税理士法人 ANSIA

“週休2日”と“完全週休2日”、違いをご存知ですか?

19.04.19
ビジネス【労働法】
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ワークライフバランスの意識が高まるなか、休日は従業員にとって大きな関心事です。 
従業員に充実した毎日を送ってもらうためにも、経営者は労働基準法に定められた休日についてよく知る必要があります。
あいまいな知識のまま労働条件を設定し、休日を与えていては、従業員から不満を買う恐れがあるからです。 
今回は、入社時によくトラブルになる“週休2日”と“完全週休2日”の違いと、休日の取得パターンの注意点について、ご説明します。
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必ず休日が2日間取得できる、完全週休2日制

休日の取得パターンには、“完全週休2日制”と“週休2日制”があります。
実は、この二つの休日の取得形態には大きな違いがあるのです。

完全週休2日制の場合、従業員は1年間を通じて毎週2日間、休日を取得することができます。
1年のうち、休日が1日しかない週が1回でもあれば、それは完全週休2日制とはいえません。
毎週、必ず休日を2日間取得できるのが特徴です。

従業員にとっての完全週休2日制のメリットは、安定的に休日が取れる点です。
ワークライフバランスを重視する従業員が多いのであれば、このパターンで休日を取得してもらうのもよいでしょう。
しかし、必ずしも一般的に休日のイメージが強い土・日に取得してもらう必要はありません。
つまり、土・日ではなく水・日、または木・金という形で従業員に休日を与えることもできます。
さらに、休日の曜日を固定する必要もありません。

シフト制を導入している会社は、完全週休2日制のほうが人員を確保しやすいというメリットがあります。
ただし、なかには「土日は家族とゆっくり過ごしたい」という考えの従業員もいます。
会社の都合ばかりを優先せず、従業員個々の希望に合わせて、慎重に休日の取得パターンを考える必要があります。


最低月1回は週2日休める週休2日制

一方、週休2日制とは、従業員の休日が2日ある週が毎月最低1回はある形態をいいます。
つまり、『最初の1週間に休日が2日あれば、残りの3週間の休日が1日ずつだったとしても、週休2日制になる』ということです。
入社してから求人票には『週休2日制』と記載されていたから、週に2回は必ず休日がある、と誤解する人もたくさんいますので、ご注意ください。

なお、休日の曜日を固定する必要がないのは、完全週休2日制と同じです。

こうした特徴から、週休2日制はいろいろな休日の取得パターンを考えることができます。
たとえば、会社の業務が忙しい時期には週休1日にして、それ以外の時期は週休2日にすることも可能です。
週末が忙しい飲食店の場合、“火曜日が定休日で、第3週のみ木曜日も休み”というパターンも考えられます。

このように、週休2日制には“職種に応じて柔軟に休日の取得パターンを設定できるという特徴があります。
ただし、必ず週2日の休日を取得できるわけではないため、従業員の疲労や不満が溜まることもあります。
そのため、週休2日制の場合は、休日の取得パターンの設定に注意しなければいけません。
「今月は忙しいから週休2日の週は1回、あとは全部週休1日にしよう」などと、安易に決めるのはトラブルの元になります。
従業員の希望や仕事に対する考えを考慮し、決めるようにしましょう。


会社によって異なる最適な取得パターン

労働基準法では『週1日の休日があるか、4週間を通じて休日が4日あればよい』とされています。
しかし、これを額面通りとらえて従業員を酷使すると、予期せぬ労働トラブルが起きてしまうかもしれません。
そうならないためにも、会社の視点だけでなく従業員の視点にも立ち、休日の取得パターンを設定しましょう。
働き方の多様化により、近頃は週休3日制を導入する会社もあります。

もちろん、週休3日制にもメリットとデメリットがあります。
メリットとしては、休日が増えるため、プライベートの時間が充実すること、通勤する日数が少なくなるため、通勤時間のストレスを減らせることなどがあげられます。
一方、デメリットとしては、従業員の収入が減るもしくは1日あたりの労働時間が増えること、従業員同士のコミュニケーションが不足することなどの可能性があります。
週休3日制を導入する際は、従業員のニーズと会社の経営効率のバランスを考えたうえで、検討するとよいでしょう。


このように、休日といっても、会社によっていろいろな取得パターンが考えられます。
前述のように、“完全週休2日制”と“週休2日制”は、言葉は似ていても意味はまったく異なります。
それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、自社にとってどういう取得パターンがベストなのか、また視点を変えて“週休3日制”の導入なども併せて検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。