弁護士法人牛見総合法律事務所(山口県弁護士会所属)

トラック事故に遭われた方へ

23.12.14
交通事故

トラック相手の交通事故である「トラック事故」に遭ってしまったら、被害者側は大けがをする可能性が高く、後遺症も残りやすいですし最悪の場合には死に至ります。また示談交渉の相手が「トラック共済」になるため、賠償金の金額を通常より低くされるなど、対応が困難になりやすい問題もあります。

トラック事故に遭った場合、通常の交通事故の事案以上に慎重な対応を要求されるので、正しい対処方法を知っておきましょう。

 

今回は、トラック事故の特殊性と適切な対処方法について、山口の弁護士が解説します。

1.トラック事故とは

「トラック事故」とは、トラックが当事者になる交通事故全般のことです。

トラックと普通乗用自動車が接触した事故、バイクとトラックの事故、歩行者とトラックの事故、自転車とトラックの事故、トラック同士の事故など、すべてトラック事故です。

トラックとトラックの間に歩行者が挟まれる事故やトラックの荷物を積み卸ししている最中に人が落ちた事故などもトラック事故の1種とされます。

トラック事故の中でも多いのが「追突事故」です。トラックは制動距離が長いので、急に止まることができずに前の車両に追突してしまいやすいのでこうした事故が発生します。

 

2.トラック事故は重大な事故につながりやすい

トラック事故の特殊性として「重大事故につながりやすい」ことがあります。

トラックは、車体も大きく重量も非常に重いです。その分加速がかかっているので、トラックがスピードを出しているときに衝突すると、相手方に与える衝撃は極めて大きくなります。普通乗用自動車とトラックの交通事故では、トラックは無傷でも乗用自動車側が大きく破損することも多々あります。

そこでトラック事故では、被害者が重傷を負ったり死亡したりしやすいですし、物的損害も大きくなります。

 

3.トラック事故では後遺症が残りやすい

トラック事故で受傷すると、被害者のケガの程度が重くなりやすいので、その分後遺症が残る可能性も高くなります。

たとえば後遺症の影響で腕や脚が不自由になったり脳障害や視覚障害などが残ったりしたら、それまでと同じようには働けなくなるでしょうし、日常生活にも支障が及びます。

そのような場合「後遺障害等級認定」を受けて、後遺障害についての適切な補償を受ける必要性が高くなります。

後遺障害認定を受けるためには、専門的な知識やスキルを要するケースがあります。被害者が自分で対応すると、思うように後遺障害の等級を認定してもらえないこともあり、注意が必要です。

 

4.トラック共済が対応する

トラック事故では、加害者側との示談交渉においても困難が生じやすいです。

トラックは、任意保険には加入せずに「トラック共済」という独自の共済組合を作り、そこに入っていることが多いためです。トラック共済は、加入しているトラック事業者のために組織された組合ですが、被害者に対してときには理不尽とも言える主張をしてくるケースがみられます。

たとえば、以下のような主張が行われます。

l  「交通事故が起こっていない」と主張

l  被害者の過失割合を相場より大きく主張

l  「トラック会社にも損失が発生しているので、賠償金を払えない」と主張

l  「被害者の治療費が受傷の程度に対して高すぎるので、全額は支払えない」と主張

 

このような主張をするトラック共済と示談交渉をしても、妥協点が見つからずに決裂してしまうことがあります。

 

5.トラック事故に遭ったときの対処方法

トラック事故に遭ったときには、以下のように対応しましょう。

5-1.しっかり治療を受ける

トラック事故では被害者が重傷を負うケースも多いので、まずはしっかりと専門の医療機関で治療を受けることが大切です。難しい症例の場合には病院選びも重要です。

脳障害なら脳障害の専門外来のある病院など、自分のケガの治療法に詳しい医師がいて施設も充実している病院にかかりましょう。そしてなるべく後遺症が残らないように、症状固定するまで入通院を続けるべきです。

 

5-2.確実に後遺障害認定を受ける

トラック事故では、治療を受けても完治せずに後遺症が残ってしまうケースがあります。そのようなときには、後遺障害認定を受けることが重要です。

後遺障害認定を受けるためには、専門的な知識やスキルが必要なので、弁護士に任せる方が安心で確実です。

 

5-3.訴訟を見据えて示談交渉をする

トラック事故で賠償金の請求相手がトラック共済となった場合、相手が無理な主張をするので、示談交渉をしてもなかなか成立しないケースがあります。

裁判基準に比べて極めて低額な賠償金を提示されたり営業損失などを理由に賠償金支払いを断られたりしたとき、泣き寝入りをせずに適切に賠償を受けるためには、「訴訟」を提起せざるを得ない事例もあります。

 

つまりトラック事故で示談交渉を進める際には、当初から将来の訴訟をも見据えた対応が必要となりますし、示談が決裂したときには、潔く訴訟に踏み切る決断も要求されます。

 

以上のように、トラック事故では被害者側にさまざまな困難な対応を要求されますし、放っておくと重大な後遺症が残ったのに補償を受けられない、ということにもなりかねません。

泣き寝入りをしないため、トラック事故に遭ったらお早めに山口の弁護士までご相談ください。