税理士法人エム・アンド・アイ

どんな髪型が好印象? 就活生の悩みが新たな市場に

20.10.06
業種別【美容業】
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就職活動の際、多くの学生が証明写真の出来、不出来に頭を悩ませるといいます。
本来の自分の顔とは違ったように見える、印象がいまいち……など、いわゆる『写真うつり』の面で、どうすればよいのかわからない学生も多く、証明写真に自信を持てないので履歴書を書くのが憂鬱になる、といった声もあります。
そんな就活生をターゲットに、近年、美容室が『就活生応援プラン』として、髪型やメイクのアドバイス、写真撮影などを提供し始めています。
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『履歴書映え』するヘアメイク付き撮影が人気

就職活動では、面接での受け答えや志望動機も大切ですが、それらと同じくらい、証明写真や面接での雰囲気といった第一印象も重要です。
そのため、多くの就活生が、就職活動時のヘアスタイルや証明写真を気にしています。

まず、就活最初の関門ともいえる履歴書には、最高に映える写真を用意したいところでしょう。
そのためにも、学生たちは「なるべくいい写真がほしい」と思っているようですが、実際に履歴書に貼っている写真に満足している学生は、多くはいないようです。

そうした現状を反映してか、近年では証明写真を撮るときには、ヘアメイク付きの撮影コースがある美容室を選ぶ学生も増えました
就職活動にふさわしい髪型を教えてくれるのも人気の理由のようです。
なかには化粧品メーカーやスーツブランドとコラボして、「渾身の一枚をプロデュースします」と広告するフォトスタジオも登場。
就活需要に応えるべく、美容室側でもさまざまなコースを用意するようになっています。

それでは、美容室が新しくそうしたサービスを提供するにあたっては、どのような技術やノウハウが必要なのでしょうか。

まずは、明るくなっている髪色を適切な色に戻す技術です。
就活において、なるべく安全な髪形を選択したいのであれば、地味とはいえ、やはり髪の色は黒髪一択です。
女性なら、両サイドの髪は耳に掛かる程度、男性なら2ブロックなどの大胆なカットは控えたほうがよいといわれています。
もし、茶色く染めていた髪を、黒髪に戻す場合、市販のカラー剤を使って自分で染めると、面接前に急いで染めたのが一目瞭然の、不自然な黒髪になり、面接で逆効果になりかねません。
そこで、『いかに自然な黒髪の色に戻すか』という部分にプロの技術が必要になるのです。

業界によっては、説明会や面接などで周囲の人と並んだとき、黒さが目立つと「遊んでいたことがわかってしまうのではないか」と気にする学生も出てきます。
就活サポートをする美容室では、こうした心理に応える形で、一人ひとりの髪質や髪色のタイプを見極めて、その人に似あった髪型にカットし、不自然な色にならない黒染めやスタイリングをするといった技術が必要になります。


業界ごとにふさわしいスタイリングを提案

また、好印象を持ってもらえる髪型やメイクは業界によって違うので、それぞれに合った雰囲気づくりを手伝ってくれる美容室も人気があります。

たとえば、銀行や商社にとって、履歴書選考・採用面接は、将来的に巨額の資金を任せることになる人物を選ぶ場です。
そういう業界では、不正やミスは決して許されないという風潮があるので、いいかげんさやラフさを感じさせるスタイルはNGです。
『真面目過ぎる』くらいの印象づくりでよいとされています。
女性は髪をきつく束ね、メイクはナチュラルで、口紅はトーンを落とすようにアドバイスします。
男性は髪を横に流すように前髪を上げるのが主流です。
スポーツ刈りのようなツンツンした髪型や束感を出したヘアスタイルなどは、くだけた印象になり敬遠されるので、避けるようにしましょう。

反対に、航空業界の場合は、『華やかさ』が好印象を与えるといわれます。
男性はきちんと感の出るスタイリングを、女性の場合は、いわゆる夜会巻きと呼ばれる、大人っぽい髪型が人気があるため、和風のスタイリングが得意な美容室に学ぶのもよいでしょう。

また、テレビ局のアナウンサー試験は、顔と髪型の印象づくりを重視します。
常に人に見られる職業であるため、親近感や好印象を与えつつも、一見して明るい人柄がうかがえるヘアやメイクを選びます。
外資系の場合は、日本企業に比べると自由度が高いため、本数の少ないつけまつ毛で目の印象をアップして面接に臨む女子学生もいるようです。
国内企業と異なり、全身写真を撮影するため、証明写真の撮影がある場合は、スーツのフィッティングにも気を配らなければなりません。
最終的に全身写真になるのか、今回はバストアップなのかなども、最初に聞いておきましょう。

そのほか、医療系や営業・不動産系、事務職や公務員、ホテル・観光業など、業種別にそれぞれにふさわしい雰囲気や不文律があります。
それぞれの業界について理解したうえで、学生の注文に応えるようにすれば、より信頼感を増すことができるでしょう。


たまにある『リサーチ』が必要なベンチャー

学生が頭を悩ませるのが、「硬くならず普段の自分を見せてほしい」というオーダーをするベンチャー系です。
もちろん一般的な就活ヘアが悪印象になることは、ほぼないとはいえ、周囲と同じ髪型にリクルートスーツでは、対応力がないとマイナス印象になる場合もあります。

そのような時には、ヘアスタイルやスーツの着こなしなど、社会人としての基本は押さえられるようにアドバイスしながら、応募する会社に合わせて、ややアレンジを入れたり、髪色に自分らしさを出してみたりすることも効果的です。
就活生によっては、『どこまでが社会常識の範囲内か』を、社会人である美容師に聞きたい場合もありますので、説明できるようにしましょう。

また、笑顔になることや、写真が苦手な学生は、証明写真を撮ることにも苦手意識がある場合があります。
より写真うつりに自信がもてるように、近隣で提携スタジオを作る、カメラマンと連携するなどで、『ヘア+メイク&証明写真撮影コース』をメニューに取り入れるのも手段の一つです。
写真室を併設している美容室であれば、カメラマンとサロンスタッフが、姿勢と表情作りのアドバイスなどを、オプションで提供することで、さらにしっかりとしたサポートをすることもできます。

就活生はまだ若く、先には長い人生が待っています。
「就活の時は悩んだけれど、美容師さんのアドバイスで自信が持てた」という思い出が残れば、就活が終わった後も、サロンに通ってくれるかもしれません。
集客アップや顧客満足度向上のため、就活生の悩みを解決するプランを考えてみることも選択肢の一つとしてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年10月現在の法令・情報等に基づいています。