弁護士法人牛見総合法律事務所(山口県弁護士会所属)

交通事故後の治療について

19.07.08
交通事故
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交通事故に遭ったら、身体のさまざまな部分を負傷してしまうことがあります。

そのようなときには、交通事故が起こった直後に病院を受診し、その後継続的に治療を受け続けることが大切です。

交通事故後、適切に治療を受けていないと後に後遺障害の等級認定を受けようとしたときに不利益を受けるおそれもあります。

今回は、交通事故後の治療について、弁護士が解説します。

1.交通事故直後に受診する

交通事故に遭ったときには、「事故直後に病院に行って受診する」ことが非常に重要です。

 

軽傷の場合や自覚症状のない方の場合、病院に行かずに済ませてしまうことがあります。

そして、後に痛みなどの症状が出てきたときに、はじめて病院に行く方がおられます。

しかし、このような通院方法をとると「事故から相当な日数が経過してから」始めて病院に行ったということになります。

すると、相手の保険会社が「事故とは関係のない怪我である」「交通事故後の別の負傷である」と主張して、事故と症状の因果関係が否定され、治療費や慰謝料が支払われない可能性があります。

また、びまん性軸索損傷のケースのように、交通事故直後のMRIを撮影しておかないと、後に立証しにくくなってしまう症状もあります。

さらに、交通事故直後に自覚症状がなくても、脳内出血のように命に関わる症状が出ている可能性もあります。

以上のような理由から、交通事故に遭ったら「必ずその日か翌日」には病院に行って診察を受けましょう。

2.診療科について

交通事故の治療を受ける際、どの診療科に行けば良いか迷われる方がおられます。

 

まず、骨折やむち打ち、打ち身などの負傷の場合には整形外科に行きましょう。ケースによってはペインクリニックに行くべき事案もあります。

頭を打ったり脊髄などの神経の症状が出ていたりする場合には脳神経外科を受診します。

目なら眼科、耳や鼻の症状なら耳鼻咽喉科に行きます。

ただ、自分では適切な診療科を選べなくても、行った先の病院で検査を受けて、別の診療科に行くべきと判断されたら紹介状を書いてもらって適切な診療科に回してもらうことができます。

まずは、上記のような感覚で、該当しそうな診療科を訪ねましょう。

3.専門医を探す重要性

交通事故のケガには、対応が難しい症状があります。

 

たとえば、高次脳機能障害やびまん性軸索損傷などでは専門医を受診する必要性が高いですし、腕や脚の複雑な骨折などのケースにおいても、できるだけその症状に詳しい医師のいる病院を探すべきであるといえます。

当初の治療方針で不適切な対応をとられると、後遺障害が残りやすくなる弊害もあるので注意が必要です。

4.転院について

交通事故後、治療を受けていると、医師の対応に不信感を抱いてしまったり、より良い専門医に変わりたいと希望したりする方がおられます。

 

その場合、転院することは可能ですし、転院後の新たな病院の治療費を相手に負担させることもできます。

ただし、やみくもに転院するとそのことが不利益につながるケースもあるので、転院は本当に必要なケースに限る方が良いです。

まずはセカンドオピニオンを求め、より有効な治療を受けられそうであれば転院を検討すると良いでしょう。

5.整骨院を受診する場合の注意点

交通事故後、整骨院を受診する方も非常に多いです。
ただ整骨院は「病院」ではないので注意が必要です。整骨院の「先生」は「医師」ではなく「柔道整復師」という国家資格の持ち主ですから「治療行為」をすることができないのです。

 

また、柔道整復師は「診断」をできないので、「後遺障害診断書」などの書類作成を依頼することもできませんし、レントゲン撮影や投薬治療などもできません。

事故直後から整骨院だけに通い、整形外科を受診していないと、事故後の検査結果などの資料が一切残らず、後に後遺障害等級認定を受けようとしても受けられない可能性が高くなります。

そこで、整骨院に通うとしても、まずは整形外科を受診して一定期間治療を継続し、その後に必要に応じて整骨院への通院を開始すべきです。

また、医師の承諾なしに勝手に整骨院に行くと、保険会社から治療費の支払いを拒絶される可能性もあるので、整骨院に行くときには医師に相談した方がよい場合もあります。

6.病院に通う頻度

交通事故後、病院に通う頻度も重要です。日頃忙しくしている方などの場合、通院頻度がどうしても少なくなりがちです。

 

しかし、通院頻度があまりに少ない場合、相手の保険会社から「すでに通院の必要性が無くなっているのではないか」などと言われて治療費を支払ってもらえなくなったり、慰謝料を減額されたりする可能性があります。

また、弁護士・裁判基準によって入通院慰謝料を計算するときにも、あまりに通院頻度が低いと金額が減額されます。

そこで、交通事故後通院をするときには、あまり期間を空けずに病院に通うことをお勧めします。

ただし、実際に治療が必要ないのに無理に通院をしなければならないという意味ではありません。

通院しても積極的な治療が行われていなければ、やはり治療の必要性や後遺障害の否定につながるからです。

7.濃厚診療、過剰診療、高額診療について

交通事故後の治療を受けるとき「濃厚診療」「過剰診療」「高額診療」の問題に注意が必要です。

 

濃厚診療とは必要以上に丁寧な治療、過剰診療とは不必要に高度な治療、高額診療は不必要に高額な治療です。

「後で相手に治療費を請求できるから」と思い、このような不必要な治療を受けていると、治療の必要性を否定されて、治療費を支払ってもらえなくなる可能性があります。

「ここまでする必要があるのか?」と医師による治療方針に疑問を感じたら、医師に質問をすべきですし、医師が応えてくれないならセカンドオピニオンを求めるのも良いでしょう。

8.いつまで治療を続けるか

交通事故後の治療については、いつまで治療を続けるべきかという問題があります。

 

基本的には「症状固定するまで」継続すべきです。

症状固定とは、それ以上治療を続けても改善しなくなったタイミングです。

症状固定したかどうかは医師が判断しますので、医師が「もう治療を終えても良い」と言ってくれるまで通院を継続しましょう。

9.将来治療費について

症状固定後は加害者から治療費が支払われなくなるのが基本ですが、リハビリが必要な場合や再手術が必要な場合、そういった将来治療費を相手に請求することができるケースもあります。

 

 

以上が交通事故後の治療についての基本知識です。もう少し知りたいと思われましたら、一度当事務所にご相談ください。