税理士法人エム・アンド・アイ

若者の被害が急増中!『マルチまがい商法』に要注意

26.02.24
ビジネス【法律豆知識】
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新しい生活や将来への不安に付け込み、言葉巧みに近づいてくる「マルチまがい商法」が増えています。
マルチまがい商法とは、実態としてはマルチ商法(連鎖販売取引)に近い仕組みでありながら、法的要件にわざと当てはまらないよう装った脱法ビジネスを指すことがあります。
一見すると、マルチまがい商法で案内される内容は、意識の高い仲間が集まるコミュニティや勉強会のように見えますが、その裏には厳しい勧誘ノルマや、若者を搾取する仕組みが隠されています。
消費者問題の一つとして注目を集めているマルチまがい商法について、解説します。

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マルチ商法とマルチまがい商法は何が違う?

法律用語で「連鎖販売取引」と呼ばれるマルチ商法は、特定商取引法(以下、特商法)で規制されている販売形態です。
商品を購入したりサービスの契約をしたりするだけでなく、契約者が自分の友人や知人を勧誘して組織に加入させ、さらにその新会員が別の人を誘うことで組織をピラミッド状に拡大していく仕組みのことです。

マルチ商法の特徴は、新しい加入者を増やすごとに「紹介料」や「マージン」といった名目の報酬が支払われる場合がある点にあります。
仕組み自体は特定商取引法で厳しく規制されており、条件を満たせば直ちに違法とはならないものの、無理な勧誘や誇大広告、高額な入会金などがトラブルを招きやすいため、極めてリスクの高い商法として知られています。

一方で、「マルチまがい商法」とは、実態としてマルチ商法に似た仕組みになっていながら、特商法における「連鎖販売取引」の要件を巧妙に逃れるなどして規制を回避しようとする商法を指します。
このような場合、規制を逃れるためのグレーで悪質な「脱法ビジネス」といえるでしょう。

マルチ商法を規制する特商法の趣旨は、被害の拡大を防ぐことにあります。
そのため、表面上の形式がどうあれ、取引の実態に照らして違法性が検討されることになりますが、マルチまがい商法はその判定を困難にさせています。

たとえば、近年増えているのは、正式な事業者名や名称を明示せずに活動する組織です。
正式名称がなく、実態も掴みにくいため、警察や行政の対応が遅れることがあり、被害が拡大してしまう一因となっています。

また、法律ではマルチ商法の勧誘に際し、勧誘の目的や取引内容をあらかじめ明示することが義務づけられています。
しかし、マルチまがい商法を行う組織は、「社会人サークル」や「経営セミナー」など別の名称で近づき、信頼関係を築いた後で徐々に組織へと引き込みます。
「これはビジネスではないから法律は関係ない」と主張し、クーリングオフの説明すら行わないケースも目立ちます。

さらに、近年問題となっているのは「後出しマルチ」と呼ばれる手法です。
最初は商品やサービスの契約だけをさせ、後から人を紹介すれば収入が得られるなど紹介料や収入の仕組みを提示するといった手法で、連鎖販売取引の定義を外れるように設計されており、非常に危険です。

こうした規制を逃れようとする組織は、「どうすれば法律の網をくぐり抜けられるか」を常に考えており、その手口は日々進化しています。

新生活の不安につけこまれてしまう可能性も

全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)に登録されたデータを見ると、マルチ商法全体の相談件数は、2022年の6,844件から、2023年は5,154件、2024年は4,117件と減少傾向にはあります。
しかし、相談件数が全体として減っている一方で、若者が占める割合は依然として高く、特に10代後半から20代前半の若者がターゲットになりやすいと指摘されています。

被害が増えるのは、春から夏にかけての時期です。
進学や就職に伴う「新生活への不安」や、「何か自分を変えたい」という純粋な向上心が絶好の獲物となります。
先輩や友人を介して近づいてくるため、「断りにくい」という心理も、被害を深刻化させる要因となっています。

マルチ商法やマルチまがい商法から身を守るために最も大切なのは、「実態や仕組みがよくわからないものには近づかない・契約しない」という姿勢です。
どんなに親しい人からの誘いであっても、話の内容に少しでも違和感を覚えたり、将来の不安を煽られたりした場合は、きっぱりと断る勇気を持ちましょう。

また、「楽に稼げる」「誰でも成功できる」といったうまい話は存在しません。
そうした意識を持つだけでも、リスクを大幅に減らすことができます。

マルチまがい商法を行うような不透明な組織に関わって、得をすることはありません。
少しでも怪しいと感じたらすぐに距離を置くようにすることが大切です。
もし、すでに関わりを持ってしまったり、契約して悩んでいたりする場合は、一人で抱え込まず、すぐに家族や身近な人、消費生活センター(消費者ホットライン188)などに早めに相談しましょう。


※本記事の記載内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。