税理士法人エム・アンド・アイ

『AI契約書レビュー支援システム』を導入するメリットと注目の機能

21.04.27
ビジネス【企業法務】
dummy
企業間で契約を締結する際には、双方の権利と義務を明確にし、その取引に含まれるリスクを見つけ出すための『契約書レビュー』を行います。
この契約書レビューを、AIを使ってある程度自動化させたのが『AI契約書レビュー支援システム』です。
AIによる契約書レビューを活用すれば、法務部における業務の効率化を図ることができ、生産性の向上も期待できます。
また、そもそも法務部がない会社においても有用でしょう。
今回は、これからの契約書作成やレビューに役立つ、AI契約書レビュー支援システムについて説明します。
dummy
契約締結には欠かせない契約書レビュー

契約書には、不動産の売買に関する『売買契約書』や、お金の貸し借りにまつわる『金銭消費貸借契約書』、情報を守るための『秘密保持契約書』や、商取引に関する基本的な内容を定める『取引基本契約書』など、さまざまな種類があります。

契約書は当事者同士の権利と義務を明確に定める重要な書類であり、トラブルの元になるようなリスクは可能な限り排除しなければなりません。
また、取引のトラブルから紛争に発展した場合には証拠として使われることもあるため、曖昧な部分を残さないように、よく内容を精査する必要があります。

従来、契約書レビューは、法務部の担当者が自身の経験や知識を基に、参考文献や過去の契約書などの資料を参照しながらチェックする形で行われてきました。
そのため、業務内容が属人化してしまったり、似たような契約が多くても完全に同じではないため、効率化できず手間がかかったりすることが課題でした。
そこで近年、多くの企業法務の場で取り入れられているのが、『AI契約書レビュー支援システム』なのです。

AI契約書レビュー支援システムは、その名の通り、AIによって契約書のレビューを行うシステムです。
契約書をアップロードすると、自動的にリスクを洗い出し、フィードバックを行います。
現在発表されているシステムのなかには、条文ごとに有利不利の判定を行うほか、不足している条項や抜け落ちている事柄の指摘、修正例の提示、過去のトラブルに発展した事例の表示などの機能を備えているものもあり、いわば契約書に内在するリスクを自動的に洗い出してくれるツールといえます。


AI契約書レビューのメリットと注意点

契約書レビューをAIによって自動化することには、たくさんのメリットがあります。

まず、これまで手作業で行ってきた資料の参照は削減でき、時間も大幅に短縮できるため、業務の効率化が図れます。
当然、人的コストを抑えることができますし、手の空いた法務部員にほかの仕事を任せられるなど、生産性の向上も期待できます。
また、契約書を作成するスピードが上がれば、それだけ契約を締結するスピードも上がるため、ビジネスチャンスを逃しにくくなるのもメリットの一つといえるでしょう。
そもそも法務部のない企業や専門の法務担当者がいない企業においては、AI契約書レビュー支援システムを導入することで法務未経験の部署にもノウハウが広がっていくため、属人化を防ぐことにも繋がるでしょう。

ただし、AI契約書レビュー支援システムも万能ではなく、当事者同士の関係性や立場、契約締結に至るまでの経緯や背景、その企業独自の基準などを汲むことはできません。
あくまでシステムに組み込まれた機能の範囲内で判断しているに過ぎず、最終的には人によるチェックが必要になってきます。
また、すべての契約書に対応しているわけではないため、特殊な契約や前例の少ない契約などのレビューには向いていません。

一方で、現在では、上記のデメリットをカバーするような機能を備えたものも増えてきています。

たとえば、弁護士が監修したAI契約審査プラットフォーム『LegalForce』であれば、自動レビュー機能に加え、実際の法律事務所が作成する契約書の書式・ひな型を500点以上搭載しており、自由に使うことができます。
また、AIのチェック基準に自社基準を追加できる『AI-CON Pro』は、システムに自社の契約書ひな型を類型として無制限に登録でき、企業独自の法務基準を鑑みた契約書レビューを行うことができます。
さらに、英文契約書向けの『LegalSifter』など、さまざまなタイプのものがあります。

AI契約書レビュー支援システムは、企業法務の効率化のために、ぜひとも導入したいツールといえます。
まずは自社の契約に対応しているかどうかを確認し、コスト面も考慮しながら、適切なサービスを検討することから始めてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年4月現在の法令・情報等に基づいています。