集客にも役立つ美容師が『メイク技術』を習得しておくメリット
美容師はカットやパーマ、カラーリングなどを施しますが、お客が鏡を見て判断するのは、ヘアスタイルだけではなく、髪と顔を含めた「全体の印象」です。
どんなに素晴らしいカットをしても、その日のメイクとのバランスが取れていなければ、お客が心から満足する仕上がりには届きません。
逆に、ヘアスタイルに合わせた的確なメイクの提案や、施術後のタッチアップができれば、お客にとってのサロン体験は特別なものになります。
美容師やサロンのオーナーであれば理解しておきたい、美容師が持つべきメイク技術について紐解いていきます。
メイクもできる美容師がいる店舗の印象は?
サロンでメニューとして提供できるメイク技術とは、リップを塗り直したり、アイシャドウの色味をアドバイスしたりするだけではありません。
クレンジングやスキンケアによる土台づくりから始まり、ベースメイク、アイブロウ、アイメイク、チーク、リップといった、いわゆる「フルメイク」をプロのクオリティで完結できる技術を指します。
お客一人ひとりの骨格や肌質、パーソナルカラーを理解し、その方の個性を活かしながら、トレンドを取り入れた顔立ちをつくり上げられることこそが、メイクもできる美容師といえるでしょう。
こうしたプロの技術を持つスタッフが在籍しているサロンでは、通常のヘアメニューに加えて「メイクアップメニュー」を提供することができます。
結婚式や二次会、成人式や卒業式といった人生の節目となるイベントはもちろん、ちょっとしたパーティーやお出かけ、あるいはプロフィール写真の撮影など、メイクアップを必要とする場面はたくさんあります。
ヘアセットとメイクを同じ場所で、しかも同じ感性を持つ一人の技術者に任せられることは、お客にとって非常に大きな利便性と安心感につながるでしょう。
美容師がメイクを習得することのメリット
美容師がメイク技術を持つことの最大の強みは、ヘアスタイルとメイクを高い次元でマッチさせられる点にあります。
髪型を変えた際、以前と同じメイクでは違和感が生じることがよくあります。
たとえば、クールなショートボブにカットしたお客に対し、そのスタイルを引き立てるような少し強めのアイラインやマットなリップを提案するなど、「髪と顔の相乗効果」をその場で体現できるのは、両方の知識を持つ美容師ならではの特権です。
このようなトータルプロデュースが可能になると、お客の満足度は飛躍的に向上します。
また、経営的な視点で見れば、売上の多角化という大きなメリットがあります。
フルメイクのメニューを設けることで客単価が上がるだけでなく、施術中にメイクのアドバイスを行うことで、店販(化粧品販売)へのつながりもスムーズになります。
髪の悩みと同様に、メイクの悩みを抱えている女性は少なくありません。
「どんなファンデーションを使えばよいかわからない」「眉毛がうまく描けない」といった日常の悩みにプロとして答えることで、お客との信頼関係はより強固なものになります。
さらに、ポータルサイトやInstagramにおいて、「メイクも得意な美容室」という打ち出しは、ヘアカットのみの競合店のなかに埋もれない強みとなります。
特に成人式や卒業式のシーズンには、ヘアセットとメイクをセットで予約したい新規客を効率的に取り込むことができるでしょう。
ちなみに、美容師がメイクを行うことは、美容師法に照らしても問題はありません。
美容師法では「美容」とは「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と定義されています。
メイクアップ(化粧)は美容師の業務範囲のなかに明確に含まれているため、美容師免許を所持している者が、サロン内でメイクの施術を行い、その対価として料金をいただくことは、法的に正当な営業行為といえます。
効率的にメイク技術を身に付けるために
では、具体的にどのようにしてメイクの技術を磨けばよいのでしょうか。
まず独学で基礎を学びたいのであれば、YouTubeなどの動画サイトを活用しましょう。
トップアーティストが技術を公開している動画は数多くあり、ブラシの動かし方や色の重ね方などを視覚的に学ぶことができます。
まずはそうした動画を参考に、自分自身やスタッフ同士で練習を重ねることから始めましょう。
一方、お客から対価をいただけるレベルの「プロの仕事」を目指すのであれば、独学にプラスして、客観的な評価指標を持つことが推奨されます。
そのための有効な手段が、資格の取得です。
たとえば「日本メイクアップ技術検定試験」は、現場で必要とされる基礎から応用までの技術を体系的に学ぶことができます。
また、知識面を深めるなら「日本メイクアップ知識検定試験」や、成分や肌構造に詳しくなれる「日本化粧品検定」なども非常に有用です。
こうした資格を取得するプロセスは、単に知識が増えるだけでなく、お客に対する「説得力」を高めてくれます。
「資格を持っているプロが提案するメイク」は、お客に大きな安心感を与え、提案を受け入れやすくする土壌をつくります。
カット技術と同じで、学んだことをモデルや同僚美容師などの顔で実践し、何度も練習を繰り返すことで、初めて自分の技術として定着させることができます。
メイク技術を身に付けたい、あるいは所属する美容師に身に付けさせたいのであれば、どのような方法が適しているのか、まずはスタッフ同士で話し合ってみましょう。
※本記事の記載内容は、2026年3月現在の法令・情報等に基づいています。