税理士法人Ambitious

ブルーオーシャン戦略は、ビジネスはもちろん、人生にも暮らしにも参考になります

16.09.30
ビジネス【マーケティング】
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“ブルーオーシャン戦略”をご存じでしょうか?

ヨーロッパを代表するビジネススクールINSEAD(インシアッド)のW・チャン・キム教授とレネ・モボルニュ教授によって、『ブルーオーシャン戦略』という書籍で提唱されました。 

既存のライバルとの競争に明け暮れるのではなく、そもそも競争相手が存在せず自社がそこからの利益を独占できる新しい市場を見つけ出そう、という指摘です。

前者の競争に明け暮れる市場をレッドオーシャン、後者の競争相手が存在しない新しい市場を「青く澄み渡った広々とした海」にたとえ、ブルーオーシャンと名付けました。
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この本の中では事例の一つとして、「シルク・ド・ソレイユ」というサーカスをベースにした新しいタイプのエンタテイメントが紹介されています。

1984年にカナダで始まったこのショーは、今では世界的に有名で、日本でも期間限定等でしばしば上演されています。 

シルク・ド・ソレイユは、従来のサーカスとは異なった新しい市場=ブルーオーシャンを見つけ出したとされます。

その特徴は、子供連れの家族を中心とした従来のサーカスとは異なる“大人向け”のサーカスを作り上げたことです。 

大人向けのサーカスのため、出演料の高いスターを雇わず、テーマ性で集客し、象などの動物を使わず、人間だけでショーを行う、といった工夫を凝らしました。 

この事例は、「現時点で見えていないが、潜在的に可能性のあるニーズを発見し、そのニーズを満たす方法を独自に考え出す」という、ブルーオーシャン戦略の最たるものだと言えます。 

ブルーオーシャンの事例は、実は思いのほかたくさんあります。ちょっと考えただけでも、いくつか頭に浮かんでくるものです。 

立ったまま食べることで、低いコストでおいしい料理を提供する「俺のフレンチ」や「いきなりステーキ」も、この例でしょう。

“吸引力”に特化したダイソンの掃除機も、そうです。

スマートフォンを使ったソーシャル・ゲームなのに、街中に出て行くことを必要とさせた「ポケモンGO」も、その例と言えるでしょう。 

古くは、「回転寿司」も同じブルーオーシャンの考え方です。

“低価格で気軽にお寿司を食べられる”という、その時点では満たされていなかったニーズを発見し、解決したのです。

ただ、回転寿司の例からは、「成功するとマネされて、絶対の優位性は失われることもあり得る」ということがわかります。この点も、あらかじめ留意しておきましょう。 

ブルーオーシャン戦略は、個人のキャリアを考えるときにも、応用できると思います。

誰もが、弁護士、医者、大企業の社長を目指す必要はありません。

ニーズはあるのに専門家がいない分野に絞ってスキルや経験を上げていこうと考えるのも、悪くない戦略です。

“スポーツの日本代表”という目標があったとして、水泳、サッカー、体操、バレーボールなどメジャーなスポーツ(ここで言えばレッドオーシャン)に挑まずに、ペタンクやクリケット、カバディなど、日本での競技人口が少ないスポーツにチャレンジする、という例はわかりやすいかもしれません。 

実際、自分のよく知っている広告業界/マーケティング業界を見渡してみると、インターネットやデジタルがまだマイナーだったころに、その分野の経験を積んだ人(当時で言えばブルーオーシャン)は、今も活躍しており、いい転職ができている人が多いように感じます。 

さて、次回からは、今年も、世界最高峰の国際広告祭カンヌライオンズの受賞作から、広告コミュニケーションの最新事例を紹介していきましょう。 

次回の「カンヌライオンズ2016から、世界の最新広告コミュニケーション事例のご紹介。その1』をお届けします。 


佐藤達郎のマーケティング論 

[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。 


[記事提供] 

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