用、出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるための機器や備品の整備などの出向に必要な措置を行った場合に助成します。
助成額:出向元・出向先ともに各10万円/1人当たり(定額)
加算額(※):出向元・出向先ともに各5万円/1人当たり(定額)
※出向元事業主が雇用過剰業種の企業や生産量要件が一定程度悪化した企業である場合、出向先事業主が労働者を異業種から受け入れる場合について、助成額の加算を行います。
(2)出向運営経費
出向元事業主と出向先事業主が負担する賃金、教育訓練および労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部を助成します。
出向元が労働者の解雇などを行っていない場合:中小企業9/10、中小企業以外3/4
出向元が労働者の解雇などを行っている場合:中小企業4/5、中小企業以外2/3
企業グループ内出向の場合:中小企業2/3、中小企業以外1/2
上限額(出向元・出向先の合計):12,000円/1人1日当たり
(3)出向復帰後訓練
出向から復帰した労働者に対して、出向で新たに得たスキル・経験をブラッシュアップさせる訓練(Off-JT※)を行った際に、訓練に要する経費と訓練期間中の賃金の一部を出向元事業主に助成します。
経費助成:実費相当額(1人当たり上限30万円)
賃金助成:1人1時間あたり900円(上限600時間)
※出向から復帰後3カ月以内の訓練開始や、訓練期間は6カ月以内などの要件あります。

<スキルアップ支援コース>
助成率:中小企業2/3、中小企業以外1/2
助成額:中小企業・中小企業以外ともに以下のいずれか低い額に助成率をかけた額(最長1年まで)
イ.出向労働者の出向中の賃金のうち出向元が負担する額
ロ.出向労働者の出向前の賃金の1/2の額
上限額:中小企業・中小企業以外ともに8,355円(※)(1人1日当たり)
※雇用保険の基本手当日額の最高額(2022年8月時点)。毎年8月に改正されるためご注意ください。

なお、今後ウィズコロナ、ポストコロナの経済社会の変化に対応するための事業を再構築し、そのための労働者の雇用を確保したうえで、当該事業再構築に必要なコア人材を雇い入れた事業主などに対して助成されるコースが新設されます。
上記以外にも細かい支給要件があるほか、情報が更新され、内容やリンクが変更される場合があります。
また、2023年3月末頃に改正内容が発表される予定です。
詳細や最新情報についてはは厚生労働省ホームページやパンフレットをご確認ください。

出典:厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000814628.pdf 
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001079213.pdf

※本記事の記載内容は、2023年3月10日現在の法令・情報等に基づいています。