税理士法人エム・アンド・アイ

スタートアップ企業が活用できる『資金調達』の基本

24.07.30
ビジネス【税務・会計】
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設立したばかりのスタートアップ企業は、経営に使う運転資金を確保しなければならず、そのための資金調達を行う必要があります。
しかし、スタートアップ企業は実績が乏しく、将来性も不透明なため、銀行などからの借り入れがむずかしいケースがほとんどです。
では、多くのスタートアップ企業は、どのような方法で資金調達を行なっているのでしょうか。
起業家や経営者であれば知っておきたい、スタートアップ企業における資金調達の基本について解説します。

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スタートアップ企業の成長ステージ

スタートアップ企業は設立以降、段階を踏みながら成長していきます。
一般的にスタートアップ企業の成長ステージは『シード』『アーリー』『ミドル』『レイター』と区分され、資金調達についてもそれぞれのステージに適した方法が存在します。

シード期とは、事業者が会社を立ち上げる前段階、もしくは初期の段階を指します。
ビジネスのアイデアやコンセプトなどは決まっているものの、まだ具体的に商品やサービスをリリースできていない状態です。
開発費や人件費などがかさむなかで、活動資金を確保しなければならないため、自己資金が潤沢な場合を除き、多くの起業家はシード期の資金調達に苦労します。
このシード期に適した資金調達は、『シードアクセラレーター』や『エンジェル投資家』による投資です。

シードアクセラレーターとは、起業前・起業直後のシード期のスタートアップ企業に対して投資を行う団体や組織のことです。
スタートアップ企業のビジネスアイデアや事業者の資質などを、資金提供の有無を決める判断材料にしています。
出資額は数百万円からと少額ですが、出資だけではなく、協力者の紹介や助言、ノウハウやシェアオフィスの提供などの支援も行います。
シードアクセラレーターは投資だけではなく、起業家の育成を重視する団体・組織であり、スタートアップ企業の大きな味方になってくれるはずです。

また、エンジェル投資家は、起業して間もないスタートアップ企業に出資する個人投資家のことです。
シードアクセラレーターと同様に出資額は少額ですが、もともとスタートアップ企業の経営者だった投資家も多く、取引先の紹介やアドバイスなどのサポートを受けられる可能性があります。

一方、育成を行わず、あくまでスタートアップ企業への投資のみを目的とした投資会社を『ベンチャーキャピタル(VC)』と呼びます。
シードアクセラレーターやエンジェル投資家と並行して、VCからの出資も検討していきましょう。

こうしたシードアクセラレーターやエンジェル投資家、VCからの出資は、融資ではないため返済する義務がありません。
したがって、金融機関から融資を受けたものの、返済に追われて企業の成長が滞ってしまうといったデメリットがありません。

事業が軌道に乗った段階の資金調達

アーリー期は、事業を立ち上げて、軌道に乗るまでの時期を指します。
企業が急成長するタイミングでもあり、組織の拡大や市場でのポジションの確立などに力を入れていく時期でもあります。
この時期は、シード期に調達した資金だけでは足りなくなり、追加の資金調達が必要になってきます。

アーリー期には、引き続きVCやエンジェル投資家の出資を受けつつ、より大きな資金提供を受けるため、融資による資金調達も検討することになるでしょう。
ただし、銀行などから借り入れるのはまだむずかしく、通常は政府系金融機関である日本政策金融公庫などが行なっている融資制度を利用することになります。
日本政策金融公庫では、スタートアップ企業や起業家に向けた創業融資制度として、「新規開業資金」や「新事業活動促進資金」などを用意しており、低金利や無担保・無保証で融資を受けることも可能です。

そして、事業が軌道に乗ったミドル期になると、すでに一定の実績を重ねているため、複数のVCからの出資や、企業との資本提携なども期待できるようになります。
また、銀行からの借り入れなども選択肢に入ってきます。

さらに、ミドル期を過ぎて、経営基盤が安定したレイター期に入ると、株式の上場を見据えた資金調達を行うことになります。
すでに銀行などからは優良企業だと認められており、融資も受けやすくなっているはずです。

このほかにも、投資型のクラウドファンディングや、補助金・助成金など、さまざまなスタートアップ企業向けの資金調達が存在します。
大切なのは、自社の事業や方針、ビジョンなどに合わせた資金調達を選ぶことです。
それぞれの特徴をよく理解したうえで、適切な資金調達を行うようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2024年7月現在の法令・情報等に基づいています。