税理士法人エム・アンド・アイ

すぐに評価する『リアルタイムフィードバック』で早期に業務改善

26.02.24
ビジネス【人的資源】
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人事評価の手法の一つとして、「リアルタイムフィードバック」という手法が注目を集めています。
この手法は、半年に一度や一年に一度といった従来の定点的な評価ではなく、日々の業務のなかで、上司が部下に対して即座に意見や評価を伝える人事評価のスタイルを指します。
多くの企業が人材マネジメントのあり方を模索するなかで、リアルタイムフィードバックは大きなヒントになるかもしれません。
企業の管理職や人事担当者に向けて、リアルタイムフィードバックを導入するメリットや、運用するための手順などを解説します。

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通常のフィードバックとの違い

多くの企業で導入されている従来のフィードバックは、半期や四半期ごとの面談を通じて行われるのが一般的です。
通常は対象者の過去数カ月のパフォーマンスを振り返り、点数をつけたり昇給を決定したりする「査定」としての側面が強く、どうしても過去に焦点が当たりがちです。
しかし、数カ月前の出来事を持ち出されても、本人は当時の状況を詳細に覚えていないことが多く、指摘が抽象的になってしまうという課題がありました。

一方で、リアルタイムフィードバックは、業務の「その瞬間」や、プロジェクトの小さな区切りごとに行われます。
上司が部下の行動をその場で、あるいは数日以内に評価するため、内容が具体的で鮮明なのが特徴です。

たとえば、会議での発言や顧客へのメールの送り方など、日常の些細な行動に対して「今の対応はよかった」「次はこうしてみよう」と直接的かつ迅速に伝えることができます。
これにより、評価は「過去を採点するもの」から、「未来をよりよくするためのアドバイス」へと変化し、部下にとっても受け入れやすい、実践的な「学習の機会」になります。

この『すぐに学べる』という点は、リアルタイムフィードバックの大きなメリットといえます。
従来の評価制度では、部下が間違った方向に努力をしていても、数カ月後の面談まで軌道修正がなされないというリスクがありました。
しかし、日常的に声をかけ合う習慣があれば、小さなズレをその場で修正できるため、組織全体の生産性が大幅に向上します。
これは、高速でPDCAサイクルを回すことと同義であり、変化の激しい市場環境において強力な武器となります。
本人が大きな問題や課題を抱えていたとしても、早期に発見できるため、手遅れになる前に改善できるかもしれません。

また、コミュニケーションの質の向上も無視できないメリットです。
上司と部下が頻繁にやり取りを重ねることで、相互の信頼関係が深まり、心理的安全性が高まります。
フィードバックが日常の一部になると、部下は「自分のことを見てくれている」という安心感を得ることができ、これがモチベーションの向上に直結します。
さらに、成長スピードも飛躍的に高まります。
成功体験はその場ですぐに承認されることで自信になり、失敗はすぐに改善策と共に共有されることで貴重な学びとなるからです。

実践するための具体的な進め方

リアルタイムフィードバックを効果的に機能させるためには、まず土台となる「目標や評価基準の共有」が欠かせません。
何を成し遂げれば評価されるのか、どのような行動が望まれているのかがあいまいなままでは、フィードバックは単なる上司の主観的な感想になってしまいます。
あらかじめチームの向かうべき方向を明確にし、お互いが共通の物差しを持つことで、初めてフィードバックは納得感のあるものになります。

具体的なフィードバックの場面では、まずは「成果を承認すること」から始めましょう。
結果が出たときだけでなく、プロセスにおけるよい行動に対しても、ポジティブな言葉をかけることが大切です。
そのうえで、修正が必要な点については、単に「ダメだ」というのではなく、その行動が周囲にどのような影響を与えているのか、なぜ改善が必要なのかといった「行動の重要性や背景」を丁寧に説明します。
相手の人格を否定するのではなく、あくまで「行動」に焦点を当てることで、部下は防衛的にならずに耳を傾けることができます。

また、一度伝えて終わりにするのではなく、その後の変化を注意してチェックし続けることも大切です。
アドバイスによって行動が改善された際には、すぐにそれを評価し、再びポジティブな内容を共有します。

まさに「伝え、見守り、また伝える」という連続性こそが、リアルタイムフィードバックの核心といえるでしょう。
このサイクルを繰り返すことで、部下は自律的に考える習慣を身につけていきます。

従来のような「年に数回のイベント」としての評価から脱却し、日々の業務のなかに学びと承認を取り入れることで、組織はより柔軟で強固なものになります。

もちろん、導入当初は上司側に相応の負荷がかかるかもしれません。
しかし、早期の軌道修正によって大きなトラブルを防げることや、部下の成長が加速してマネジメントの手間が長期的には軽減されることを考えれば、その効果は極めて高いといえるでしょう。


※本記事の記載内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。