税理士法人エム・アンド・アイ

将来的な『労働基準法』の改正で14日以上の連続勤務が禁止になる!?

26.02.24
ビジネス【労働法】
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これまで厚生労働省の労働政策審議会では、労働基準法の改正に向けた議論が行われており、その焦点の一つに「連続勤務の上限規制」がありました。
これは、14日以上の連続勤務を禁止し、少なくとも13日以内には休日を取得させ、労働者を休ませるというものです。
2026年の通常国会への改正案提出は見送られる見通しとなりましたが、過労死防止やワークライフバランス重視の流れから、この規制が近い将来に実現する可能性は高いといえます。
今回は、連続勤務の上限規制について、どのような準備を進めるべきか考えていきます。

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最大48連勤も可能!? 現行法の連続勤務の上限

現在の労働基準法では、休日について「毎週少なくとも1回の休日」を与えるか、あるいは「4週間を通じて4日以上の休日」を与えること(変形休日制)と定めています。
たとえば「毎週1回の休日」というルールであっても、週の初めに休日を置き、翌週の最後に休日を置くことで、ルールは守ったうえで、12連勤が可能になります。
さらに「4週4休制」を採用している場合、4週間の最初と次の4週間の最後に休日をまとめることで、理論上は最大48日間も休みなしで勤務させることが可能になります。

労働契約法には「安全配慮義務」が定められており、従業員に心身の健康を損なうような過酷な労働を強いることはできませんが、具体的な「連続勤務は何日まで」という明確な禁止規定が労働基準法に存在しないことが、現場での無理なシフト編成や、結果としての長時間労働を招く一因となっています。

労働政策審議会で議論されている「連続勤務の上限規制」の目的は、働く人の健康を守ることにあります。
厚生労働省が公表している精神障害の労災認定基準では、仕事による心理的負荷を評価する際、連続勤務の期間が重要視されています。
具体的には、「2週間以上にわたって連続勤務を行なった」場合には心理的負荷を「中」とし、さらに「1カ月以上にわたって連続勤務を行なった」場合や「2週間以上にわたって連続勤務を行い、その間、連日、深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行なった」場合には「強」と判定されます。
「強」と判定されれば、その後に精神障害を発症した際、労災として認められる可能性が非常に高くなります。

つまり、「4週4休」で運用していたとしても、2週間以上休みを与えない状況が続けば、企業は常に「労災認定されるリスク」を背負いながら経営していることになります。
国は実効性のある健康管理を行うよう企業に求めながら、労基法の改正によって、「法律の基準」と「労災の基準」のズレを解消しようとしているというわけです。

改正法が目指す「13日以内」というライン

議論されている改正案の骨子は、労働基準法のなかに「13日を超えて連続勤務をさせてはならない」という一文を明文化することです。
これが実現すれば、企業は繁忙期にあっても、2週間に1回は必ず休日を設定しなければならなくなります。

労基法の改正は、単に休みを増やすことだけが目的ではありません。
強制的に連続勤務を断ち切ることで、蓄積した疲労をリセットし、過労死や過労自殺という最悪の事態を未然に防ぐという狙いがあります。
また、これまであいまいだった休日設定の基準が明確になることで、現場の管理監督者がシフトを組む際の指針にもなるでしょう。

ただし、この改正にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
一番の懸念は、慢性的な人手不足に悩む職場でのオペレーションです。
特に、交代制勤務や突発的な対応が多い業種では、これまで以上に人材の確保が困難になるかもしれません。
また、残業代や休日手当で収入を維持していた労働者にとっては、手取り額が減ってしまうという切実な問題も生じます。

しかし、視点を変えれば、無理な労働力に頼った経営から脱却するチャンスといえます。
適切な休息は集中力を高め、結果として労働生産性を向上させますし、「2週間以上の連勤がない」と明言できる職場環境は採用市場における強みにもなるはずです。

労働基準法の改正法案について、2026年の通常国会での提出が見送られたとはいえ、議論は今後も続いていきますし、近い将来、改正が実現する可能性は高いといわれています。

企業側は、法改正を待ってから慌てて対応するのではなく、今のうちから自社の勤務実態を点検し、14日以上の連勤が発生しにくい仕組みをつくっておくことが大切です。
たとえば、有給休暇の計画的な付与を組み合わせたり、特定の個人に業務が集中しないよう「業務の標準化」を進めたりするといった改革が必要です。
また、勤怠管理システムを導入している場合は、12連勤や13連勤に達しそうな時点でアラートが出るように設定を見直すのも一つの手です。
「従業員の健康を守ることが経営の安定につながる」という意識で、労務管理の改善を進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。